きものと洋服でお困りのあなたへ !!

創業106周年きものと洋服のお手入れ専門店 一級染色技能士の仕事事例と日常生活

クリーニング店によるやらかし ニットセーター(Spick&Span製)しみ抜きによる脱色 しみ抜き・色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)ウール・カシミヤ素材

2025年01月10日 | 洋服(他店で直らない品物)

皆様こんにちは

山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。

いつも当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます!!

クリーニング店から淡いブルーのウールカシミヤ素材のニットセーター(Spick&Span製)の

クリーニングの依頼を受けドライクリーニング後に前身頃に黄色いしみがありしみ抜きを

した所、脱色した為にクレーム防止の為に色掛けをして欲しいとのご依頼です。

ニットセーター(Spick&Span製)

ニットセーター(Spick&Span製)品質表示

素材 羊毛90%カシミヤ10%となっています。

洗濯表示 家庭での洗濯禁止、塩素系及び酸素系漂白剤の使用禁止、タンブル乾燥禁止、

底面温度120 ℃を限度としてアイロン仕上げができる、石油系溶剤又は

デカメチルペンタシクロシロキサンによる弱いドライクリーニングができる、

ウエットクリーニング禁止となっています。

ニットセーター(Spick&Span製)しみ抜き作業による脱色

前身頃に黄色いしみがあって化粧石鹸を付けて蒸気しみ抜き機(スポッター機)の蒸気を

当てたところ脱色したとお聞きしました。

脱色した原因を探求するとウール素材の原毛には50%位の不純物のグリース(脂肪質)を

含んでいます。このグリース(脂肪分)が水溶性の染料による染色の邪魔をします。

また染色は浸染といって煮込んで染めて染料を定着している為にコストダウンによる

染色時間の短縮していると、染料が剥離しやすい事も考えられます。

あとは不適切なしみ抜き法による脱色です。

染色補正のしみ抜き法の中に、移染した染料のしみ抜き法として、アルカリ・アルコール溶出法が

あり、使用する薬剤がアンモニア水(アルカリ性)、メチルアルコール(中性)、

マルセル石鹸(アルカリ性)を付けて熱を掛けると染料が溶けて熱の方に移動していきます。

クリーニング店でのしみ抜き法として化粧石鹸(弱アルカリ性)と蒸気による加熱によっての

脱色しました。弱アルカリの化粧石鹸を加熱したことによりウール地に弱く定着していた染料が

溶け出たと考えられます。私自身も修行時代に化粧石鹸を水処理に使用していました。

化粧石鹸が弱アルカリ性で生地に残留しても人間の皮膚が被れない事やそれなりに洗浄力が

あるので多用していましたが、使用時に熱を掛ける事は皆無だった為にクリーニング店の

しみ抜き法にある意味驚きました。

ニットセーターに脱色した部分を良く見ると化粧石鹸のアルカリ成分が残留して黄色く

なっています、さらに若干青味の染料も残って居る様に感じました。

蒸気しみ抜き機(スポッター機)の蒸気と高圧エアーを使用した為にニット生地も痛んでいると

考えられますので、この状態では残留物が邪魔して上手く染料が乗らないのでまずはしみ抜き作業で

残留物の化粧石鹸を洗いサワー剤で中和後によくゆすぎを行いました。

ニットセーター(Spick&Span製)しみ抜き処理後

化粧石鹸の残留物を除去すると綺麗な黄色になったのでこれで色掛け(色修正・染色補正

・染直し・部分染・地直し)が出来ると一筋の光明が見えてきましたが、高名なしみ抜きの

先生がウールニットのしみ抜きは色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)が

困難な為にお断りをする事を思い出し、また奈落の底に突き落とされる事は無くウールニットの

色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)は何度も経験しているので、

平常運転で色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)を行いました。

ニットセーター(Spick&Span製)黄ばんだしみ

近くに黄ばんだしみが有ったのでしみ抜き剤を付けて処理しましたが、脱色する事は

有りませんでした。

ニットセーター(Spick&Span製)色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)後

長年の染色補正士の経験から裏地が付いていないウールニットセーターの場合手間は倍掛かりますが

裏側もしっかりと色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)を行わないと仕上がりも

悪いですし、なによりお客様が着用時に裏側が脱色しているとクレーム対象になる為に

表裏用側に色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)を行いました。

やはりウールニットは生地の凹凸がある事と生地のグリース(油分)が色掛け(色修正

・染色補正・染直し・部分染・地直し)の邪魔をしてなかなか色掛けが進まずとても苦労しました。

またクリーニング店で行ったしみ抜き作業で生地が傷んでいて綺麗に仕上がりさせんでした。

