高峰秀子は生前26冊の作品を著しているが、中でも本書は異色のものだろう。
まったく畑違いの職業の女性を12組わたってインタビューしている。
灯台守、美容師、セールスウーマン、サーカスで働く女性、撮影所の裏方さんなど、どんな職業にあっても女性が働いていくことの厳しさなど縷々語られている。
因みに本書は昭和32年当時の話で、私としては「え、そうだったの」みたいなことがよく出て来る。
現在では考えられないが、子供の頃は列車内で赤子に母乳を含ませる光景などはざらだった。
現在、誰もが洋服を着ているが当時はまだまだ和服姿の女性も多く、ブラジャーも全国に普及していなかった。
ブラジャーが初めて和光商事で作られたのは昭和26年の5月。
当時の女性が着用していたのはシミーズじゃないでしょうか。
本書はそんな時代の話で、驚いたのは「農村の婦人は医学的な言葉を知らないから〝膣″といってもどこの部位か分からなかったということらしい。
また第二次ベビーブームだったのか、政府としては育児制限のようなものが奨励され、まだまだ貧しかった日本としては子供が多かったんでしょうね。
本来、日本の家屋事情から子供は出来にくいと思われるが、妊娠してしまう。
日本が貧しさから脱却するのはオリンピックが開催される昭和39年からだろうか。
そんな時代をよく知る高峰と女性たちの話だが、おそらく登場した人たちは誰も生きてはいまい。