熊野大社(島根県松江市)

家族で北海道から島根県、津和野町を目指す車二台の旅。
出雲大社に向かう前に、
スサノオが火の使い方を伝えた伝説が残る神社があると聞き、
焚き火好きとしてはまずそこだろう、ということで挨拶に。
ということで島根で初めて参拝した神社が熊野大社。

島根県熊野大社:火の発祥とスサノオの神話が息づく聖地

島根県松江市八雲町にある熊野大社は、「日本火出初之社」(ひのもとひでぞめのやしろ)として火の発祥地と称される由緒正しい神社です。ヤマタノオロチ退治で知られるスサノオノミコトを主祭神とし、出雲国一宮として出雲信仰の中核を担ってきました。

熊野大社の歴史と格式

熊野大社は、式内社(名神大社)に指定され、旧社格は国幣大社、現在は神社本庁の別表神社です。『出雲国風土記』(733年)や『延喜式』(927年)にもその名が記され、古代から朝廷や地域の人々に崇敬されてきました。神紋は「一重亀甲に『大』の文字」。その格式の高さを象徴しています。

熊野大社は、出雲大社と並ぶ出雲国一宮として、地域信仰の中心地となりました。出雲国造の奉斎社として重要な位置を占め、出雲地方の文化・政治・宗教の要となっています。

スサノオノミコトと火の神話

主祭神「櫛御気野命(くしみけぬのみこと)」は素戔嗚尊(スサノオノミコト)の別名とされ、古代から「火」と「生命」の象徴として信仰されています。スサノオノミコトはヤマタノオロチを退治した際、得た剣「天叢雲剣(草薙剣)」を姉アマテラスオオミカミに献上しました。この剣は後の三種の神器の一つとなります。

ヤマタノオロチ退治の際、スサノオノミコトが火を使ったという伝説があり、この地で火おこしの技術を人々に伝えたとされています。火は、生命維持だけでなく、浄化や再生の象徴として古代から崇められてきました。

熊野大社の祭事と火おこしの伝承

毎年10月15日に行われる鑚火祭は、古代の発火器具「燧臼(ひきりうす)」と「燧杵(ひきりぎね)」を用いて火をおこし、「神火」として神々に捧げます。この火は、11月23日に出雲大社で行われる「古伝新嘗祭」で使用され、両社の深い繋がりを象徴しています。

鑚火祭の一環で行われるユニークな亀太夫神事では、熊野大社の神が出雲大社の餅の出来栄えに難癖をつけるという形式で、神々の関係性を象徴しています。

境内の見どころ

八雲橋を彩る桜並木は春の風物詩であり、訪れる人々を癒します。写真スポットとしても人気です。また、鑚火殿は火にまつわる歴史や伝承を体感できる特別な場所です。本殿は名神大社としての荘厳な造りが訪れる人々を圧倒し、木の温もりと歴史を感じられる建築です。

熊野大社と現代の焚き火文化

熊野大社で行われる火おこしの儀式は、現代の焚き火文化に通じる精神を持っています。火を自然の恵みとして扱い、焚き火を楽しむ際の「尊敬」と「感謝」の心を学ぶきっかけとなります。

火おこしの技術や精神は、現代のアウトドア活動においても実用的かつ象徴的な価値があります。

熊野大社へのアクセスと情報

所在地: 島根県松江市八雲町熊野2451
交通手段: JR松江駅からバスで約30分。「熊野大社前」下車。松江自動車道松江中央ICから車で約20分。
参拝時間: 境内は常時開放。

おわりに

熊野大社は、火の文化と神話、そして出雲信仰の深さを体感できる特別な場所です。
スサノオノミコトの伝説や鑚火祭を通じて、日本の古代から現代へ続く火の精神を感じる旅を、ぜひ松江市でお楽しみください。

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