XX on my mind

ついつい気になる、なぜか好きなあれやこれやの備忘録。

Soap Opera / The Kinks (1974年 UK)

Soap Operaとは

和訳すると、石鹸歌劇。

昼ドラのシリーズものを、イギリスではソープオペラというらしい。渡る世間は〜みたいな。

なんでソープかというと、奥様がみる時間帯だけあって、スポンサーに石鹸や日用品メーカーが多かったから。らしい。

 

ザ・キンクスのアルバム「ソープ・オペラ」は、イギリスのグラナダ・テレビからオファーされてレイ・ディヴィス(ボーカル)が書き下ろして主演もした「スター・メイカー」のサウンドトラック?で良いのかな?

 

キンクスのロック・オペラというか、ロック・ミュージカルの中では、一番好き。分かりやすいし、テーマが身近だし、曲もポップ。

フーのトミーがわかりやすさ1だとしたら、わかりやすさ100。

 

ある有名な芸能マネージャーが、街に出て最初に見かけたかっこいい男の子にキラキラのスーツを着させたら、スターに仕立てられる と言っていたことが着想元だとか。

キンクスの伝記本によると(ひねくれ者たちの肖像)、テレビのメロドラマから着想を得たって書いてあったけど。。

 

ちなみに、ビルボード51位!すごい。

ホリデイロマンス、アヒルちゃんの歌、あとyou cant stop〜がシングルカットされたそうだが、そちらはさほど話題にならなかったらしい。

 

 

ざっくりどんな話?

登場人物は、ノーマン、STARと、ノーマンの奥さんのアンドレアのみ。

平凡なサラリーマンのノーマン、頭の中では自分はスター(STAR)なわけです。妄想、理想から現実に戻っていくお話。

 

残念ながら、Soap Opera…というか、Star makerというか…はリアルタイムで観たこともないし、Blu-rayはおろかDVD化もされてないので(多分)ストーリーの細かなところは知らない。

 

が、オペラなわけで歌詞を追っていけばまぁ大体内容もわかるでしょう。

CDにもレコードにも、ご丁寧にセリフも書かれてあるのでわかりやすい。

曲順に見ていくこととします。ざっくり。

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Everybody's a star.

主人公のノーマンの自己紹介、とはいえ初っ端からSTARとして奥さんに接してる。

 

歌詞は、自分はスターを作り出すプロデューサーで、どんなに冴えない君だってスターにできちゃうぞ!みたいな内容。

 

奥さんのアンドレアとの会話はこんな感じ。

 

STAR

どんなに冴えないやつでもスターにしますわってことを証明するために、平凡な男を探しに来たよ!

おーなんかちょうどいい感じの、普通っていうか面白みもなんもない家があるじゃん。

 

ピンポーン

 

すいませーん、あなた、名前は!?!

 

アンドレ

アンドレアだけど…

 

STAR

いい名前!旦那さんはなんて名前?

 

アンドレ

ノーマン。

 

STAR

オッケー、ノーマンね!フツーだね!

で、僕の実験に参加して欲しいんだけど…2、3日で済むからさ。じゃ、ノーマンくんとやらのフツーで退屈な生活を調べますかね。

 

アンドレ

だめだめだめ、いま家の中きったないから!無理。

 

STAR

問題ないって!平気!普段通りでいて欲しいわけよ。で、僕をノーマンみたく扱ってくれない?二、三日くらいさ、ノーマンの退屈な人生を味わいたいんだよね!

Ordinary people

なんでタイトルだ。

STARがノーマンの生活を体験して、もう別世界!旅行に行った気分だけど、これが君(アンドレア)の現実なんだもんね…ふむふむとかなんとか話す歌詞。

 

明日はノーマンの勤め先に出社して、同僚と混じって仕事しますわ!普通の人に混じってやっていきまーす!

ステージ衣装から、ピンストライプのスーツに着替えます!といった内容。

アンドレアとの会話は、ざっくりこんな感じ。

 

STAR

まじ?このパジャマひどいな!

