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忌まわしきインスマウス
2002/07/22 04:15
14人中、13人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トリフィド - この投稿者のレビュー一覧を見る
クトゥルー神話の始祖として知られる、20世紀の怪奇小説作家の大
御所H.P.ラヴクラフトの全集。これはその第1巻。ちなみに、第1巻
と第2巻は、当初『ラヴクラフト傑作選』として出されていたもの。
ゆえに粒揃いの作品が収められている。収録作品は以下の通り:
「インスマウスの影」
「壁の中の鼠」
「死体安置所にて」
「闇に囁くもの」
「インスマウスの影」—— 忌まわしき町インスマウスとそのおぞ
ましい住人たちを巡るこの物語は、クトゥルー神話体系の原点のひ
とつ。まぎれもない傑作であり、知っていないと仲間との会話にも
困る重要な作品である。
「闇に囁くもの」—— 洪水の際に発見された謎の生物の死体を巡
る論争から始まるこの物語は、枠組みだけを見ると完全にSFである。
しかしそれがラヴクラフトの手に掛かると、こんな恐怖譚になって
しまうのだ。曖昧に提示される間接的な情報や、登場人物たちの
もどかしい行動。それらは読者を苛立たせながら、いつのまにか読
者を完全に物語の中へと引きずりこむ。
ラヴクラフトに入門したいと思ったら、まずはこの全集に着手する
ことをおすすめしたい。そして、青心社の『クトゥルー』のシリー
ズに手を拡げるのだ。
話にはよく聞くけど
2019/04/26 15:18
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:藤和 - この投稿者のレビュー一覧を見る
クトゥルフ神話というと、TRPGでご存じの方も多いと思う。
TRPG以外にも色々な作品に出てくるけれども、大本はこのあたり。
神話生物が直接的に出てくるという感じではないけれど、背後でちらちら見え隠れしているのが実に気味悪くてホラーらしい。
この本に収録されている3本目だけはクトゥルフ神話と関係ないのかな?という感じはするけど、どちらにせよぞわっとする話。
ホラーが好きな人は是非。
恐怖の宇宙卍固め
2005/07/21 01:11
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
ラヴクラフトがポーの遺鉢を継ぐ作家というのは正鵠だと思う。恐怖という分野に特化してではあるが、それを発展させて20世紀に引き継いだ。
恐怖の根源に、単なる幽霊や怪物でも、宗教的な存在でも人間の内面でもなしに、その時代の最先端である科学に基づいた時間と宇宙の長大さを置いたところが、つまり20世紀的であると思うのだ。原子論や、アインシュタインの宇宙論、冥王星の発見までも駆使されて世界観が構築されている。そうやって人智未踏の世界を描く手法は例えばH.G.ウェルズにもあったし、W.H.ホジスンとともにコズミックホラーと呼ばれたりもする。
本書はその全集の全7巻の初巻で、その手法の駆使された「闇に囁くもの」と、同種の題材で古典的な筆致を用いた「インスマウスの影」の2中編、同じ香りの「壁の中の鼠」と正統派怪談「死体安置所にて」の2短編。
L.ダンセイニのファンタジーやA.マッケンなどを前人としてなお従来に無い新しいタイプの恐怖を創造しようとしているがために、作品ごとで異なる手法を用いているものと解する。ただ文体は伝統作品に伍して濃密で、それは揺らがない。外的な事象は変わり、人の精神が侵食されていく過程も屈曲を増すが、人類という種の根源にある汚辱の核に真に到達できているのではという惑乱を生み出している。
2中編を始めいくつかの作品で共通に登場する未知世界を表す言葉の一つであるクトゥルフ(またはクトゥルー、Cthulhu)から取って名付けた神話体系と称するものが、後年の無数のフォロワーによって陸続と生み出され、日本でもホラー界のマツケンこと朝松健や栗本薫など多数、影響力はあからさまに大きかった。
また2編ではそれぞれ、海から侵食して来るものと、山中で巣食うものの違いがあるが、宇宙全体を覆う災厄であれば逃げようが無い。そこを貫く共通点を読み解くのもよし、続巻に委ねるもよしだろう。
わからない……
2015/03/19 09:20
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もも - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネットとか他の本でチラホラみかける
クトゥルフ神話
調べてもよくわからないから本を読みました。
そもそも創作だったことに驚き……。
翻訳本だからかもしれないけど
読みにくかった……。
でもその読みにくさが、情景をうまく描けないもどかしさが、
得体のしれない不気味さをよぶ手助けをしてくれました。
現実で何度か「あ、この人インスマウス面だ」と思うようになりました。笑