仏教の寺院建築の一つ。
名が示す通り,五層の屋根を持つ高い建物。ただし,これは五階建であることを意味せず,内部は吹抜けで上層に登ることはできない。
宗教的な意味合いとしては仏舎利塔(ストゥーパ)が変化したもので,建物の下に仏舎利*1が納められていることになっている。同じくストゥーパから派生したものとして,墓地に建てられる「卒塔婆(そとば)」がある。
五重塔の他にも三重塔*2から十三重塔*3まで存在する。
神社に建っている例もあるが,これはかつての神仏習合の名残である。
仏教建築としての特徴は以上の通りだが,塔の中央に心柱という塔の高さと同じ柱を立てることについて,日本古来の柱信仰が姿を変えて残るとする説もある。実際,心柱には塔の構造材としての意味はない,あるいは小さい。
明治の文豪・幸田露伴の代表作。五重塔建立に一心に捧ぐ大工十兵衛の姿を描く。