バレンボイムの5分間シリーズ
指揮者でピアニストのバレンボイムのYouTubeチャンネルから、「5 minutes on Debussy Clair de lune」(5分間ドビュッシー 月の光)という動画をみた。
この「5 minutes on なんとか」という動画はいわばシリーズみたいで、ドビュッシーだけでなくもちろん他の作曲家、作品もたくさんある。
たとえば「5 minutes on ショパンのバラード1番」
「5 minutes on ベートーヴェン月光ソナタ」とか。
ところがどうしてだろうね。
再生回数に限っていえば、ドビュッシーの月の光が一番多いようで、64万回とダントツなようだ。
2位のショパンバラード1番の35万回を大きく引き離している。
これは何を意味するのだろう?
それだけドビュッシーの月の光は人気があるということ?
そうかなぁ。
私の根拠のない印象から言えば、日本のピアノ学習者に人気なのは、1にも2にもショパンで、ドビュッシーは遠く及ばない感じ。
まあ、いい。
私がこの動画に期待したのは、ドビュッシーの月の光は、中間部の左手アルペジオのところが、めちゃくちゃ早く弾くピアニストと、そうでもないピアニストと二手に分かれるようなので、「どうしたらいいの?」という疑問を解決してくれるかも?と思ったからだ。
月の光の冒頭はシンコペーションだ!
ところがあてがはずれた。
5分間という時間制約のせいかもしれないが、バレンボイム氏の言いたいことはおおむねたった2つだけだったようだ。
そのひとつ。
この曲は8分休符から始まる。
そして次の左手和音で、イチ、と私などは数えていたのだが、バレンボイム氏によると、最初の8分休符が ONE だから、ここは TWO なのだ。
つまりここはシンコペーションなんだって!
知らんかった。
でもまあ、だからどうよ、という気もするけど。
これを知ったからといって、私の弾き方のどこかが変わるのだろうか?
しかし奇しくも、ここは私の先生との先日のレッスンで、「どうして8分音符からはじまっているのか考えてください」といわれたばかりの箇所であった。
うふふ。
今度は先生の眼を見つめて、
「なぜならシンコペーションだからです」
と言えるぞ。
私の左手に耳を置け、とは?
次は右手のトップノートは同じメロディーをかなでているのに、左手の和音が違っているというところ。
最初の左手和音はG♭ディミッシュ、次はE♭7かな。
バレンボイムさんは「よく聴いて! 私の左手に耳をおいて!(Put your ear on my left hand) と言っているが。
これって「私の左手をよく聴きなさい」っていうことだよね?
英語でこういう表現があるのかしらん?
英語のマスタークラスでこう言われて、思わず先生の左手に耳を置いたら、恥をかくかも?
そして最後のほうで、また同じメロディーが繰り返されるのだが、ここで印象的な、スパイス的というか、頭を後ろから殴られたような気さえする、ドのフラットの音。
かっこいいね~
私はもう若いときから、ここが大好きだった。
ドビュッシーってなんて天才なんだろう、と思ったものだ。
音の変化が聴き取れるように
バレンボイムさんのいいたいことの要約としては、
If you get your ear use to listening to the changes when the same music comes, you will get a lot out of it.
つまり、思い切り平たく言えば、
「わぁ、おんなじメロディーや!と思っても、音色は違うんです。
その音色の変化が聴き取れるように耳を鍛えとくと、いろんなことがわかりますよ」
と私は理解したのだけれど?
それにしても、中間部のアルペジオをどう弾いたらいいのか、教えてほしかったな、残念・・・