島根県松江市にある「書架 緑と青」さんによるトークイベントをアーカイブにて拝聴しました。
俳人の鈴木総史さんと歌人の田村穂隆さんによる「地方で短詩を詠む」ということを中心にしたお話、とても興味深かったです。
お二人とも「湖」という語が句集名、歌集名に入っているという繋がり。
そこから見える「湖」に対する思い。
特に田村さんがお話されていた湖の「対岸」への意識には、歌人と俳人の違いを考えさせられました。
地方で暮らすこと。
よく考えれば短詩を詠む上での環境としては、地方だって十分に魅力的。
地方だからこそ詠めることがある。
しかし、地方を出ることが出来ない、その閉塞感、疎外感もあることは否めない――。
それらの話題は、自分が向き合っている評論にも通ずる部分があり、とても大きなヒントを得た気持ちになりました。
いま自分は東京にすぐ出られる場所で暮らしており、だからこそ地方で活動を続けている仲間たちのことを考えていたいと思いました。
実際、自分の所属する結社も大きく金沢と大分で活動している仲間がいます。
東京の句会に出ている私は先生の指導を毎月受けられますが、地方の仲間たちは年に何回先生に会えるかどうか、場合によっては会えないこともあります。
同じ結社に所属していながら、学ぶ機会が平等ではないことを日頃からもやもやとした気持ちで考えていました。
地方から発信することはもちろん大切です。
しかしそれだけでは駄目で、中央から地方への眼差しの向け方をもっとフラットに持った方が、よりお互いが歩み寄れるのではないでしょうか。
「中央」と呼ばれる場所に住んでいる者として出来ることは何だろう。
そう考えることがまず第一歩なのではないのかなと考えました。
そもそも自分も出身は栃木県です。
いま中央に暮らす人の中でも、地方出身の人は大勢います。
それぞれがそれぞれの故郷、地方を思うことでも、中央と地方の距離はもっと縮まっていくのではないかと思いました。
イベントの配信の様子はこちらより、6月16日まで購入出来るようです。
視聴期限は6月17日23時59分まで。
笠原小百合 記