どこへ出掛けても観光客が溢れている中、ここはさすがに僻地といえるかも。プリントアウトしたグーグルマップだけを頼りに、狭い石畳の歩道を、ゴロゴロとスーツケースを引っ張りながら歩きます。
10分ほど歩いたところで、景色が一変したような気がしました。白い町の一角に入ったようです。
角を曲がってみると、ぱぁっと明るい町の雰囲気が溢れていました。
歴史地区は、もうそこ。ガラガラとスーツケースを引きながら歩いて行くと到着です。
右は、観光案内所。観光客もちらほらいます。
ステキ~ こういう素朴な町って今までに来たことがないので、すごく新鮮。
歴史地区はとても狭いのに教会がいくつもあります。
観光客に向けての工夫でしょうか。足を踏み入れていくと、壁にはこんな写真も掛けられています。オシャレな町ですよね~
いくら見ても見飽きないようなキュートさ。こんなところで生活しているなんて~
でも、時刻は13時半になろうとしています。お腹すいた~ ランチしよう~
小さい町ながら、お店は結構あります。さすがは「マンマの町」と呼ばれるだけのことはありますね。
娘が気に入ったのは、もっと素朴なお店でした。入口には
ミシュランのシールが貼られていましたが、事前にグーグルで候補に挙げた店の中には入っていません。でも、この
Trattoria Centro Storico は人気がありそう~ 扉を開けると満員です。まさか全部が観光客ではないでしょうから、きっと期待できるはず。
階段を数段降りて、左奥の隣の部屋へ。
こちらには数組しかまだいません。
イタリアは南へ行くほど貧乏だと聞きますが、この乾パンのような
タラッリは、小麦粉とオリーブオイルで作られています。北へ行くと裕福なので脂肪分を入れ、真っ直ぐに伸びて
グリッシーニになります。日本で見るレシピはどちらもオリーブオイルのようですけどね。
もう、おなかペコペコ。 前菜の盛り合わせは2人前 10EUR×2(2,750円) から。決して安いわけではないけれど、このボリュームだと破格です。まぁ、ご覧ください。
まずはチーズの盛り合わせ。これだけでもびっくりの種類。種類がわからないのは残念だけど、どれもクセがなくて薄味でさっぱりしています。
ズッキーニとナスのグリルも同じく薄味。レストランでこんなに薄味って、日本ではなかなかない。うち好みです。
前菜はまだまだ続きます。ハムの盛り合わせ。燻製タイプのとか、サラミとか、プロシュートなどなど4種類ぐらいかな。
こちらが前菜の盛り合わせの最後。ズッキーニのフリットと丸い揚げ物はレバーペーストのような味で、これがまた美味しい。
前菜の盛り合わせだけで、なんと4皿もありました。
パスタは、プーリア州と言えば
オレキエッテ。
ポモドーロと
Cima Di Rapa(英:turnip top)と書かれたふたつがありました。後者の
Cima Di Rapa(チーマディラーパ) は10月~3月の限定だったのでそちらに。
菜の花の味だなぁと思っていたら、同じ
アブラナ科のカブの花らしい。プーリア州が主な産地だそうなので、地元野菜のオレキエッテです。注文は2皿からだったので同じのがふたつでしが、少し苦みがあって美味しい。
メインにはトリッパを選びました。胃袋はロールキャベツのように、ちゃんと結んであります。日本で食べるよりクセが残っているかも。でも、とても美味しかったです。
ハウスワインは、ボトルで8EUR(1,100円)と安い。きのうローマで頼んだグラスワインと同じ値段だ~ プーリア州、物価安い~ 61EUR(8,400円) 。大満足でランチを終えました。でも、リンクさせたトリップアドバイザーの評価はそう良くないです。これで高評価が取れないなんて恐るべしロコロトンド、さすがは「マンマの町」!
ただし、トイレはエアートイレですで、便座がありません。ま~ そろそろ覚悟はできてきました。
お腹がいっぱいになったところで、散策に戻りました。
ローマに引き続き、お天気も最高でした。青い空に白い建物が映えますよね~
この日はとても暖かくて、ダウンコートを脱いで歩きたいぐらいだったのですが、それでも植木鉢や低木にシートを被せてありました。霜対策じゃないかと思います。
まだまだクリスマスの飾りも残っていました。でも、コレちょっとやり過ぎかも、と思っていたら、夜のイルミネーションがとても美しいんだそうです。クリスマスシーズンのロコロトンドは絶対お泊りがおススメと、
アルベロベッロのお土産物屋さんの陽子さんにあとで教わりました。残念!
直径100m足らずの円形の歴史地区ではありますが、スーツケースをガラガラ押して回るには、そろそろ終わり。 最初に通った教会の中。
厳めしい門を見て・・・(あとで知ったことですが、ここはモレッリ宮殿といって、当時の市長が住んでいたところだそうです)
最後に広がった町からの眺望はどこまでものどか。左手前にトゥルッリも見えるんですけど、とんがり屋根、わかるかな~
ヨーロッパをあちこち回っているうちに、西欧の重厚な建築物もいつしか新鮮味がなくなり、ちょっと毛色の違う北欧へ行ってみたり、
中欧へ行ってみたりしていましたが、それでもどこも有名な観光地ばかりでした。
ロコロトンドは、そんなに知られた町ではありません。ここを目当てにして行ったとしても、小さすぎて1時間もいらないかも。でも、これまで見たのとはまったく違うこの町に、すっかり魅力されたのでした。この無茶な寄り道は大正解。
さて、
アルベロベッロへ戻りましょう。16時44分発の電車を目指します。ロコロトンドの駅舎は簡素です。
切符は左にある緑のポストのような券売機で買います。バーリの駅にもありました。
クレジットカードは使えなくて、5
EUR紙幣かコインのみ使用可能です。隣の
アルベロベッロまでは
1.1EUR(150円)。忘れずにこの機械で刻印しておきましょう。
このあと、年配のご夫婦1組と、男性が1人やってきました。男性は券売機でしばし格闘したあと私たちに話しかけてきました。
「両替してくれないか?」
あぁ、小銭がないのね。でも、あいにく持ち合わせていません。ご夫婦にも声をかけていましたが、やっぱり持っていません。 切符が買えないと気づいたご主人は紙幣を手渡し。
「じゃ、これを使ってくれ」
いやいやそれは、と辞退する男性。にっこり笑ってご主人がひとこと、
「HAPPY NEW YEAR」
きゃ~ なんてスマートな。ステキ!旅先のとても優しい光景に、こころが温かくなりました。