小舟を作る
隣のビーチに置いてある、1~2人乗りバンカーボート(これは船底に小型エンジン付き)。
・・・前回からの続きです。
彼女の言う舟は、いわゆる“バンカーボート”。
フィリピンスタイルのダブルアウトリガーの舟(木造舟)です。
Vの作れるのは、その中でも長さ3~5メートルくらいの手漕ぎ、もしくは小型エンジンを載せる舟です。
私の経験では、こういう舟は持っていると非常に重宝します。
何かと役に立つのです。
例えば、近場の釣りや舟遊び、あるいはテンダー(沖の船と岸の渡しや連絡用)、はたまたレスキュー舟として。
陸で言うと、自転車やスーパーカブのような感じです。
私は、もう少し大工Vに居てもらう方向で検討しました。
ただし、一般的にフィリピンの人達は、自分を思い切り誇大に売り込みます。
『謙遜』とか『控え目』とかは、その言葉の存在さえ不確かな国ですから、云う事を鵜呑みにはできません。
確認してウラを取ります。
知人といえども、これ(=ダブルチェック)をしないとエライ目に合うことがあります。
管理人おばちゃん:Lに・・・
「彼が今まで作った舟が見たいんだが、この辺にある?」
と聞くと・・・
『隣りに2艘ある。』
ウチの隣のビーチは空き地です。
漁師の舟が、20艘以上ずら~っと陸揚げしてあります。
早速二人で見に行きました。
大工Vの作による舟も、他の舟となんら変わりません。
(隣のビーチには、近所の漁師の舟が多数係留されています。土地の所有権がごちゃごちゃなので、ほとんど不法地帯?)
私はゴーサインを出しました。
手漕ぎの小舟です。
翌日、大工Vに舟作りのことを伝えると、なにやら嬉しそうにしています。
この笑顔の意味は不明(恐らくは『してやったり!』)ですが、必要な材料をリストアップしてもらいます。
大まかに言えば、材料は、ラワン角材、耐水ベニヤ、銅釘、海用エポキシ接着剤、海用エポキシペイント。
知人の1級建築士(日本人)によると、フィリピンで多用される『マリンエポキシ(エポキシ系の海用接着剤)は日本には無い』・・・10数年前当時の話ですが・・・らしい。
買いそろえて渡します。
そして製作開始!
舟底部分。
角材を無理やりまげて、固定します。
短い木は仮の押さえ木。
こうして船底の部分から作成が始まった。
舷側の骨組み用の角材を固定する。
ざっとこんな感じです。
肝心かなめのバウ(舳先)の木は、古材木を利用。
舷側に木を渡し、船首と船尾部分を加工していく。
ダボを切り、マリンエポキシ(接着剤)と銅釘で構造作成。
(銅釘を使うのは、もちろん錆びないからです)
船底と舷側に、カットした防水ベニヤを貼っていく。
中央が大工V。
なんか舟らしくなってきました。
そして彼の首は少なくとも舟完成までは、繋がったのです。
ところで、相変わらず、日本のあちこちの企業では、“リストラ”というカタカナ英語で、人員整理が行われているようですね。
リストラとは、リストラクチャリングをはしょった言葉だと思います。
“RESTRUCTURING”は、RE-STRUCTUR-ING。
つまり本来の意味は、(何かを)再構築すること、構造を改革するとかでしょう。
ですから、経営上の戦略としての“解雇”を、“リストラ”と表現するなら『人間もモノ同様に扱ってますよ』⁽?⁾と、自分からバラしている様な言い回しです。
それとも“リストラ”などという、遠回しな言い方でないと、経営者の方は、やはり気が引けるのでしょうか?
メディアでも、あまりハッキリと“解雇”とは言わないようです。
当事者も、「リストラされた」みたいな言い方をすることが、、、多いようですね。
「社員の首を切った」とか「首切りされた」とかあからさまに言うと、悲壮感が強調されるからでしょうか?
しかし、私フウテンとしましては、敢えて雇用者も被雇用者も「首切り」と言って欲しいものです。
「くびにした」、「くびにされた」というふうに。
“首切り”とは、もともと“斬首”です。
昔の刑罰の、ほぼ最高刑です。
非常に悪いことをした人に与えられる、刑罰です。
何も悪いことをしていない社員、労働者まで首を切る―――リストラとはそういうことでしょう。
願わくば、経営者の方々、大いにその痛みを感じ、身を正していただきたいです。
昔風に言うと、『リストラ』とは、『玉虫色』な便利な表現なんでしょう、きっと双方にとって。