1968 年 19 巻 1 号 p. 101-108
北陸地方において,冬の季節風のとき形成される対流雲から,あられのみで構成されたしゅう雪がしばしば観測される。輪島における観測から,あられの大ささは直径0.2から10mmの範囲にあった。小さいあられを主とする降雪の観察から,その中に大雲粒の凍結したと思われる透明な凍結粒子や雲粒を多くつけた小さい雪結晶がみいだされた。直径2mm前後以下のあられは粒状のものが多く,それ以上の大きさでは円錐形のものが大部分をしめていた。円錐あられは大きくなるとその底面は球面となる。この形を考慮して比較的正確に体積を算出して密度を求めた。2~7mmの大きさの範囲の密度は平均o.3969/cm3で,大きさには無関係であった。またこれらの観測から,円錐あられは大雲粒の凍結粒子または小さい雪結晶がそのもととなって付着成長する過程で形成させたものと推定される。