子どもの頃見た時に「面白かったなあ」という記憶だけが残って内容は全然忘れてしまっていたアニメですが、今回年末年始に無料公開されていたので改めて見てみました。
およそ30年以上たっての改めての視聴でしたが、やっぱり面白かった!
田舎娘の”銀河が”新皇帝誕生の際にその妃候補に応募し、そこから様々な個性の女たちと出会い最終的に正妃の座を得るも、時代のうねりか反乱が起こり王朝が滅びてしまうという、おそらくテレビシリーズで1年くらいかけてやるべき壮大な物語を、わずか2時間弱の映像にまとめあげている、傑作アニメーションでした。
端折られた物語やキャラクターの関係性の変化を「もっと見たい!」「色々と想像したい!」と思わせてくれるだけの物語やキャラクターとしてのとしての強度がしっかりとした作品で、それでいてピックアップも上手いので、時間を忘れて2時間弱の物語の中にのめり込んでしまいました。
見ながらだんだんと思い出していって「子供の時は闘うお姉さんタミューンすごい好きだったな(今も好き)」とか、「セシャーミン今見るとけっこう感情移入できるな」とか、色々と懐かしい記憶が溢れ出てきて感慨深かったです。
思っていた以上に「男とは?女とは?」という事を哲学的に扱っている作品で興味深くそのあたりも素晴らしいと感じましたし、陰謀溢れる後宮の中において未熟でありながらも真っ直ぐな主人公の銀河の存在は際立っていて、普遍的な魅力がある作品だと感じました。
あと個人的に意外だったのは王朝を滅ぼしたイリューダと渾沌で、あまり子ども時代は印象に残っていなかったこの二人が、とても魅力的に感じました。対照的な義兄弟が暇つぶしに反乱を始める場面は今見ると男の子としてすごい興奮しましたし、最終的に皇帝の座という権力に溺れてしまいながらも袂を分かつ時には尊敬する兄貴分への情を忘れなかったイリューダは、愚かでありつつも偉いなと思いました。イリューダもまた「風のように雲のように」であり、フワフワとしていたからこそ反乱などという大それた事を成し遂げ、そしてそのまま諸行無常で消えていったのだと思いました。
大人になって見ても色々と考えさせられる、新たな魅力が発見できる作品で、改めて見ることができて本当に良かったです!