ファイブフォース分析
ポーターのファイブフォース分析[1](ファイブフォースぶんせき、英語: Porter's Five Forces Framework、5F)とは、マイケル・ポーターが提唱した、業界における競争状態を明らかにするための手法である[2]。
概要
編集ポーターの著書『競争の戦略[4]』で広く学会やビジネス界に知れ渡った。
「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」「競争企業間の敵対関係」という3つの内的要因と、「新規参入業者の脅威」「代替製品・サービスの脅威」の2つの外的要因、計5つの要因から業界全体の魅力度を測る。
業界の競争状態を明らかにすることにより、業界における競争圧力の具体的な源泉や、自社の業界内の立ち位置を知ることができるようになり、競争戦略を立案する際の基礎を得ることができる。さらに、業界の平均的なパフォーマンスのレベルを予測するためにも用いられている[2]。
しかし、分析を行う際は、体系的なやり方は存在せず、どうしても主観的判断に頼らざるを得ない[5]。
ファイブ・フォースの主な要素
編集買い手の交渉力(バーゲニング・パワー)
編集売り手の交渉力(バーゲニング・パワー)
編集新規参入業者の脅威
編集- 参入障壁の存在
- 製品差別化の価値
- ブランド・エクイティ
- 切替コスト
- 必要資本(サンクコスト)
- 流通経路
- 絶対的コスト優位性
- 学習の優位性
- 既存業者からの報復
- 行政の方針
代替製品・サービスの脅威
編集- 代替品への買い手の性向
- 代替品の相対的プライス・パフォーマンス
- 買い手の切替コスト
- 製品の差別化への認知度
競争企業間の敵対関係
編集- 競争企業の数
- 業界の成長力
- 一時的な業界の過剰生産力
- 撤退障壁
- 競争企業の多様性
- 情報の複雑性および非対称性
- ブランド・エクイティ
- 付加価値あたりの固定費用
- 広報費用
脚注・参考文献
編集- ^ Porter, M. E. (1979). “How Competitive Forces Shape Strategy”. Harvard Business Review 57 (2): 137–145.
- ^ a b 経営戦略学会 編『キーワードからみる 経営戦略ハンドブック』同文舘出版株式会社、2023年3月、114-115頁。ISBN 9784495390679。
- ^ M.E.Porter 著、土岐坤・中辻萬治・服部照夫 訳『競争の戦略』(新訂)ダイアモンド社、2003年2月、18頁。ISBN 4478371520。
- ^ Porter, M. E. (1980). Competitive Strategy. New York: Free Press. ISBN 0029253608
- ^ 淺羽茂、牛島辰男『経営戦略をつかむ』有斐閣、2010年5月。ISBN 4641177139。