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星のように幸が遠い
2024/03/18 23:28
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投稿者:まいみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
『銀河鉄道の夜』を手軽に読みたいと思い立ち、表紙が一番好みだったのでこの本を選んだ。解説が丁寧なのもとても良い。
天や星が救いの象徴になっている事が多いと感じる。一部の人物はジョバンニを筆頭に「みんなの幸」を考え自己犠牲的でいじましいが、救いは天上にしかないと言わんばかりによだかやかま猫達の周囲は理不尽な迫害に満ちている。
双子の星のチュンセ童子とポウセ童子の自分達を騙した彗星すらもお許しになるように見えない空の王様に嘆願した精神はきっと「みんなの幸」を願う精神だが、同じ精神を持つよだかもカムパネルラも自己の死によってしかそれを達成できず天に召され星になるしかなかった。
『銀河鉄道の夜』が特に幻想的で情景描写が美しいが、それが明らかに死後の世界なのがどこか物悲しい。
ビターエンドが多いが、『セロ弾きのゴーシュ』は苦い別れがありながらもみんなが良い方向に向かっており、読んでいて一番ほっとした。
初めて読んだ宮沢賢治の本です
2023/05/20 11:04
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投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る
夏休みの読書感想文で読んだのが初めてです。
なんて透明感のある語り口なんだろう、と思いました。親友との銀河鉄道に乗っての宇宙の旅で、様々な人や出来事に出会う。そこで、本当の幸いとは何かに思いを巡らせる。
冷たいが広大な夜の大気の匂いを感じました。そして、深く考える事を学びました。
銀河鉄道の夜
2020/10/21 20:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
子どもの時は何だか暗くてあまり好きになれませんでしたが、大人になってから読んだら胸が締め付けられるような思いがしました。
思い出の作品
2020/08/10 11:31
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投稿者:MR1110 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中学生の頃演劇部に所属しており「祭りよ、今宵だけは哀しげに」を演じたことがある為、親しみのある作品です。優しく美しく哀しい友情の物語。夏に読みたい名作です。
値段が安い!
2017/04/29 23:21
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:てる - この投稿者のレビュー一覧を見る
学校の授業で銀河鉄道の夜を研究するため、文庫本を探していました。約400ページでこの値段は驚き。内容も読みやすく、また注釈も興味深いです。
未完の名作
2003/06/30 03:10
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投稿者:あう - この投稿者のレビュー一覧を見る
最愛の妹・トシの死から長い沈黙の後、静かに書き始めたといわれる名作「銀河鉄道の夜」。なぜか夏が近付くと思い出したように読みたくなるのは私だけでしょうか。何度読んでも、初めて読んだ時と変わらず、ひんやりとした手で心をひと撫でされたような感覚に包まれると共に、透明感がありすぎて泣きたいような気持ちになります。
大事な友人カンパネルラとどこまでも一緒に行きたいと思うジョバンニ。けれど「死」という別れはどうすることもできません。生まれてきた者皆が、例外なくいつかは迎える「死」——分かっていても辛いものです。また、このジャバンニとカンパネルラ二人の少年の友情と別れの物語には、賢治のトシへの想いと願いが強く込められているのを感じるだけに、余計に切なさが込み上げてきます。地上に残されたジョバンニは、友の死を受け止め、悲しみを乗り越えて生きて行かなければなりません。それは賢治自身も同じだったと思います。賢治のトシへの想いは、賢治が生前に刊行した唯一の詩集『春と修羅』を読むと痛い程に伝わってきます。「銀河鉄道の夜」を読む時には是非、併せて読んで欲しいです。きっと、この作品が生まれた理由が分かります。
「本当の幸い」を探し求めることを決意し、夢からさめたジョバンニ。彼の持っていた切符は、きっと生きている者だけが持つことのできるものだったのではと思いました。生きているからこそ未来へ向かって歩けるし、「本当の幸い」も探し続けられる。どんな方向にも進める可能性を持つ生きている者だけが持てる切符。それは、ジョバンニだけでなく、きっと私たちのポケットにも見えずとも入っているのかもしれません。そう考えるとほんのり温かい気持ちになります。
三度も推敲を重ね、でも結局は未完成のままになってしまったこの作品。もしかしたら賢治はまだまだ書き直したかったかもしれないんですよね。どんなに望んでも、完成した「銀河鉄道の夜」を読むことができないことだけが、とても残念でなりません。 宮沢賢治という人は本当は何を書こうとしていたのか、何を残したかったのか、その瞳の先に何を見つめていたのか、知りたいことは尽きません。
夜空の神秘を追体験☆
2001/03/30 17:40
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投稿者:ポンさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本には銀河鉄道の夜はもちろんのこと、夜空の星々をテーマとした童話がほかにも多く収録されている。この本を読んでから、夜空を見上げる度になんだか切なくて優しい気持ちになれる気がする。
宮澤賢治の織り成す幻想の世界は、大人になってからでも十分に楽しめる。というのも、幻想のなかにも現実的な内容が盛り込まれているからだ。
例えば、『銀河鉄道の夜』では、賢治がこの作品を手がけていたころに起こった、タイタニック号の沈没の話や、また当時世間をにぎわせていた天文学や宇宙論の新たな発見についても、作品のなかで生かされている。
こうして、現実と幻想の中に放り込まれた主人公ジョバンニの旅を追体験することで、夜空には神秘が果てしなく溢れていることを感じずにはいられなくなる。