カーンと上がったレフトフライ。 「お前、もう少し前じゃ、前に出ろ!」 そんな声に反応してか、体がビクッと前に出てクラブを構えると、なんと、ボールは嘘のように自分のグローブに入った。 「おお、ええ捕球じゃったなぁ」 それは大学1年の体育の授業での一コマだった。小学生のころから余り体が強くなかったせいか、自分は中高と体育の時間が最も嫌いだった。運動全般苦手だが、特に球技は呆れるほど下手くそだった。それでも子供の頃は校庭で空き地で、三角ベースか草野球くらいはやっていたのだ。何といっても王・長嶋全盛期だった。彼らに影響を受けなかった小学生は居ないだろう。二人は別格だが、強気な奴は誰もが堀内になりたがっ…