音楽仲間が死んだ。 二十近く年上のひとだから、仲間、というよりは、大先輩、というべきなのだろうが、一緒にバンドをやっていた人なので、仲間、と呼びたい。呼ばせてもらう。 解散したつもりのないバンドだが、頭のどこかで、もう復活することはないのかもしれない、と思っていたバンドの、ベーシストが死んだ。 もう本当に復活することはなくなってしまった。 ないのかもしれない、と、なくなってしまった、には大きな隔たりがある。 ないのかもしれない、のほうが、当然だけど、何杯も何十倍も良かった。 もう何年も会っていなかった。 二度目の脳梗塞を患ったと聞いたとき、まさにコロナ禍真っ只中で、面会もできず、本人も望んでい…