【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、ネタバレありの本音レビューをします。
今回ピックアップするのは、マーベル・シネマティック・ユニバースの最新作『ブラック・ウィドウ』(2021年7月8日映画館&7月9日ディズニープラス プレミア アクセス公開)です。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』から2年、本作は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)と『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)の間で起こった物語を描いています。
ブラック・ウィドウはマーベル映画に7作品出演していますが、やっと主演映画が作られて歓喜!
試写で観させていただきましたが、もう大興奮!!! かっこよすぎる!!! 女性のアクション映画として突出する面白さでした。では物語から。
【物語】
ブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)には、かつて家族がいました。両親と妹と暮らしてきた少女時代のナターシャ。でもその家族には秘密があり、追われる身となってしまい、家族はバラバラに。
母は死に、父は捕らえられ、妹とも離れ離れ……。しかし、数年後、ブラック・ウィドウになったナターシャの前に妹のエレーナ(フローレンス・ピュー)が突然現れるのです。
【孤独な暗殺者ナターシャが暗い理由】
少女時代のナターシャと家族のエピソードから始まる本作。普通の家族の姿が一転、追われる身となり、家族と引き離されていく悲劇の展開となります。
捕らえられたナターシャと妹エレーナは、レッドルームという暗殺者養成施設で凄強制的に暗殺者として訓練を余儀なくされるのです。
実はこの家族って言うのは疑似家族で、ナターシャは本当の家族を知りません。
アベンジャーズのことを何度も家族と口にしたり、本作でも偽両親を見捨てられなかったり、ナターシャがずっと求め続けているのは家族。おそらくアベンジャーズでいちばん情が深いのはナターシャではないでしょうか。
スカーレット・ヨハンソンは表向きはクールに演じつつも、実は情の厚いナターシャの本質をしっかり見せています。妹のエレーナを見つめる表情に愛情が見え隠れして、心を持っていかれちゃいましたね。
前作『アベンジャーズ/エンドゲーム』で、彼女が自分を犠牲にして下した決断の理由がこの映画を見るとよくわかる。もう1回『アベンジャーズ/エンドゲーム』を観たくなりました。
【口が悪い生意気な妹・エレーナ】
本作のもうひとりの主役はナターシャの妹エレーナ。ひさびさの姉妹の再会でも容赦ない攻撃をしかけてきたり、ブラック・ウィドウの決めポーズを「あれ、かっこいいと思ってるの?」とイジってきたり。
演じるフローレンス・ピューが、思っていることを全部口に出してしまう生意気なエレーナをでっかい態度で演じきっており、存在感強烈! だんだんエレーナの口の悪さが楽しみになってきて「次は何を言い出すんだろう」とワクワクさせられました。
ナターシャが陰キャなら、エレーナは陽キャ。この陰と陽が次第にいい感じで闘いながらバディになっていくんですね。
またスカーレット・ヨハンソンとフローレンス・ピューはアクションもキレッキレでかっこいいのですが、二人とも小柄でモデル体型じゃない。
割と日本人女性に近い体型をしているので「小柄でもこんなにかっこよく魅せられるんだ」とうれしくなっちゃって応援する気持ちにも力が入りました!
【女性監督がアクションエンタメの世界で大活躍】
本作は、ブラック・ウィドウが主演で、妹のエレノアも大活躍なのに加え、キャストに女性が多いのがうれしかったです。
女VS女の闘いは、男同士の肉弾戦みたいな荒々しさや力でねじ伏せるのとは違う、シャープさやしなやかさがあってよかった! 女性のアクション映画は増えたとは思うけど、もっともっと見たいですね!
また、本作はケイト・ショートランド監督が演出。DC映画『ワンダーウーマン』シリーズも女性監督だし、マーベル・シネマティック・ユニバースの次回作『エターナルズ』は『ノマドランド』でアカデミー賞監督賞を受賞したクロエ・ジャオ監督が演出だし、ハリウッド大作に女性監督作がどんどん増えていて楽しみです!
そのうち「女性監督」なんて呼ばれなくなるでしょう。
執筆:斎藤香 (c)Pouch
『ブラック・ウィドウ』
(7月8日(木)映画館&7月9日(金)ディズニープラス プレミア アクセス公開)
監督:ケイト・ショートランド 出演:スカーレット・ヨハンソン、フローレンス・ピュー、レイチェル・ワイズ 配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン ©Marvel Studios 2021
※プレミア アクセスは追加支払いが必要です。
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