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愛とコンプレックスが入り混じった超大作でした☆☆
2008/02/27 13:32
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なっこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
お互い愛し合っているのに自分に自信がなかったりとかで体はつなげているのになかなか心がつながりあえないちょっと切な目なお話でした!!
女装・失禁・お仕置き・射精管理など様々なエロがあって大満足の作品です☆
お互い愛しすぎちゃってるかんがすごいです!!
そして攻めの叔父さんがかなりの鬼畜です!!受けちゃんはかなり快感に弱くて自分に自信がなくて女装にたよっちゃうめちゃめちゃ可愛いこです♪
お値段はちょっとはりますが、読んでみる価値はあると思います★★
いろんな矛盾を孕んだ作品だと思いました
2007/11/10 18:50
19人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hamushi - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み始めるのに勇気のいる作品でした。 若い頃、谷崎潤一郎の「春琴抄」などの代表作を読む前にも、似たような勇気をふりしぼったことを懐かしく思いました。ある種の閉塞性を前提とした愛情や美意識を語る作品を読むのには、一定以上の覚悟がいるように思います。強いて喩えるならば、強烈な素材を使用したエスニック料理の完食を迫られたときの心境でしょうか。
もともと崎谷作品には、肉親からの愛情の欠如や、それにからんだ深刻なトラウマと人格形成上の歪み、保護者としての様相の強い恋人との依存に近い関係といった、今風の言葉でいうなら「痛い」要素がふんだんに込められていることが多いのですが、それでも最終的には「健全」なハッピーエンドの枠内に着地してくれていました。
この作品も、読了してみれば際どいところで破滅に向かう急斜面ではないところに降り立っていましたが、なにか落ち着かない印象が強く残りました。
主人公の由宇は、縁の薄い両親に変わって手厚い愛情を注いでくれた伯父の匠を強く慕う気持ちから、彼にふさわしい少女になりたいと願うようになります。その狂おしい思いは女装への執着という形で突然あふれだし、我知らずドラッグストアで一本のルージュを万引きしてしまうという形で顕在化してしまいます。由宇の行為は店の人のとがめるところとなり、保護者がわりの匠に連絡されてしまうのですが、やさしい伯父に諭されて、心を振り絞るようにして告白してしまった、「きれいな女の子になって、男のひとに愛されたい」という言葉が原因で、二人の関係は、病的に捻れたものへと変質します。
由宇の告白は、もっとも肝心な部分である匠への思いが伏せられていたために、性同一性障害の少年の深刻な苦悩として匠に受け止められてしまいます。実は匠を思うがゆえの一時的な歪みなのですが、匠は、由宇に好きな男性が出来たことで自分の本性に気づき、苦しんでいると解釈します。
アパレルメーカーのコーディネーターである匠は、由宇の望みを叶えると約束し、自分の家に由宇を呼びよせます。けれども由宇を待っていたのは、単なる女装の作業ではなく、同意なしに性転換をさせられるのにも等しい、調教のような仕打ちでした。
女性のようになるための、全身のスキンケアや局所の剃毛からはじまって内臓器官の執拗なケアにまで突き進み、正直なところ、そこまで描写してもらわなくてもというような話が延々と続くので、ひょっとしてこの作者は読者に対してもサディスティックなプレイをしているのではと疑いたくなるほどなのですが、読んでいるうちにたいていのことには「慣れる」もので、崇拝する伯父に吸引されるようにして異次元の世界へと迷い込んでしまう、箱入り少年の由宇の気持ちが実にリアルに伝わってきて、なんともはやという気分でした。
で、伯父の匠は真性の異次元変態であるのかというと、決してそうではなく、彼は彼で深刻なジレンマを抱えたまま捻れた関係に追いつめられて、そうした行動に出ざるを得なかったらしいことが、読者にはうかがえます。
伯父である匠の側の、由宇に対する執着心や束縛欲求は、実は由宇の比ではないぐらい猛烈で、この二人の病的な依存関係が構築された原因は、由宇の生来の弱さのせいではなく、匠がもともと内面に抱えていた欠落や歪み、脆弱さが原因であろうと思われるのですが、本作品はそのことにはほとんど触れず、由宇視点だけで語りつづけて終わります。
この匠という人物は、由宇がまだ五歳のとき、父親の再婚相手の実弟として、由宇の前に現れたのですが、その時点ですでに由宇に対して、義理の弟である以上の特別な思いを抱いていたらしく思えます。もともと心身共に脆弱であった由宇が、歯列矯正のせいで拒食症めいた状態となったときは、自ら料理を噛んで口移しで与えることまでしています。そのエピソードに象徴されるような匠の徹底的な保護行動を、「美談」と受け止めるか「病理」と取るかは微妙なところなのですが、ただごとでない関係であるというのと同時に、そのような濃密な関係こそが、由宇という命の影の薄い子供を生かし続けたことだけは、動かしようのない事実として認められます。
けれども、まだ学生だった匠が、いくら甥っ子が可愛いからといって、まるで母鳥の給餌や実の母親による授乳のような行動を、なんの抵抗もなく取ってしまえたのは、一体なぜなのか。匠自身の生い立ちや精神史が全く語られないので、想像するしかないのですが、そこにもただごとでない「何か」があるように思えてなりません。
作者がなぜ敢えて匠について語らず、由宇が匠にとっての完全な「愛玩人形」となるであろう未来を示唆するのみに留まったのかは分かりませんが、もしも匠の側の事情も明かされ、そのことを由宇が知って、能動的に支え合う関係を築くような流れになっていれば、この小説はもっと前向きの余韻を残して終わったでしょうし、読了してみて、そのほうが本来あるべき姿だったのではないかとも思います。けれども作者の意図するテーマは、そういう方向性ではなかったのでしょう。
あとがきに、「決して暴力を使わないまま、精神的隷属に至る過程」を描きたかったという、作者ご自身の言葉がありました。でもそうした隷属関係は、匠が由宇の心身の生存に不可欠な存在であるということで、半ば成立していると言えますし、あとは匠が由宇の精神的自立の道を塞ぐことによって簡単に成就する状態でした。ところが匠の言動にはアンビバレントなところがあり、由宇を束縛幽閉しておきたいと願う一方で、由宇自身の力で関係の歪みを正し、あるがままに自分の愛情を受け入れるようになることを促そうともします。その結果、由宇は自分の卑屈さが生んだ歪みが匠を追いつめていたことに気づき、勇気を持って殻をつきやぶり、つまるところ人間的に成長してしまうのです。こうした成長の力は、完全な隷属状態にある精神には望むべくもありません。また支配する側である匠も、由宇を隷属させて、自らが全て背負うことに耐えられるほどの負の強さは持たず、むしろ等身大に愛し愛される関係を望んでいるように思えます。
結局のところ、この二人が希求するのは、いささか閉塞的で近親相姦気味の様相を持つとはいえ、女装や調教といった道具立てに依存する必要のない、より「健全」な愛情関係だったようなのですが、そうだとすれば彼らは、この病気めいた時空に閉ざされて終わる物語自体と、そもそもアンビバレントな関係にあることになり、読後の奇妙な落ち着きの悪さは、その矛盾に由来するものではないかとも思われてきます。
続編が出るなら読んで見たいですが、「O嬢の物語」みたいな話をBLで読むのはしんどいので、できれば「自然」で「健全」な路線にシフトしてもらえたらと・・・これは我が儘な読者の希望です。
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