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久しぶりのサスペンス
2002/02/18 20:06
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投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小池真理子氏は、ここ数年、官能的な恋愛小説を中心に書かれているようだ。それも悪くはないのだが、甘ったるい耽美・官能描写は、あまりに長々としつこいと、正直、食傷気味になってしまう。少女趣味的感性の強い人は、作中人物になりきって楽しめるのかもしれないが、自分には難しいようである。
小池真理子氏の作品は、個人的には矢張り短編サスペンスが好きだ。小池氏自身も短編を書くことを好んでいるらしいのだが、短編だけではなかなか本が出せない為、作家として生活してゆくのが難しいのだと書かれていた。
中篇小説には長編型と短編型があるが、この「蔵の中」は、間違いなく後者であろう。不倫の秘密を守る為に殺人を犯すという、極めてオーソドックスでシンプルな内容である。小池氏のサスペンスらしい鋭い味わいには乏しく、少々残念だった。
ところで本書は、祥伝社の400円文庫である。字が大きく、1ページあたりの文章量が少なく、総ページ数も少ない。400円という値段は文庫としては安い方だが、普通の文庫本と比べると容量がかなり少ない為、実際は割高である。しかし、おそらく出版社側としては、少しでも読者に読んでもらおうと考えた結果なのだろう。それほどまでに今の人は、文章を読むことに堪えることが出来ないのだ。他の出版社でも、字を大きくするなどの対策を取っている。確かに大きい方が読み易いが、本当の小説ファンとしては、常識的な大きさなら、多少文字が小さく詰め込まれていても、その分ページ数が少なく、結果的に安くなる方が良い。
活字を読めない人は自分で努力をするべきで、本の方が迎合する必要は無い。辛い思いをしてまで本を読むことは無いし、本に失礼だとも思う。しかし、出版社としては売れなければやってゆけないのだから、出版社を責めるのは酷というものだろう。非はレベルの下がってしまった読者側にある。
400円文庫は、従来の祥伝社文庫と比べて、どの程度売れているのかを知りたいものだ。
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