しみ抜き作業でいかに生地を傷めないかで仕上がりが随分と違ってきます。

色が抜ければ色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)を行えば良いですが、

それ以前にデリケートなニットに高圧蒸気や高圧エアーを当てて生地を傷めないで欲しいです。

絹のスレやウールニットの生地の傷みは色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)で

補正する事は出来ません。いかに傷めないでしみ抜き処理をするが、職人の腕の見せ所です。

さらに自分もそうですが、老化現象に伴い老眼になっています、明るい照明の下で度数の合っている

老眼鏡を掛けて作業をしていただく事を望みます。

 

着物と洋服のお手入れは

厚生労働大臣認定一級染色補正技能士のいる 

山三 三ツ屋染舗にご用命下さい。

〒062-0902

札幌市豊平区豊平2条2丁目2番20号

電話011-811-6926 FAX011-811-7126

営業時間 9:00~18:00

休日 日曜・祝日

メール mitsuyasenpo@train.ocn.ne.jp

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紬袷 食べこぼししみ・袖口汚れ しみ抜き 正絹素材

2025年01月09日 | 着物(しみ抜き)

皆様こんにちは

山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。

いつも当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます。

普段着の紬袷のお手入れのご依頼です。

紬袷

紬袷胸元 食べこぼしたんぱく質しみ

胸元に食べこぼしによるたんぱく質のしみが付着しています。

紬袷 袖口汚れ

気が付きにくいですが、袖口も汚れています。

紬袷胸元 しみ抜き後

食べこぼししみは少し硬いしみだったので、油分を十分に除去してから、

たんぱく分解酵素で処理してしみを除去しました。

紬袷袖口 しみ抜き後

袖口汚れも気が付きにくいので、気が付いた時は真っ黒になっています。

薄汚れている時からこまめに汚れを落とすと、いつも綺麗で気持ち良く着られます。

紬袷 仕上がり後

綺麗に仕上がりました。

 

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ニットワンピース(レオナード製) スレ(擦れ・白け・白化現象)水洗い・深色加工・色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・スレ直し・地直し)ウール素材

2025年01月08日 | 洋服(色掛け・色修正・染直し・部分染・染色補正)

皆様こんにちは

山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。

いつも当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます。

ニットワンピースのお腹の部分にスレ(擦れ・白け・白化現象)が出ている為に

直して欲しいとのご依頼でしたが全体的にも色褪せしていました。

ニットワンピース(レオナード製)

ニットワンピース(レオナード製) 品質表示

素材 ウール100%です。

白地のニット生地に顔料捺染の為に裏側が染まって居ません。

洗濯表示 家庭での洗濯禁止、塩素系及び酸素系漂白剤の使用禁止、タンブル乾燥禁止、

底面温度160 ℃を限度としてアイロン仕上げができる、石油系溶剤又は

デカメチルペンタシクロシロキサンによる弱いドライクリーニングができる、

ウエットクリーニング禁止となっています。

ニットワンピース(レオナード製) スレ(擦れ・白け・白化現象)

顔料捺染の為に摩擦でお腹の部分がスレ(擦れ・白け・白化現象)によって

白化していますし、全体的にも色あせ退色して白くなっています。

水洗いをした後に色素回復剤を使用して色褪せを修正しました。

ニットワンピース(レオナード製)色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)後

デジカメの自動撮影の為、適正露出に成らずに画像が白っぽく写っていますが、実物は綺麗な

濃紺になっています。スレ(擦れ・白け・白化現象)の部分に色掛け(色修正・染色補正

・染直し・部分染・地直し)を行いの見た目が分からない様に補正をしました。

ニットワンピース(レオナード製) 仕上げ後

ペットの毛が付いていたのでプレス後にブラシ掛けを行い、綺麗に仕上がりました。

 

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フィッシング詐欺メールにご注意下さい。

2025年01月07日 | コラム

皆様こんにちは

山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。

いつも当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます。

1/5は大型のWindowsupdateがあり一日パソコンが使えませんでした。

スマホでFacebookにアクセスすると下記のメッセージがありました。

Abubakar Abubakar

メタからの重要なお知らせ:

