著作権保護期間延長問題を考えるフォーラムの公開トークイベント vol.2 の主役は、神発言連発の三遊亭圓窓師匠だったようだ。
注目すべきは、著作権者である遺族の意向を過度に保護することの弊害である。ITmedia の岡田有花は日和ってちゃんと書いていないが、落語化の構想をテレビで語っただけで抗議してきた藤沢周平の遺族の事例は重要な示唆を含んでいると思う。
あまりに反発を受けたためか著作権保護期間延長賛成派も封印しているように見える「遺族の心情」論だが、遺族が芸術作品の流通を妨げる事例は実は今でもいくつもある。一例を挙げるなら、コッポラとルーカスが製作総指揮、『タクシードライバー』のポール・シュレイダーが監督をつとめ、カンヌ国際映画祭最優秀芸術貢献賞の評価を受けながら三島由紀夫の遺族の意向により日本公開できない『Mishima: A Life In Four Chapters』がある。
例えば太宰治タイプの創作者の作品が、遺族に心労を与えるケースは容易に想像できる。しかし、現状を鑑みるにアイデアレベルの抗議を許容するまで著作権者を過保護し、遺族が著作権を財産視する風潮が好ましいことにはワタシには思えない。
藤沢周平の遺族については、Moleskin Diary 2.0 の『兄 藤沢周平』書評などでいくらか事情を知っていたが、藤沢周平ラブで映画化された作品も必ず観に行くワタシの父親は知ってるのかな。
[追記]:id:shiranui のブックマークコメントに対して
公開トーク参加してないけど、藤沢氏の件はテレビで公にする前に一言という儀礼のことかも知れないので遺族がアレかは保留するです。三島氏の件は著作権ではないのでは(名誉権?)
だから、落語家がテレビに出て「自分が落語化するなら……」と語る(別に製作発表などではない)のまで事前に話に通すのが「儀礼」というのは明らかにおかしいだろ。あと「三島氏の件は著作権ではないのでは」って、ワタシもそんなこと書いてませんが?
[4月23日追記]:著作権保護期間延長問題を考えるフォーラムに、三遊亭圓窓師匠の発言に関するNHK担当者からの事情説明並びに映像の削除要請が追加されているので、そちらも参照の上でご判断ください。