考察28 角換わり腰掛銀 平成型vs令和型の攻防
こんにちは
今回から新たな考察をしていこうと思います。テーマは最近指しにくくなっている角換わり腰掛銀です。AI研究が進んで先手必勝と謳われてから久しく、最近は角換わり腰掛銀を研究無くしてうかつに指すことができなくなっています。そんな事情から普段は相掛かりや横歩取りの将棋をよく指すのですが、同じような将棋ばかり指すのもつまらないかなとも思っていました。そこで考えたのが図1の局面、後手は令和型の6ニ金8一飛車、先手は平成型の5八金2八飛車です。この局面一般的には後手がやれるというのが通説だと思うのですが、そこを研究でカバーできないものかと思いついた次第です。プロ棋戦で類似の将棋で有名なのは、2016年3月に放送された第65回NHK杯決勝戦の村山慈明当時七段対千田翔太当時五段の対局があります。この将棋がきっかけで6ニ金8一飛車型の将棋が大流行したと思います。今どき目線で見ると先手の6六歩が早く、後手から△6五歩と開戦される筋を誘発しているのかもしれません。
前置きが長くなりましたが、早速AI先生とみていきましょう。
初手から
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩
▲7六歩 △3二金 ▲7七角 △3四歩
▲6八銀 △7七角成 ▲同 銀 △2二銀
▲3八銀 △3三銀 ▲1六歩 △1四歩
▲3六歩 △6二銀 ▲3七桂 △4二玉
▲4六歩 △6四歩 ▲7八金 △7四歩
▲6八玉 △6三銀 ▲4七銀 △7三桂
▲9六歩 △9四歩 ▲5八金 △6二金
▲7九玉 △8一飛 ▲5六銀 △5四銀 - 図1
序盤の駒組はいろいろあるところですが、まあ無難な手順かと思います。図1の局面は早速先手の分岐点です。ここで▲6六歩とするのは、NHK杯決勝で千田当時五段が指したように後手から△6五歩(図A)と開戦する手があり嫌なところです。そこで代わる手として a) ▲6八金右と b) ▲4七金が考えられます。
図1から a) ▲6八金右
△3一玉 ▲6六歩 △2二玉 ▲4五桂
△4四銀 ‐ 図2
▲6八金右は玉側に金を寄せて守りを固め、玉が移動した後△6九銀の割打ちの筋を防ぐ意味がありそうです。但し駒が偏ってしまい、角打ちのスキが多くなってもいます。平成調の一手と言えると思います。後手が△2二玉と深く玉を収めた局面は、先手▲4五桂と跳ねて仕掛る一手かなと思います。
図2から
▲3八飛 △6五歩 ▲同 歩 △同 銀
▲3五歩 △5六銀 ▲同 歩 △4七角 - 図3
桂先の銀で後手が受けた局面で自然に見える▲2四歩は、以下△3七角 ▲2三歩成 △同 金 ▲2九飛 △4六角成と玉頭に利かせながら味良く馬を作り後手が良くなりそうです。そこで先手▲3八飛として3筋に照準を合わせますが、ここから後手の反撃が始まります。△6五歩の突き捨てから銀を進軍して5六の銀と交換を果たし、△4七角打と先手陣のスキを突いていきます。
図3から
▲4八飛 △5六角成 ▲5七歩 △5五馬
▲3四歩 △3六歩 ▲3三銀 - 図4
△同 桂 ▲同歩成 △同 銀 ▲5六歩
△5四馬 ▲3三桂成 △同 玉 ▲4五銀
△7二馬 ▲3四歩 △4二玉 - 図5
後手は馬を作ってポイントをあげます。先手からの▲3四歩取り込みに対しても、△3六歩(図4)と嫌味な垂れ歩を放ちます。この垂れ歩を相手にするのは効かされとみて、先手▲3三銀打と後手玉に迫ります。しかし、3三の地点は後手の守りも強く致命打とはならなさそうです。本譜3筋の折衝で手順に玉を4筋に繰り替え、馬を自陣に引きつけた後手陣は非常に手厚い感じです。3六歩への対処も残っており先手が苦戦の局面にみえます。AI先生の評価は-130互角を示しておりまだまだこれからの展開が予想されますが、先手としてはもっとリードを奪いたいところだと思います。今回はここで一区切りとしたいと思います。▲6八金右と平成調に玉を固める手順をみてきましたが、先手右辺のスキが多く角や垂れ歩で攻め駒を責められる展開となってしまいました。次回はこれに代わりAI先生の推奨する b) 4七金をみていこうと思います。
今回は、この辺りで失礼します。
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