自戦記39 後手村田システム3
こんにちは
順位戦A級最終局を終えて興奮冷めやらぬところですが、YouTubeで終局直後のインタビューがアップされてました。大きな戦いを終えたばかりの中で、勝ち負け、挑戦降級いろいろな背景を踏まえて、慎重に言葉を選んで話される姿に人間味を感じた次第です。名人挑戦権を得た豊島九段は、ここから藤井名人への戦いが始まります。準備調整が上手くいき、素晴らしい名人戦の棋譜が生まれることを願っています。
さて今回は、私の対局をご紹介しようと思います。私が後手番で村田システムで挑みました。ご紹介するのも3局目になります。以前とはまた違った戦いになりました。以下後手番目線の局面図を示します。
初手から
▲7六歩 △6二銀 - 図1 ▲2六歩
△3二金 ▲2五歩 △4二銀 ▲2四歩
△同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛
△5四歩 ▲4八銀 △5三銀右 - 図2
先手からの初手▲7六歩に対する△6二銀がちょっと工夫した一手でした。村田システムであれば角道は開けずに飛車先を突く△8四歩が普通ですが、先手が振り飛車でこられた場合は右四間飛車で進めたいので先手の作戦が分かるまでは飛車先も突きたくないというのが趣旨です。最近思いついた工夫で試行錯誤中です。本局は、先手が居飛車でこられたので村田システムでいく作戦としました。
図2から
▲4六歩 △8四歩 ▲4七銀 △8五歩
▲7七角 △4一玉 ▲6六歩 △6四歩
▲6八銀 △7四歩 ▲6七銀 △5二金
▲7八金 - 図3
こちらが村田システムを採用した場合、足早に棒銀で弱そうな角頭を攻めてくる方が多いように思いますが、本局の先手の方は▲4七銀~▲6七銀とツノ銀に構えて中央を手厚く指してこられました。
図3から
△9四歩 ▲3六銀 △3四歩 ▲2五銀
△3三銀 - 図4 ▲2四歩 △同 歩
▲同 銀 △同 銀 ▲同 飛 △2三歩
▲2八飛 △5五歩 - 図5
様子見の一手△9四歩に対して、先手は▲3六銀~▲2五銀と”鎖鎌銀”で攻めてこられました。これは要注意で△3四歩~△3三銀(図4)と備えておけば潰されることはありません。2筋で銀交換となり手番を活かして△5五歩(図5)と中央の位を取りました。
図5から
▲3八金 △5四銀 ▲4七金 △6三金
▲3六歩 △7三桂 ▲3七桂 △1四歩
▲9六歩 △6五歩 - 図6
2筋の銀交換で先手が銀と歩を手持ちにしてポイントを取りましたが、こちらも5筋の位を取りいい勝負にみえます。駒組が飽和状態になりつつあり、相手の▲9六歩をみて△6五歩と開戦していきました。あまり待つ手もないかなと思っていました。棋譜を今振り返ってみると▲9六歩に代えて▲2五銀打(図A)とされていたら対応に苦慮したかもしれません。AI先生は図Aの局面を互角と評価していますが、2筋突破を防ぐ△3三銀打には▲4五桂があります。悩ましく今後の課題かもです。
図6から
▲同 歩 △同 桂 ▲8八角 △6六歩 - 図7
▲同 銀 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛
▲8七歩 △8五飛 ▲6八玉 △3五歩
▲同 歩 △3六歩 ▲2五桂 △3七歩成
▲同 金 △5六歩 - 図8
△6五歩の開戦から△6五桂と捌いていきました。▲8八角と逃げた手に対して△6六歩(図7)としましたが、あまり良くなかったようです。▲6六歩と打たれるのを防いだ手でしたが、飛車先の歩交換をして△8五飛とした局面で▲6五銀と桂馬を取られる手がありました。△同銀、△同飛とする手に▲7七桂されてしびれてしまいます。本譜は何とかスルーして△3五歩からの手順で先手の金を3筋に追いやり△5六歩(図8)と角道を開けつつ玉頭に迫りました。
図8から
▲同 歩 △5七銀 ▲同 銀 △同桂成
▲同 玉 △8八角成 ▲同 金 △3九角 - 図9
▲4八飛 △5九銀 ▲3八金 △4八銀不成
▲同 金 △2七飛 - 図10
先手の玉頭に迫り終盤戦です。△5六歩の局面で数手後の王手飛車(図9)がみえて攻めが繋がりそうかなとみていました。こちらの玉は薄いのですが、先手の攻め駒が無い状況なのでこちらの攻めが切れなければ勝てそうです。銀で先手の飛車を奪って王手桂取りに△2七飛(図10)と迫りました。もう一息です。
図10から
▲4七角 △3五飛 ▲3三歩 △同 桂
▲同桂不成 △同 金 ▲3八歩 △6五桂 - 図11
▲5八玉 △5七歩 ▲4九玉 △4八角成
▲同 玉 △4七飛成 ▲同 玉 △5八角
▲4八玉 △4九金
まで100手で後手の勝ち
こちらの王手に対して▲4七角と合駒をしつつ桂取りを防がれました。ちょっと見えてなくて慌てました。ここで△3八角成~△3七金として角を奪う順のあったようでしたが、△3五飛としてあまり使えていなかったもう一枚の飛車も攻めに参加させました。△6五桂(図11)からは上から押していき何とか寄せ切ることができました。
一局を通して、5筋の位を活かして開戦したところまでは良かったですが、△6六歩(図7)と打った手と△8五飛と引いた手は危なかったでした。幸運にも危機をスルーすることができ玉頭から上手く攻めを繋げることができました。また村田システムの経験値を積むことができました。今後の対局に生かしたいところです。
今回は、この辺りで失礼します。
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