ビートルズの最後の新曲「Now and Then」
いつものように、中古CD屋さんで掘り出し物を漁っていると、とつじょ店内のBGMがロックからビートルズの「Now and Then」に変わった。
え、ここ中古のものを売っている店でしょ?
まさか「Now and Then」がもう中古になったんじゃないよね?
単にお店のスタッフさんが聞きたかったから?
それとも店内に長居している私たちへのサービス?
いずれにしろ、ビートルズ最後の新曲と言われる「Now and Then」は2日前に発売になり、Official Audio は655万回再生、Official Video は1000万回超再生という人気ぶりである。
そして幸い、私もまだ聞き飽きた、というところまで来ていない。
掘り出し物がないのでもうお店を出ようと思っていたのだが、この曲がかかったので最後まで聴いてから出よう、と思った。
そして改めて
「これ、いい曲だな、私はイマジンよりずっと好きだな」
と思ったのである。
「Now and Then」はどうやってできたか?
「Now and Then」が日の目を見るためには、AIのサポートを使って古い録音からジョンの声を取り出し、雑音などを取り除いた後、残りのメンバーの演奏をプラスしているというように私は理解している。
ポール・マッカートニー「ビートルズの新曲はAI合成音声ではない」 | ギズモード・ジャパン
でも確かこれと似たようなのがあったよね、と私は自分の記憶をたぐりよせた。
私は紅白歌合戦をもう何年も見ていないので、ネット記事をいろいろとあたることになったのだが、2019年にAI美空ひばりによるシングル、「あれから」が発売されていることがわかった。
その「あれから」と「Now and Then」はどう違うの?
AI美空ひばりの「あれから」を聴いてみた
それを知るために今回、初めて下記の動画を見ることになったのだが、いやぁ~よくできているね!
美空ひばりのファンであったことのない私にとっては、とてもこれはAIが作ったものとは思えない。
私が苦手な、平たく押しつぶしたような声のところもあるし。
でも肝心なことは、美空ひばりはこの歌を生前歌ったことはまったくないんだよね?
ということはビートルズの「Now and Then」とは全然違うわ。
だってあれはジョンが生前作曲し、自分で歌ったものが元になっているから。
AI美空ひばりについては「故人に対する冒涜だ」という声もあるらしい。
「冒涜」なんてキツい言葉を目にすると、ギョッとするが、確かに故人がこの曲が好きかどうか、歌いたいかどうかはわからないわけだから、賛否両論あるのは仕方がないかもしれない。
忘れられない「アンフォーゲッタブル(Unforgettable)」
でも、待てよ。
何もAIの力を借りなくても、もっと前から機械の力を借りて故人の声がまるで現在も生きているかのように聞こえてくる名盤があったのだ!
それは1991年、ナタリー・コール(娘)がナットキング・コール(父)の声をオーバーダヴィングし、まるでほんとうにデュエットしているかのように歌った「アンフォーゲッタブル(Unforgettable)」である。
この歌はいいよ。
ハッピーなラブソングなのに、ほんとに泣けてくるから。
Unforgettable
That's what you are
Unforgettable
Though near or far
Like a song of that clings to me
How the thought of you does things to me
Never before has someone been more
忘れられない
それが君さ
忘れられない
近くにいても 遠くにいても
頭から離れない愛の歌のように
君への想いのせいで僕はどうなっていることか
これまでの誰かにはなかったこと