前にいなりずしとリラックマを合体させた「いなりらっくま」をつくった。そのふくよかな「いなりらっくま」の姿を見てふと思う。電車の車両の形に似ている……。なんとか「いなりらっくま」を電車にできないものか。JRにかけあっても渋い顔をされそうだ。そうだ、模型ならできるのではないか。「いなりらっくま電車」を走らせたい。

僕は模型をつくれないので、知り合いの匠(たくみ)、まりりん氏にお願いした。二人でアイデアを出し合い、まりりん氏が形にする。まずはプラレールに目となる黒いプラスチックをはり、その上から茶色いフェルトを巻きつける。鼻と耳をつけると、リラックマの顔が浮かび上がった。



しかし早くも問題が出てきた。「いなりらっくま」の中身はごはんである。電車でごはんをどう表すか。ここで匠、まりりん氏の目が光る。どや顔で取り出したのは、なんと綿棒であった。綿棒の先を切り車両の上にしきつめると、ぴかぴかの新米があらわれた。


電車の正面にも顔をつくり、ついに「いなりらっくま電車」ができあがった! かわいすぎてにやにやが止まらない。では旅に出よう。出発進行!

「いなりらっくま電車」はかわいいだけでなく、性能もすごい。一年中走ることができる。春には桜を見ながらのんびり進む。木の間から「いなりらっくま電車」の顔を見た人は、幸せになるという。






夏には海を横目に爽快に飛ばし、秋には色づいた森の中を進んでいく。


寒い冬もなんのその、「いなりらっくま電車」は楽しそうに走る。メリーイナリマス!


「いなりらっくま電車」のすごさは、これだけではない。夜行列車にもなるのだ。その証拠をお見せしよう。お目目ピカーッ!


まりりん氏の技も光る。ニッパーで目をくりぬき、電車の中にLEDライトを仕込んでいたのだ。ちなみに桜の春のジオラマも手づくりである。


「いなりらっくま電車」の旅はまだまだ続く。「世界の車窓から」に出られる日を夢見て、こめつぶをゆらしながら今日も走る。

(写真・文=まりりん・武田タケ
◇関連リンク まりりん氏のブログ「のんびりいこうぜ