先日とある書籍が届いた。
そのものズバリな商品名。
出版元はC's-Factory。
個人所蔵の国産アンティークウォッチ約250本を収録したクラウドファンディング発の本で、SNSで見かけて支援をしたもの。
クラウドファンディングは日本に入ってきた初期段階から注目していたけど、もしかすると実際に支援するのは初めてかも知れない。
黒を基調としたデザインは非常に見栄えが良い。
パラパラ捲ってみただけでもアンティークウォッチ蒐集にかける熱の高さを感じられると共に、「アンティークウォッチ蒐集」という落ちてはいけない沼の淵に立った心持ちがした。
SEIKO、CITIZEN、ORIENTの他に日本にはHAMILTONから技術提供を受けたTAKANOというブランドが存在したこと、また、カメラメーカーというイメージだったRICOHが腕時計を作っていたということも本書を手にして初めて知った情報だった。
僕が初めて手にしたコンデジがRICOHのCX-2という機種だったため、RICOHというブランドには強い思い入れがあるのだ。
見てみるとRICOHの腕時計は鉄腕アトムデザインのものが真っ先に掲載されていて、当時アトムがアメリカ国民にとってのミッキーマウスのように国民を代表するキャラクターだったことが伺える。
文字盤にミッキーマウスをあしらった時計をしているキャラクターで最も有名なのはダン・ブラウン著『天使と悪魔』『ダ・ヴィンチ・コード』の主役ラングドン教授だろう。
もしもRICOHのアトムウォッチシリーズが今も続いていたら、日本を代表する探偵キャラがアトムウォッチをつけていたかも知れない。
Yahoo!オークションでもRICOHのアトムウォッチの出品を確認することができる。
興味がある人は検索してみると良いだろう。
調べていた驚いたのはRICOH傘下のリコーエレメックスという会社が時計の製造を続けていること。
しかもページ右下には先ほど触れた「タカノ」の文字が!
気になって確認してみたところ悲しいお知らせが……
販売が終了していた。
企業情報によると名古屋に本拠地を置いていた高野精密工業株式会社が1957年3月に腕時計を発売、同年7月にHAMILTONと技術提携。しかし1959年に伊勢湾台風で本社が壊滅的被害を受け、1962年にRICOH傘下となったようだ。
こちらによると1960年には世界一の薄さの手巻き式腕時計を発表して話題となったらしい。
リコーエレメックスが今製造しているモデルは機械式ではないらしい。
デザインも非常に何というか……僕個人の感想を言えば残念な感じ……
公式サイトで確認できるモデルは三種類、最も価格の安いもので27,500円税込。
時計売り場で他に選択肢がある中でこれを選ぶ人っているのだろうか……
傘下企業ではあるが、大好きなRICOHというブランドがこのデザインの時計を出しているということは大分いただけない。
もっと洒脱なデザインの時計じゃないと売り場で勝ち残れないのではないかと要らぬ心配をしてしまう。
とまあ脱線はこのくらいにして、書籍は個人所蔵のコレクションを公開するという性格から、一人称視点で腕時計を語っているのが非常に好印象。
国産時計の王者たるSEIKOの中でも特にGRAND SEIKOの堂々たる風格を備えた品の数々、CITIZENに「Cちゃん」なるまっっったく可愛くないキャラクターがいたこと、三番手として変化球的な商品を投入し続ける様に思わず笑みが溢れるORIENTなど、各ブランドの性格も垣間見える気がして非常に読み応えのある一冊。
物価が違うとは言えGRAND SEIKOに25,000円の値札がついているのをみると流石にぶったまげる。
今はまだパラパラと捲っただけなので、今度腰を据えてじっくり読みたいところ。
Amazonでは現在品切れの模様。興味がある人は在庫復活(するのか?)のタイミングを狙ってみては?
というかクラファンなのにAmazonでも売ってるの?
香港の愛好家からの連絡で気が付いた。あれれ… 搬入数が少ないせいもあるが、2/17発売というのに、もう在庫切れ! 一般販売については、そもそもの数が少ないので問い合わせがあった方にしか言っていないのになあ〜。https://t.co/i2JxWuiZZ1
— 菊地吉正@時計雑誌「POWER Watch」発行人 (@powerwatch) 2021年2月6日
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