パーキンソンの法則
それは勿論、公共の福祉の為であろう筈はなく、一部の人間のエゴ、欲望によるものです。一方、それを構造として考えた場合、拡大した組織が、工事が終わっても規模を縮小しないで生き残るために、次々と工事を作り出して自己増殖を続けようとするからです。・・・という解釈をもっと一般化して説明しようと考えていたら、丁度いい法則を見つけました。
パーキンソンの法則です。
パーキンソンの第一法則の出だしの一文は
「仕事は、その遂行のために利用できる時間をすべて埋めるように拡大する」
というものです。・・・言い得てますね!
そして官僚組織の非合理性について、
「組織が拡大するのは業務が増化するからではなく、組織が役人を増やすメカニズムを内包しているからであり、組織が拡大するから、無用な業務も増える」と(ユーモアと皮肉を交えて)指摘しています。
官僚組織の肥大化の本質を鋭く分析しています。官僚に限らず、この手の組織に広く当てはまる法則でしょう。
政・官・民 癒着の公共工事はその典型で、高度経済成長時代と言うとんでもない勘違いの時代に、公共事業を増やして・・・実態は、いつの時代でも、不要な公共工事、やってはいけない環境破壊の公共工事だらけだった筈ですが・・・ゼネコン業者や関連業者を拡大してしまったから、その肥大化した業者や官公庁、天下り組織の為に、もう十分過剰で食傷気味な公共工事をやり続けているのです。次々と道路を造り、ダムを造り、護岸工事をして・・・・
つまり、官僚組織、政治家、ゼネコン業者の成長の為に、経済も成長しなくてはならないと言う滅茶苦茶な論理になっていくのです。
政官と癒着していない一般企業では、リストラ(もともとの意味は、「構造の再編成」ですが、日本では「人員整理」の意味で使われる場合がほとんどです。)をして苦労しているのに、有り余る税金(実質はもう借金なんですが・・)を使った公共工事は、いまだに出鱈目な事を屁理屈をつけてやっているのです・・・最近やっと止まり始めましたが、まだまだ増やそうと画策されています。
そして、経済成長は行き詰まったのに、事業だけ肥大化させて、日本は借金大国になってしまいました。今の政府はその借金を、さらなる経済成長で乗り切ろうとあがいています。
それって、ギャンブルで大きな借金を作ってしまった愚か者が、さらに借金を重ねてギャンブルを続けるのに似ていませんか?
さらにパーキンソンの第一法則が当てはまるのは、公共工事だけではありません。(特にアメリカは)肥大化した軍需産業もさらに自己拡大すべく政官と癒着して、戦争を仕掛けるのです・・・・
パーキンソンの第一法則は、広く一般に当てはまる法則でしょう。こんな事・・・組織の自己拡大の維持・・の為に地球環境は人間が住めないくらいに破壊されていくのです。
余談ですが、パーキンソンの法則は、有名な第一法則だけでなく、第2、第3法則・・・とあり、どれも興味深い面白い法則です。そして、パーキンソンは、ユーモアと皮肉たっぷりにこれらの法則を説明しているのです。
特に、社会学者や経済学者ではなく、原子核物理学者 森永 晴彦 氏 が訳した日本語版は、面白そうです。
私も『パーキンソンの法則』を書物としては読んでいませんので、是非購入して読もうと考えています。
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