 

アンドレ

ひどいって?ノーマンは毎晩これ着てるんだけど。

 

STAR

おお、そっかー まぁ芸術のためならばね、、!我慢しますわ!明日も早いし寝るわ。

Rush hour blues

満員電車のブルース、笑える。フルリモートから出社になった人みたいなこと言ってる。

 

歌詞の内容は、彼(ノーマン)は、毎朝だいたい7時ちょうどに起きて、そんでシャワーして飲み物飲んでスーツ着て靴磨いて履いて…ラッシュアワーつらいわ!

毎朝毎晩こんなことしてんのかぁ…的な。

 

アンドレアとの会話は、ざっくりこちら。

 

アンドレ

準備できた?バスに遅れるよ!

 

STAR

まぁそんな探さなくてもさぁ、、

 

アンドレ

いやもう出ないと、いいよバッチリだって。

 

STAR

落ち着けって!時間ならたっぷりあるよ。

 

アンドレ

はい、新聞は後で。行列になっちゃうよ?

 

STAR

だから急かすなつってんの。いまニュース読んでんだから…ふむふむ

 

アンドレ

もう遅れるよ?本当に。

 

STAR

時間あるから大丈夫だっての。

Nine to five

勤め人になったことがないレイが書いてると思うと、おもしろい。

 

歌詞の内容は、仕事あれこれやって、9〜17時まで仕事ってなんで退屈なんだ……というSTARの感想。

Oh nine to five,nine to five,working from nine to five♩

 

少し調べたら、イギリスの大体の民間企業は1日8時間労働らしい。1時間短いのは、当時と今とで違うのか、公務員的な仕事なのか、レイが勤め人やったことなくてわからなかったのか、、?

When work is over

Nine to fiveからガラッと曲調が変わって、まさに仕事終わったー!🎉みたいな歌。

仕事終わったら、真っ直ぐ酒飲みに行ってなんもかんも忘れまーす!もう一杯!という歌詞。

Have another drink

もう一杯飲んだんだね。

みんななんか問題抱えてるものなの?締切大変?フラストレーションない?不満じゃない?ギリギリなの?一杯飲んで、さ、気分良くなろうぜという歌詞。

 

打つのが面倒なのではなく、本当に大体こんなことしか歌ってない。と思う。

Underneath the neon sign

引き続き、夜の街。ここから、STARの足元が揺らぎ始める。

現実が揺らぐ、自分すら疑わざるを得ないというのは、ディック作品にも通じるところがあってとてもとても大好きな展開。

 

目に映るものは全部、ニセモノ。足の下に地面はないし、木とか野原とかも無いし。コンクリがドーンってあるだけ。

雲まで届きそうな高層ビルで月は見えなくて、ネオンサインが偽物の月みたい。

 

これは本物?偽物?そもそも夜ってあるの?これって自分の妄想?

仕事でおかしくなってるのかな、どうにもならないの?

…まぁ、おすすめの方法があるから、試してみてよ。もう一杯のんで、気分変えて。

 

と、いう歌詞。

Holiday romance

だいぶ場面が変わって、1週間休みが取れて一人でバカンスに行った先での出来事。

 

海辺の小さなホテルで、ラヴィニアという美しく、内気…つつましい?女性に一目惚れして、単なるホリデーロマンスなのか、いや、真実の愛なのでは…と悩むSTARくん。

ラヴィニアにキスしようとしたら、今日旦那が来るんだよね…と言われて終了。

と、いう歌詞。

 

家に帰って、鍵を開けようとしたけど、アンドレア(ノーマンの奥さん)がおかえりーと迎えてくれる。

 

アンドレ

おかえり!なんだか疲れ切ってるみたい!

カバンちょうだい、お疲れ様。ここに座ってゆっくりしててね。

ご飯にしよっか、何かテレビでも見る?ところで、仕事はどうだった?

 

1週間バカンス行ってて、この反応?バカンスはSTARあるいはノーマンの妄想?

 

You make it all worthwihle

直訳すると、「あなたが全てを価値あるものにしてくれる」というタイトルの曲。

一番好きな曲!

