爽やかなパンパンの心意気
2016/09/27 01:30
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんだかんだあって、自宅を米兵の慰安所にすることになった姉妹。そこにいるのは先輩女郎のお春と姉妹の父親と懇ろになりながらも、慰安施設に売り飛ばされた祥子の計4人。湿っぽくなりがちな話、だけど全然湿っぽくない!寧ろ爽やか。「日本は占領されたけど、米兵の心を占領してやるんです」の心意気。かっこいいね。全てのパンパンがそうだったとは思わないけど、こうやってなにくそ〜と生き抜いた女性がいてもおかしくない、そう感じさせるこの視点。またひとつ賢くなりました。で、エピローグ。惑わされたのは私だけじゃない、と信じたい。
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投稿者:ぬぬ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いつの時代も女性は強いと思いました。
買って正解です。
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戦後に生き抜くため、残された二人の姉妹が選んだ道は、
悲しくもあり、逞しくもあり。
好きな男に処女を捧げることができた姉と、
自ら進駐軍のアメリカ人に身体を提供した妹。
それぞれの想いは、姉妹にしかわからない次元で
きっと悲しくシンクロしていたのだ。
小説自体はフィクションでありながら、
内容はノンフィクションなのだろうと思う。
私たちの知らない戦後には、
きっとこんな話が溢れていたに違いない。
エピローグにしたためられた登場人物たちのその後の話は、
読んでホッと安心できるもので良かった。
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いま読んでるけど…これ、発売当時(2005年)に読んだことあるような…。
二度借り…しちゃったかも。
(後日追記)二度借りでした。
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戦後、両親をなくしたため自力で生きていかなくてはならなくなった姉妹が徐々に気位をなくしつつも生きていく話。
姉と妹のキャラ設定はありがちなものの、どんどん落ちていくさまがうつくしい。
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日本は戦時中は混乱していた。ラリっていた。ヤクチュウだった。エンドルフィンが出ていた。しかし、戦争が終結してもその状態はいくらか続いていた。車は急には止まれない。天皇を神としていたのにマッカーサーを神として崇拝することはできないのだ。男は戦死した。もしくは切腹した。大和の魂を守った。女はどうだ?家を守っていた。しかし、戦後、女は自由となり、各地に散らばった。そして衰退が始まる。頽廃が始まる。日本は負けた。精神が、である。ボロボロ。ズタズタ。男は体を撃った。女は体を売った。そうして生き延びた。戦争。現代の日本はどうだ?平和と大和は全く違う。
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まず読みやすい文体である。敗戦国日本の戦後を性格のまったく異なる姉妹の生き様という形でリアルに描く。これが庶民の真実の戦後であると信じてしまう。
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戦後の東京に生きる美しい姉妹の物語。
姉と妹の見せる「女の強さ」は対照的だ。冒険心に富む妹はアメリカ人相手の売春婦となり、その報酬で家を守ろうとする。つつましやかな姉は、貞操を守り、愛する人との再会を待つ。
ナイロンストッキング一枚と引き換えに処女を失うことの、せつなさ、あっけなさ、なんてことなさ。
「どうやって疲れずに相手をいかせるか」話す少女たちの言葉は実質的で、いやらしさはない。それは、女子校の教室で聞こえてくるような、キャッキャした笑い声に近い。
どうやっても生きられるなあ、強いなあ、強いって美しいことだ。姉妹は美しい。処女がなんだ、と私は思う。強いことは生きることだ。実質の問題だ。
(あとやっぱ、島田雅彦ってかっこいいじゃん。もてるオヤジの余裕に満ちた女性描写を感じてしまうよね・・・。島田雅彦ってかっこいいじゃん・・・。この人の本を読むとそこから逃れられないのは私だけ??ああ・・・)
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戦後日本の慰安所を舞台に、女という特性を武器に米兵たちの中で逞しく生きる一家を時にユーモアと皮肉を交えつつ描いた一冊。
終盤の夢の描写が幻想的で特にいいね。
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「戦後」とはなにか。なんだか、歴史をおもうとわたしはいつもその断絶と連続性という相反することを同時におもい、途方もない気持ちになる。わたしにとって第二次世界大戦というのはとても遠く、この小説の登場人物たちが経験した「戦後」日本はもはやわたしの知っている日本だとはおもえないような、でも確実に現代にも通じていて、不思議なんだけれどもフィクションを通じてわたしのなかの「戦後」がすこしずつ形成されていく。個人の歴史、社会的歴史的なものに形作られる精神構造、なんて不思議なものなんだ。
小説としては、ひとりひとりの戦後を扱った、非常に酷薄な状況で必死に生きる個人を描いた、という意味においてまず価値がある。とわたしはおもう。けっきょくのところ個々人の歴史的文脈を強固なものにするのは個人史に他ならないとおもうから。にしても島田雅彦は引き出しの多い作家なんだなあ。社会派っぽいものを、こんなにおもしろいストーリーにのせて粋に語ってしまえるひとなのか。他の既読作では見られた毒があまりなく、正統派な印象。惜しむらくはその軽みのある文体が、舞台設定に馴染まないというか、もっと土煙を感じるような重みある文体で語られたほうが良い題材なのでは、と感じたこと。いやあでも面白かった。惹きつけられてするすると読了。
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小さいおうちと設定が近いのかな。
当時のままで話を終わらせるのではなく、きちんと後日談というかエピローグで現代まで繋げてある点が好き。
何事もなく幸せに円満に暮らしてきているようにみえても、そうでないことってたくさんあるよね。辛い経験を経てこその平穏。
わりとすきなおはなし。
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同じお誕生日の作家さん。
ちょうど8月6日にかけて読んでいたので、戦後70周年に読むにふさわしいかな、とは思った。
けど・・・恋愛体質でない私には、姉妹の気持ちはわかりかねる。かも。
というか、一家そろって奔放すぎるよ。
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戦後の日本の慰安婦を題材にした話。
『退廃』とタイトルにあるだけに、どんな怠惰な姉妹が出てくるのか!と思っていたのだけれども、そんな印象は受けず。
むしろ純情かと。奔放ではあるけれど。
割と好みな話でした。
解説で、映画に是非したい!と書いてあったのですが
映像化しても面白そう。
あの気だるい感じを映像でも味わいたい。
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戦後食べていくために、自宅を米兵の慰安所とする姉妹。たくましい。ほんと、生きていればこそ、なんだよなぁ。戦中戦後を綴るのには、いくら頁があっても足りず、筆舌に尽くし難い事実がそこかしこにあっただろう。それに反するようなあっけらかんとした文体が印象的だった。面白かった。
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戦時中、父が捕まった。
そして戦後になり、食べるものに困った。
商品になるものがある、というのはありがたい話です。
これを商品にするか否か、は勇気がいる問題ですが。
食べるため、生きるため。
楽しく生きながら、周囲に文句を言われながら。
この時代さながら、他者はいいけれど自分の子供は…な
勝手な言い分です。
そこかしらから、女が生えてくるわけでは
ないのですから。
しかし…女はたくましい。