投稿が当社の商標権を侵害している為、あなたのFacebookページは永久に削除される予定です。

当社は徹底的な検討を経て、当社の知的財産保護ポリシーに従ってこの決定に至りました。

これが誤解であると思われる場合は、Facebookから削除される前にページを復元するように

申し立てを行ってください。レビューリクエストhttp://・・・・・・・・

この状況により、お客様の継続的な事業に影響が出る可能性があることを理解しております。

ただし、お客様からの苦情がない場合、当社の決定が最終的なものとなることをご了承ください。

ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

ご質問やご不明な点がございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。

真剣に、Facebookサポートチーム。

とのメールがありました。

何かFacebookに対してやらかしたのかと、レビューリクエストをクリックすると

ウイルスバスタークラウドが反応してこのサイトは安全でないと報告されています。

フィッシングサイトに誘導される所を見事にブロックしてくれました。

フィシングメールの巧妙になり騙される所でした。

ウイルスバスタークラウドに感謝です。

読者の皆様もフィシングメールには十分お気を付け下さい。

 

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クリーニング業書 最新汚点抜法(昭和32年発刊)クリーニング業界の問題

2025年01月06日 | コラム

皆様こんにちは

山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。

いつも当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます。

先輩のクリーニング業者から68年前の昭和32年(1957年)発行の

クリーニング業書・第六巻「最新汚点抜法」の本をお借りしました。

本を読んで68年前の問題も現在の問題が何も変わっていない事が分かりました。

私自身は学者でもあれませんし、実際に作業をしている作業能力者(職人)の目線で

発信しています。

クリーニング業書・第六巻 最新汚点抜法

本の中身はたくさんのしみの種類の対処法が書かれていました。

この当時のしみ抜きは染屋のしみ抜きから発達した「和式しみ抜き」と蒸気しみ抜き機

(スポッター・マシン)及びしみ抜き技術は元来アメリカより伝わってきたもので戦後、

米軍施設のクリーニング工場に設置されたものから、一般に知られるようになったものです。

この本には蒸気しみ抜き機(スポッター・マシン)の使用法や、しみ抜きの種類に応じた薬剤や

濡れタオルでしみの部分を叩く等のしみ抜きの方法が記載されています。

この当時の和式のしみ抜きの道具としてはパッキンブラシが主流でした。

蒸気のしみ抜き機(スポッター・マシン)はしみの部分を吸引するバキューム機に

蒸気を当ててしみを湿らせた後に圧搾空気(ホットエアー)で乾燥してしみ抜き行っていました。

昭和40年代より超音波しみ抜き機やスプレーガン(噴射ガン)が登場してパッキンブラシに

とって代わっていきました。

その後にしみ抜き機のバキュームモーターが普及してきてしみ抜きがかなり進化しました。

クリーニング業書・第六巻 最新汚点抜法

前書きの部分に書かれている事はこの当時と現在の問題が何も変わっていない事が分かります。

発行者の弁

株式会社 日本クリーニング界社 主幹 高橋成治

乾式(ドライクリーニング)、湿式(水洗い)両洗濯の技術を如何に発揮しても

洗濯技術だけでは完全に汚点(しみ)までも除去するのは至難である、

洗濯技術の最後の仕上げは汚点抜(しみ抜き)にある、

洗濯物に汚点(しみ)が残って居るようでは画龍点晴(がりょうてんせい)を欠ぐ有様で

洗濯の本質が失われる、従って汚点抜き(しみ抜き)は洗濯技術の優劣を決定づける

重大なる要素である、我国の汚点抜法(しみ抜き法)は洗張、悉皆を根源として

徳川中期(享保十四年・1729年)に興起して今日に至り技術の奥義は汚点(しみ)と共に

染色を抜き去り色合わせをする地直し(色掛け)にあり非常に手数を要し洗濯業の目的たる

大量低価格加工に合致せぬ欠点がある。

洗濯は元来欧米諸国に端を発し明治初期に業として成り立った物で技術の大半は欧米にあり、

これに我国に適する技法を加味して日本の洗濯は確立している、然し洗濯文化の程度と

科学質が比較的低い我国ではあらゆる点に手練(しゅれん)を用い練磨(れんま)の技術が

総てを解決して居る状態である、特に汚点抜き(しみ抜き)禅の奥義の如く以心伝心、

習得するに習得出来ざる自修自練の技術に根源があり、汚点抜き(しみ抜き)技術を

把握した技術者が業界には幾人も無い事に依りて自明である、現今理(?)、化学に依りて

解析出来ざる物無き時に於て汚点抜技術(しみ抜き技術)はあまりにも業界の負担になった居る、

本社は此禅的思想を打破する為に文献と科学性とによりて汚点抜技術(しみ抜き技術)を

業界誰でも応用解決出来るよう以前にわかり易い汚点抜(しみ抜き)を単行本として業界に贈った、

而し此文献は米国の初歩標準技術書の翻訳であり是れを読破した人は今一段高級なる専門書の発刊を

希望した、本社は此人々に報ずる為に今回発刊したのが本書である。

本書は汚点抜(しみ抜き)に対する総ての物理、化学、これに関聯(関連)する事項をあます無く

収録してあり汚点抜(しみ抜き)を専習するには絶好の良書であると自認して広く業界にお贈りする

次第である年々刊を重ねるわかり易い汚点抜第三巻と共にスポッターの座右に備へなくてならない

資料である事は申すまでも無い、是等専門書に依りて我国業界の汚点抜技術の完成が

早められるなればこれに過ぐ喜びは無い。

昭和32年6月1日 布施の萬居に於て監修を終わりて記す。

 

筆者はドライクリーニングとランドリークリーニングの洗濯技術だけでは、完全にしみを

落とす事は出来ないは落とせない、洗濯技術の最後の仕上げはしみ抜きにあり洗濯物に

しみが残って居るようでは洗濯の本質が失われる、従ってしみ抜きは洗濯技術の優劣を

決定づける重大なる要素である。しかしクリーニング業の目的は低価格大量処理加工であり、

相反するしみ抜きや色掛け技術はこの目的に合致しないと言っている。

現在のクリーニングは低価格である為にしみ抜き出来ない事としみ抜き作業を行える職人を

育成は出来ない事が業界としての本音を吐露しています。

 

私自身は家業を継ぐ決心をして昭和55年(1980年)に業界の知識無しに修業に出ましたが、

しみ抜き屋の大先輩から「しみ抜きの最後は色掛け(地直し)だから、しっかりと習って来なさい」

との言葉をいただきしみ抜き屋を生涯の仕事にする覚悟で丸洗い(ドライクリーニング)しみ抜き

色掛け(地直し)を特にしっかりと学びました。どんなに上手い色掛け(地直し)を行ってもしみが

残っていると綺麗に補正出来ずにしみは落ちた事にはなりません。

クリーニング業の目的の低価格大量処理加工からするとしみ抜き業界は真逆で高価格少量処理加工と

言う事になります。昭和32年当時の価値観と令和7年の現在の価値観とは随分と変わった部分と何も

変わっていない部分があります。

私自身はクリーニング師、一級染色技能士(染色補正作業)、職業訓練作業員(染色科)です。

この本を多角的に見るとクリーニング業界としみ抜き業界は共に成り立たないと思いつつ

しみ抜きの勉強をしましょうと感じます。

しみ抜きの基本は油性処理から行い、水処理、蛋白質の除去、酸化漂白、還元漂白を行い

最後に色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)を行って補正しています。

色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)技術はとても高度な技術でありますが

習得すると脱色によるクレームや弁償を防ぐ事が出来る唯一無二の技術です。

洗浄力が高くて光沢があり溶剤管理したドライクリーニング(丸洗い)、ひどい汚れや

全体の黄変しみを落とす水洗い(ウエットクリーニング)と全体漂白もありますし、

全体ヤケに対応する色掛け(色修正・染色補正・染直し・部分染・地直し)や全体染・染め替えも

行なえますし、仕上げ(プレス)もとても大切です。

価値観は一人一人が人違います、お客様が思い入れのある品物(衣料)を何とか元の状態に直したい

思いを持ちコンタクトを取られて、出来るだけお客様の思いに職人として答えたい思いの自分の軸を

俯瞰して行く事がこれから残り少ない作業能力者(職人)としての仕事に活かして行きたいと

心新たに日々精進して行こうと思います。

 

着物と洋服のお手入れは

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