直訳したタイトルだけだと、ラブソングっぽいけれど、真逆とも言える内容の歌。と、思う。

 

- YouTube

 

アンドレアに、仕事どうだった?と聞かれたSTARの返し(心の中)から始まる曲。歌詞、セリフを混ぜてまとめると、こんな感じの内容。

 

STAR

長くは続けられない、望みが消える前に去らないと…だって仕事でもうボロボロだし。。

でもさ、家に帰ったら…君がいるから。君は僕を笑わせてくれるし、笑顔にしてくれるよね。

しんどい書類仕事の後も、、君がいるから、、

 

アンドレ

あ!忘れてた。シェパーズパイ焼けたところだよ。

 

STAR

いらない、嫌い。

 

アンドレ

嫌い?でも、ノーマンは…ノーマンは大好きだし…あなたが普段通りにしてって言ったんじゃない。。

 

STAR

そうだね。後から食べる。君の料理についての歌詞を書かないとね…

ほら、自分を責めないでね、鼻拭いて涙も拭いて、ね?

 

ベイビー、君は僕の苦労なんて知ることはないんだよ。いくらかの家計を稼ぐために、奴隷みたく汗水垂らしてることを、知るわけないよね。

全く退屈な仕事で、もう…本当辛いしイライラするし精神病む。信じられる?本当だよ?

 

でも、家に帰れば君がいるからね。君は僕を笑わせてくれて、、面倒な書類仕事も君が価値あるものにするんだ。

 

アンドレ

蒸しプリンいる?

 

STAR

ダーリン、すごくいいね!

君がいるから…価値があるものになるんだよ、嫌な仕事も。

さ、夕食にしようか。

 

モグモグ…

 

STAR

ノーマンの会社は、ほんとイライラしたよ…

 

アンドレ

何言ってるの?あなた、ノーマンじゃない!

 

STAR

違う、俺はSTARだ!!!

 

アンドレ

あなたはSTARじゃない、ノーマン。普通のひと。つまらなくて、普通で、退屈なの!

 

STAR

こんな家、、お前も大嫌いだ!でも何よりも、このアヒルたちが大嫌いなんだよ!

(アヒルの飾り)

 

アンドレ

ノーマン!そのアヒルたちに触らないで!それはママからのプレゼントなんだから。

ていうか、もうあんたの空想にはうんざり!最初は画家になりたがって、次に宇宙飛行士になりたがって、サッカー選手になりたがって、今はロック歌手になりたがってる。 もしアヒルに触れたら、出て行くから!

 

  • 家に帰れば、君がいるから頑張れる。
  • 家に帰ると、君がいて、生活のためには働かねばと思ってしまう。

 

話の流れ的には、後者かなと思うけれど。

そして、ここでやっと、STARとはノーマンの妄想?空想?であるということが分かる。

しかし、よくアンドレアは離婚しないなあ。

Ducks on the wall

仕事辞めたい〜壁のアヒルの飾り物もーやだーどっかやっちゃいたい!

ここでは、もうほぼノーマンに戻りつつあるのでは?と思われる。

(A)face in the crowd

誤魔化すのはやめて、自分は単なる凡人だということに向き合わねば。観客たちにお辞儀をして、つまらない大勢の中の1人に戻るんだ、、という歌詞。

現実に目を向けて前向きに生きることに決めたのか、諦めたのか、どっちだろう?

You can't stop the music

エンディング的な。

過去のロックスター、シンガーに乾杯。過去の人となり、もう会うこともなく霧の中に消えていくけど、でも音楽は止められない。

と、いう歌詞。

おわり

ひさしぶりに、きちんと聴いたけどやっぱり良い!

この作品が出る数年前には、レイの最初の奥さんラサは子どもを連れて出ていっちゃうし、レコード会社との溝は深まるし、プリザヴェイションは売れないし…レイ自身、他の誰か(弟のデイヴ?)になりたいという思いが強かったのかなぁと思う。

 

 

  翻译: