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達意の文章、惻々と身に迫る恐さ。名人芸の語りを堪能させられる綺堂怪談精選集。
2004/06/23 19:11
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投稿者:風(kaze) - この投稿者のレビュー一覧を見る
蒸し暑い梅雨の夜、久しぶりに岡本綺堂の怪談作品集を引っぱり出してきて、読み返してみた。
背中をしゃんとさせられるような、品格のある文章の佇まい。冷や水をぶっかけられたような、ぞおーっとする恐怖の味わい。あらためて、岡本綺堂怪奇譚の読みごたえを感じ、惻々と身内に染みてくる恐さにぞくぞくさせられた。
本作品集の前半は、連作短編集「青蛙堂鬼談」を収録。青蛙(せいあ)堂の主人と同席した人たちを前に、客人それぞれが奇怪な体験談を語っていくという設定で、十二の話が並んでいる。なかでもぞっとさせられたのは、第三の男が語る「兄妹の魂」。彼の友人の赤座という男をめぐる因縁めいた話である。あれは、一体何だったのか? 一種異様な恐さがあって、ひやりとさせられた。
後半・第二部には、独立した怪異譚が十三、収められている。「木曾の旅人」「西瓜」「影を踏まれた女」もそれぞれに印象に残るが、何と言っても戦慄させられたのは、本作品集の掉尾を飾る「白髪鬼」。試験場に、白い髪の毛の人物が……。初めて読んだ時、ただならない恐さに、ぎゃっ!と声を上げそうになった作品。この恐さは、忘れられない。
編者、日下三蔵氏による巻末解説は、都筑道夫、戸板康二の文章を引きながら、綺堂怪談の洗練された名人芸を語っていったもの。「さすが、日下三蔵氏。見事な解説文で読ませるねぇ」と感心しつつ、本の頁を閉じた。
怪談ノ悦ビ
2002/06/05 01:29
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投稿者:カズイ・ヤナギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
岡本綺堂といえば「半七捕物帖」などで有名ですが、また卓越した怪談の語り手でもあります。
この本もそのひとつ。
岡本綺堂の怪談の名作が押さえてあるのでファンなら(ファンでなくても)一度読んでも損は無いと思います。
すべての話は「…は語る」で始まるこの短編集は正に「語り」の怪談で、時間や場所を飛び越えて、読み手を怪異の世界へと運んでいってくれます。
特に物凄く派手なことは起こらないのですが、ひとつ読む毎に染み入るような気味の悪さ、怖さがあり、ひとつ、もうひとつと読むと止められなくなってしまうのです。
怪談に特有の「悦び」を味わえる一冊だと思います。
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