個人的な人間関係と企業内の人間関係の両方があつかわれている
2012/02/17 23:24
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
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「ネットワーク・サイエンス」 というと幅がひろいが,この本は社会学者である著者が四半世紀にわたってつづけてきたという社会ネットワーク分析を中心としていて,ほとんどのページはひととひととの関係について書かれている. もっとひろい意味の 「つながり」 を期待するひとには,期待はずれになるだろう. SNS や「恋人連鎖」のような個人的な関係と,業務電子メールなどからわかる,エンロンなどの企業内の関係の両方が話題としてとりあげられている. こういう話題に興味があるひとなら,おもしろく読めるだろう.
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ういう本をスゴ本と呼ばずして、何をスゴ本と呼ぼう。
凄く強い。そしてそれ以上に凄く怖い。
P. 248
橋を燃やし、また新たに橋を築くという経験を経た私が、今、明言できるのは、ネットワークこそわが生涯の伴侶だということだ。それは目に見えず、存在さえ曖昧な、だがそこに確固として存在し、われわれに影響を与え続ける。これ以上に魅力的な研究対象があろうか。ローマン博士が人生を関係研究に捧げたように、私も顔を上げ、この喪失の代償を喜んで引き受け、ネットワーク研究の女王として君臨すべく、再び、ネットワークの話をしよう
ポピュラーサイエンスにおける本書の地位は、ポピュラーミュージックにおける中島みゆきのそれに比肩するのではないか。
本書「「つながり」を突き止めろ」は、ネットワーク研究の一般書である。
目次
はじめに----ネットワークの怖さと魅力
第1章 対ゲリラ戦略と米軍マニュアル
第2章 電子メールから浮かび上がる業務遂行ネットワーク
第3章 SNSの人脈連鎖
第4章 広告作品「カレシの元カノの元カレを、知っていますか」
第5章 知人の連鎖と新型インフルエンザつながり
第6章 弱い絆の強さと弱さ
終章 "入る"を制する
それも、「一般的な一般書」のように、専門書や論文を一般向けにわかりやすくやさしく編み直したものではなく、研究者としての著者の「公」と、「橋を燃やし、また新たに橋を築いた者」としての著者の「私」が渾然一体となった、専門書では絶対ありえない一般書である。そのありえないぶりは、冒頭の引用だけでも充分うかがえるのではないか。
21世紀も1/10経た今、我々はネットワークというものにどっぷり浸かって生きている。それだけ身近な話題ということもあり、この分野にはすでに数多くの一般書が出ている。以下は本blogで紹介したもののごく一部である。
404 Blog Not Found:複雑ネットワークを複殺する - 書評 - 「複雑ネットワーク」とは何か
404 Blog Not Found:書評 - 私たちはどうつながっているのか
404 Blog Not Found:"Crowds"は「みんな」じゃない - 書評 - 「みんなの意見」は案外正しい
404 Blog Not Found:群蟲の叡智 - 書評 - 群れのルール
404 Blog Not Found:書評 - ヒトデはクモよりなぜ強い
本書の知見を得るという点に関して言えば、これらの本の方がよいかも知れない。「怨念」がこもっていない分、安心して読めることだけは確かだ。
しかし、ネットワークというのはこの「怨念」のヴィークルでもある。
そして「ばらしては理解できないもの」の代表でもある。
本書の筆致は、そんなネットワークというものの理解、それも頭だけではなく魂まで理解するのに最適ではないか。
実際ネットワークというものは、単に「わかった!すごい!」で終わらせてしまうにはあまりに我々にとって切実で、あまりに怖いものなのだ。
P. 21
誰か組織の長をピンポイントでやっつければ勝負に勝つという時代はもう終わったのだ。大将を殺しても壊滅しない組織。王将をとっても勝ち負けが決ま��ず、いつのまに飛車や角が王将となり、全駒の布陣が完璧に再生している。ありえない不気味な対局。分散した敵は、モグラ叩きゲームのように叩いても叩いても現れ、さらにそれがゲームボードの下で自己組織的につながりあっている。貧困と絶望にうらづけられた悲しみと敵意は、中枢をもたずにいくらでもつながりうるのだろう。その連鎖こそが、米国人にとっての、21世紀の戦争の「敵」なのだ。
そして誰もが、こうした「敵」を持ちうるのが、現代なのだ。
「彼を知り、己を知れば、百戦危うからず」は前ミレニアムまでの常識。今ミレニアム以降は、つながりを知らなければ一戦とて危うい。
かといって誰とも何ともつながらないという選択は、ありえない。本書を読もうが読むまいが
