氷を体温で溶かして鯉を捕まえる漁法(?)を編み出した王祥。
国立国会図書館デジタルコレクションより
王祥
継母人間有 王祥天下無
至今河水上 一片臥氷摸
王祥は。いとけなくして母をうしなへり。父またつまをもとむ。
其名を朱氏といひ侍り。けいぼのくせなれば。父子の中をあしくいひなして。
にくまし侍れ共。うらみとせずして。けいぼにもよく孝行をいたしける。
かやうの人なる程に。本の母冬のきはめてさむき折ふし。なま魚をほしく
思ひける故に肇府と云所の河へ。もとめに行侍。されども冬の事なれば。
こほりとぢて。いを(魚)みえず。すなはち衣をぬぎてはだかになり。
こほりの上にふし。いをなき事をかなしみゐたれば。かのこほりすこし
とけて。いを二つおどり出たり。則取て帰母にあたへ侍り、是ひとへに
孝行のゆへに。そのところには。毎年人のふしたるかたち。こほりのうへに
あるとなり。
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このお話、「継母が意地悪だった」というエピソードはどうしても必要だったのかしら。
「いとけなくして母を失った」王祥の、生母に鯉を食べさせたときのお話のはずなのに氷上の王祥はどう見てもおじさんです。いとけないおじさん。
上田市妙見寺の王祥。