皆様こんにちは
山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。
いつも当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます!!
クリーニング店から淡いブルーのウールカシミヤ素材のニットセーター(Spick&Span製)の
クリーニングの依頼を受けドライクリーニング後に前身頃に黄色いしみがありしみ抜きを
した所、脱色した為にクレーム防止の為に色掛けをして欲しいとのご依頼です。
ニットセーター(Spick&Span製)
ニットセーター(Spick&Span製)品質表示
素材 羊毛90%カシミヤ10%となっています。
洗濯表示 家庭での洗濯禁止、塩素系及び酸素系漂白剤の使用禁止、タンブル乾燥禁止、
底面温度120 ℃を限度としてアイロン仕上げができる、石油系溶剤又は
デカメチルペンタシクロシロキサンによる弱いドライクリーニングができる、
ウエットクリーニング禁止となっています。
ニットセーター(Spick&Span製)しみ抜き作業による脱色
前身頃に黄色いしみがあって化粧石鹸を付けて蒸気しみ抜き機(スポッター機)の蒸気を
当てたところ脱色したとお聞きしました。
脱色した原因を探求するとウール素材の原毛には50%位の不純物のグリース(脂肪質)を
含んでいます。このグリース(脂肪分)が水溶性の染料による染色の邪魔をします。
また染色は浸染といって煮込んで染めて染料を定着している為にコストダウンによる
染色時間の短縮していると、染料が剥離しやすい事も考えられます。
あとは不適切なしみ抜き法による脱色です。
染色補正のしみ抜き法の中に、移染した染料のしみ抜き法として、アルカリ・アルコール溶出法が
あり、使用する薬剤がアンモニア水(アルカリ性)、メチルアルコール(中性)、
マルセル石鹸(アルカリ性)を付けて熱を掛けると染料が溶けて熱の方に移動していきます。
クリーニング店でのしみ抜き法として化粧石鹸(弱アルカリ性)と蒸気による加熱によっての
脱色しました。弱アルカリの化粧石鹸を加熱したことによりウール地に弱く定着していた染料が
溶け出たと考えられます。私自身も修行時代に化粧石鹸を水処理に使用していました。
化粧石鹸が弱アルカリ性で生地に残留しても人間の皮膚が被れない事やそれなりに洗浄力が
あるので多用していましたが、使用時に熱を掛ける事は皆無だった為にクリーニング店の
しみ抜き法にある意味驚きました。
ニットセーターに脱色した部分を良く見ると化粧石鹸のアルカリ成分が残留して黄色く
なっています、さらに若干青味の染料も残って居る様に感じました。
蒸気しみ抜き機(スポッター機)の蒸気と高圧エアーを使用した為にニット生地も痛んでいると
考えられますので、この状態では残留物が邪魔して上手く染料が乗らないのでまずはしみ抜き作業で
残留物の化粧石鹸を洗いサワー剤で中和後によくゆすぎを行いました。
ニットセーター(Spick&Span製)しみ抜き処理後
化粧石鹸の残留物を除去すると綺麗な黄色になったのでこれで色掛け(色修正・染色補正
・染直し・部分染・地直し)が出来ると一筋の光明が見えてきましたが、高名なしみ抜きの
先生がウールニットのしみ抜きは色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)が
困難な為にお断りをする事を思い出し、また奈落の底に突き落とされる事は無くウールニットの
色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)は何度も経験しているので、
平常運転で色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)を行いました。
ニットセーター(Spick&Span製)黄ばんだしみ
近くに黄ばんだしみが有ったのでしみ抜き剤を付けて処理しましたが、脱色する事は
有りませんでした。
ニットセーター(Spick&Span製)色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)後
長年の染色補正士の経験から裏地が付いていないウールニットセーターの場合手間は倍掛かりますが
裏側もしっかりと色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)を行わないと仕上がりも
悪いですし、なによりお客様が着用時に裏側が脱色しているとクレーム対象になる為に
表裏用側に色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)を行いました。
やはりウールニットは生地の凹凸がある事と生地のグリース(油分)が色掛け(色修正
・染色補正・染直し・部分染・地直し)の邪魔をしてなかなか色掛けが進まずとても苦労しました。
またクリーニング店で行ったしみ抜き作業で生地が傷んでいて綺麗に仕上がりさせんでした。
しみ抜き作業でいかに生地を傷めないかで仕上がりが随分と違ってきます。
色が抜ければ色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)を行えば良いですが、
それ以前にデリケートなニットに高圧蒸気や高圧エアーを当てて生地を傷めないで欲しいです。
絹のスレやウールニットの生地の傷みは色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)で
補正する事は出来ません。いかに傷めないでしみ抜き処理をするが、職人の腕の見せ所です。
さらに自分もそうですが、老化現象に伴い老眼になっています、明るい照明の下で度数の合っている
老眼鏡を掛けて作業をしていただく事を望みます。
着物と洋服のお手入れは
厚生労働大臣認定一級染色補正技能士のいる
山三 三ツ屋染舗にご用命下さい。
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