その意味で、あなたは本書とすでにつながっている。
ならば著者が命じるように、それを突き止めてみようではないか。
最近、セミナーで「ブランディング3.0」というお話をよくさせて
いただいています。
具体的に説明すると、
1.0は、大きな箱やメディアに所属すること、
2.0は、検索の世界で目立つこと、
3.0は、有力なLinkを持つことです。
SNSが普及した現在、富を生み出すために求められるのは、3.0、
すなわち有力なLinkを持つこと。
そのために役に立つのが、最近研究が活発なネットワークの理論です。
本日ご紹介するのは、このネットワークの理論を紹介した注目の新
書で、社会ネットワーク分析の専門家であり、関西大学社会学部の
教授を務める、安田雪さんによる一冊。
このネットワーク理論は、友人関係や病気の蔓延、ビジネスにおけ
る人脈の拡大など、さまざまな分野で活用することができますが、
本書では、海外のネットワーク理論の紹介に加え、著者らが独自に
行ったSNS「mixi」のネットワーク調査の結果も紹介。
読むことで社会ネットワークに対する理解が深まり、その中で誰と
付き合うべきか、どうすれば富を拡大できるのか、そのヒントが見
えてきます。
社長はどんな組織を持つべきか、夫婦はどんな関係を目指すべきか、
ビジネスマンのさまざまな悩みに、社会ネットワークという見地か
ら切り込んだ一冊。
社会ネットワーク関連本のなかでは最も読みやすく、安価な一冊です。
ビジネス、プライベートのヒントとして、ぜひ読んでみてください。
チェスター・バーナードという組織論の大家は、組織は、コミュニ
ケーション、貢献意欲、共同目的の三つで成立すると論じている
売上に関わる業績が高い人上位15%と、それ以外の人たちのメール
の送受信行動を比べてみると、明らかに両者のメールの送受信パタ
ーンは違っている。高業績の人たちは、若手に対するコミュニケー
ション量が多いのだ
すきまをみつけ、連鎖の仲介者になることで、他人から拘束される
のを避ける。それが組織で生き延びる知恵
関係情報は占有されると武器になるが、共有情報になれば乱用は防
げるし、その威力も弱まる
複数の他者から見える自分のイメージを統一しておくと、人間関係
は安定し、かつ広がりやすい。イメージのぶれる人、多重イメージ
を持つ人は、他者に不安定感、悪い場合には不信感を与える
交際相手をみなが自分の身近なところから選んでいる限り、彼氏の
元カノネットワークはそうそう大きくはならない。だが、人々が交
際相手を大きな範囲から選んでくると、交際連鎖のネットワークは
いきなり巨大化する
エルドシュ・ナンバーを改善するコツは、誰か大物とつながること
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タイトル通りネットワーク・サイセンスの入門書。
インターネットではなく(もちろんインターネットも含まれるが)人と人との「つながり」について研究しているのがネットワーク・サイセンス。
小飼弾の言う「怨念」というものをあまり感じなかった。それだけ私の読解力が低いのだろう。
人は誰かと繋がっていないと生きていけない。だけどその「つながり」についてはまったく分かっていない。
■この本を知ったきっかけ
小飼弾 404 Blog Not Found の書評
■読もうと思ったわけ
書評で面白そうだと思ったので。
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ネットワークに着目して、さまざまな領域を分野横断的に分析した一冊。かといって、決して研究論文然とした書物ではなく、著者がネットワーク・サイエンスという学問と格闘してきた、ドキュメントのような仕立てになっている。その格闘は迫力に富み、まるで著者の息づかいまで伝わってくるようである。
TwitterやFacebookの登場により、ソーシャルグラフというものが昨今、非常に身近なものとなっている。ただし、これらは可視化かつオープンになっている、ごく一部のネットワークに過ぎない。世の中にはまだまだ可視化できないソーシャルグラフ、クローズドに閉じたソーシャルグラフが、たくさんある。そして、そのような幾多のソーシャルグラフに、著者は負の側面、正の側面から真に迫っていく。
本書の最大の特長は、”お題設定のうまさ”に尽きると思う。ネットワーク・サイエンスという普段は縁遠い学問を、実に自然な流れで”自分ごと化”させてくれる。
◆本書において触れられているお題は、以下のようなもの
・社内における電子メールのやり取りから分析したハイパフォーマーの特徴とは?
・SNSの人脈連鎖と、実際の人間関係における人脈連鎖は、どう似てる?
・彼氏の元カノの元カレは何人いるか?
・新型インフルエンザ発生時の休校措置は正しいか?
・6次の隔たり(6人の知人を通せば世界中の人とつながる)は、過大推定か、過小推定か?
