牛乳パックに入ったレアチーズの食レポ
むかしドラえもんの映画で、大根を割るとホカホカの料理が出てくる話があった
品種改良を極めた22世紀の世界では、大根の中身は好きに決められるらしい
冷静に考えると怖いけれども
幼い時分、それはもう憧れに憧れた
そして今現在の大根の性能の低さに歯噛みした
割っても割っても大根からはお刺身も唐揚げも出て来やしない
大根の中身はいつだって大根だった
それが現実だった
それから年月を経て
ついに、牛乳パックを開けたらレアチーズが出てくる時代が訪れた
ああ自分は未来世界にいるのだと、感慨深くパックを開けて、切り分けて、お皿に盛られた姿は殆ど豆腐であるが、一口食べるとレアチーズケーキなのである
大変美味しい
食べていると、世界から切り離される瞬間がある
レアチーズに喜ぶ99%の自分の傍らで
たまに、恐ろしく冷静な1%の哲学的な自分が
「一体自分は何を食べているんだろうか」と問いかける
その度に、夢の中に入ったような、あるいは逆に、現実に引き戻される感覚がある
これは精神のバグだろう
そしてその原因には心当たりがある
たぶん、自分はまだ「レアチーズケーキが食べたいな、よし牛乳パックを開けよう」という支離滅裂な手続きを受け入れられていない・・・
22世紀を司る脳の分野が出来上がっていないのだ・・・
恐ろしいのは、もし今後このレアチーズケーキを2回3回・・・・・と食べたとして、どこかで「これはレアチーズケーキなんかではない、■■■■だ!」などと、何らかの隠された真実に気付いてしまう事である
何かに気付いてしまったら最後
神と崇めていた巨岩がただの石だと知るように
かわいい着ぐるみの中身を垣間見るように
チーズケーキという夢が終わってしまうような気がする
今はただ、魔法が解けてくれるなよ、夢から覚めてくれるなよと願いつつ、一口一口を大事に食べている
人間の感覚の脆弱性に直面しながら食べるチーズケーキはあまりにも味わい深い
これが1本330円・・・・・・・・・・・・
お得!
(つぶやき廃棄所)
『魚卵全般』を指す言葉として、ヨーロッパでは「キャビア」が用いられ、ロシアでは「イクラ」が用いられる 昭和初期の日本では、「キャビア」は「イクラ」を指して用いられていた
『Hugging Face』は「ハグ」を表す顔文字
『燻製ニシンの虚偽』とは、ミステリー小説の技法のひとつで、「重要ではない事柄をあえて強調することで、読者を撹乱させる文章表現」のこと 猟犬の訓練方法が由来のひとつ 猟犬の鋭敏な嗅覚を養うべく、あえて香り立つ燻製ニシンを持ち込み、嗅覚による獲物の追跡に負荷を与えたという
『礎(いしずえ)』は、「石を据え置く」ようすが語源
『暗い太陽のパラドックス』とは、天文学の未解決問題のひとつ 地球が誕生して間もない頃の太陽は、現在よりも30%暗かったという この事実を踏まえると当時の地球はだいぶ寒く、海が液体として存在できない しかし、初期の地球は海に覆われていた様子である
『ダブルバレル質問』とは、一度に二個の問いかけをしてしまっている質問のこと 「あなたは犬や猫は好きですか?(はい/いいえ)」という質問は 「犬は好きか?」 「猫は好きか?」 という二つの質問を一度に問うものであり、回答不能のケースが発生してしまう