結論が明確に出ていないものもあったが、実に多種多様で、興味深い内容ばかり。
ネットワークという壮大な観点から世の中を見ていくと、まるで宇宙の歴史でも聞いているかのような気分になる。自分などネットワークの一部にすぎない、ちっぽけで相対的な存在であることを、痛感せずにはいられなくなるのだ。なんだか、多少鼻っ柱を折られた気分だ。
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一週間ぐらいまえに読み終わった。バラバシや増田直紀の著作と同様の内容が多いが、著者が専門とする社会学系のネットワーク理論の魅力を伝える点で優れている。とくにメッセージの不伝達要素を測った実験は秀逸で、孤立点に代表されるような構造的不伝達もあるが、相手に数ステップを介して、つながっているものの、的確な伝送相手を選ぶことができずに、メッセージのループが発生することを指摘しているのは興味深い。この点を掘り下げて、グラノベッターのいう「弱い関係」は実は「ブリッジ」の強さをいっていると指摘し、また、「弱い関係の間柄では、相手のネットワークの詳細が分からないために、伝達がループになりやすい」ことを指摘している。テキストマイニングと言葉の応酬の観点から行った、組織の「レントゲン」(「原爆」)と称されれるメールサーバーのログ分析も興味ぶかいものである。若干暴走ぎみの部分や学界内輪ネタがあるので、もっとクールに書いてほしいと思った箇所もあるが、ネットワークサイエンスの魅力を十分伝えている良書である。テロリストの関係探索などは、刑事の捜査と同じで特に「つながりは武器になる」と強調するまでもないと思う。
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出だしが一番わくわくして読んだ。途中中だるみした。最後の方はまた集中して読めた。
コンピュータサイエンスが中心の話かと思ったが社会科学の話だった。普段読んでいる本と若干傾向が違うだけで読みにくく感じてしまった。
分かりやすく書かれていると思うので、悪い本であるとは思わないが、僕自身がもう少し慣れないとすんなりは読めないのだな、きっと。
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豊富なデータと鋭い考察。良書だと思う。コミュニケーションやマーケティングを勉強している人間には有用な本なのだろう。
ただ、いかんせん自分の能力が足りなかったせいか、面白い本ではなかった。
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第4章が、とてもおもしろかった。カレシノ元カノの元カレと考えていくと、簡単に人と恋愛関係に落ちるのは、どうかと思う。
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ネットワークサイエンスという学問についての入門書です。ネットワークサイエンスに取り組む、著者の姿勢など色々と参考になる点も多かったです。少し自伝的な内容も含んでいますね。
ネットワークサイエンスとは、たとえば、私と世界中の貴方は大体6次元のつながりを介せば知り合いになれるといったスモールワールドについての一考察など。良書でした。
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ネットワーク研究について、最近のトピックを織り交ぜながら説明している。
正直、まとまりがない、という印象だ。しかし、通読すると、ネットワーク研究の面白さと難しさが伝わって来る…噛めば噛むほど味が出るスルメのような感じか?
テロリストのネットワーク分析などは非常に興味深いところ。裏ワザも書いてあったりして…
ボブも書きたいことを書いていくと、こんな感じの本が出来上がるのかもねf^_^;)…
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面白かった。
ネットワークサイエンス。ソーシャルメディアから、HIVの感染、テロリストの捜索まで、様々なネットワーク(つながり)を研究している。著者は人の人格を決めるのもネットワークだと言う。たしかにそういうところもあると最近出席したグループインタビューで、そう思っていたので、納得。
でも、この著者が女性であることを、半分くらいまで気がつかなかった。それらしい、気配りに気が付いたのはその後だ。
お勧め!
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最近は、ネットワークと聞くとWebに関連する話を想起するが、子供時代、一般回線の電話しか通信手段がない時代から、「人間関係」というネットワークについては常に身近で、興味の最もたる対象であったなぁと、この本を読んでつくづく思った。
巻末の夢を空間の向こう側に見るか、時間の向こう側に見るかという言葉は印象的だった。
若かりし頃は、常に空間の向こう側に夢を描いて行動を繰り返していたが、最近年をとると共に、時間の向こう側に思いを巡らせることが増えてきた気がする。
どちらが良い、悪いとは思わないが、ネットワークの向こう側に、空間の向こう側にアクティブに行動することをわすれてはいかんかなと思いなおす良いきっかけになった一冊でした。
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ネットワーク・サイエンスという研究領域があることを初めて知る。
社内のメールログの解析から全社員の人間関係を分析して企業管理に生かすビジネスが既に存在していることの驚きや、知り合いの知り合いを数人辿るだけで想像以上に人間関係が広がる事実の面白さを堪能する。
しかしながらそ本書全体から強く感じるのは、この学問の未熟さ(学問として体系化されていない)と人間関係を対象とする難しさ(プライバシーの問題が研究の妨げとして常に立ちはだかる)に対する著者の苦労であり、この研究が孕む知的興奮が読んでいてあまり伝わってこなかったことが残念である。
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ネットワークサイエンスという言葉は初めて知ったけれども、身近なところに対象となる事象がたくさんあって興味を持てた。弱い紐帯の重要性やスモールワールドの話は聞いたことがあったが、シミュレーションを通じて広がり方、関係性を解析していくのは面白い。目に見えない人と人との関係性だけれども、そこには無数に張り巡らされたネットワークがあって、その太さや長さもきっと異なっている中でお互いに影響しあっているのが人間社会なのだと思う。自分が他者に向けて出す関係は制御できるけれども、他者から自分に向けられてくる関係をどこまで認知、制御、活用できるか?という言葉が印象的だった。今後フェイスブックなどでネット上でリアルな人間関係が可視化されるようになっていくと、また面白いのかもしれない。
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読みたい本。備忘に失礼します・・・
⇒読みました。
「私たちはどうつながっているのか」と重複するところが多いですが、
著者の意見が随所に盛り込まれていて読みやすいです。(さわ)