コミカルな死体隠し
2022/10/28 06:51
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ミステリーの女王」と称されるアガサ・クリスティーはミステリー作家であることはいうまでもないが、劇作家としても評価は高い。
この『蜘蛛の巣』は、アガサが1957年に発表した戯曲で、原題も「Spider’s Web」となっている。
ただこのタイトルはあまり気にすることはない。ちょっとしたオシャレな言い回し、夫の妻への愛情表現ほどのこと。
もっともこの作品全体が、このタイトルのようなかわいくオシャレで、コミカルな出来といえる。
戯曲だから、まず舞台配置図の説明がある。
この作品の場合、見せどころは「消える死体」で、舞台もそれゆえに複雑な配置となっている。
アガサはその点も手抜かりはない。
ある日主人公の女主人の家に、夫の元妻の現在のやくざな男がやってくる。
あやしい動きをする男だが、誰かに殺されてしまう。
この死体をめぐって、登場する男三人のコミカルなやりとりが楽しい。
死体の始末どうすんだ? 隠してよ! そこじゃだめだろ・・・、みたいな。
そんな男たちを右往左往させるのが、この作品の主役といえる女主人。
どんな時代であれ、どんな場所であれ、かわいい女性には男たちはやさしいというか、いいなりになってしまう。
単にコミカルというだけではない。
犯人が狙っている高額なものとは何か、そういう謎解きも面白い。
ただそもそもの犯人探しは案外早くから検討がつくかもしれないが、この作品でアガサがもくろんでいたのは犯人探しではなく、男のかわいさのような気がした。
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シナリオ形式を初めて最後まで読めた。全然苦じゃない!最後までのスリリングな展開と舞台設定が変化するたびに創造も膨らむあたりで飽きなかったのかも。一気に読んだ
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戯曲は、自分で演じるか、演劇の裏方として関与しているときでないと、ピンと来ないことが多い。
アガサクリスティの作品も、映画などで見た作品は、戯曲を読んでも理解できるし、映像を思い浮かべることができる。
でも、映画も舞台も見たことがない作品では、自分たちでやろうと思わない限り、つまらない。
本作品も、そう思って読み終わったら、解説で似たようなことが書かれていた。
作品を演じてみると、なにげないト書きに、伏線があったり、
演じてみると、楽しい舞台にすることができる。
俳優や監督の解釈と、主張により、楽しいものにすることができる。
であれば、この戯曲も、自分の人生に照らして、あるいは、
自分が今演じている生活に照らして呼んでみたらどうだろう。
義理の子供とはいえ、子供を守ろうとする義母。
名づけ子を守ろうとする叔父。
2人の視点で読み直すのもよい。
家つきの庭師。
ある家の秘書。
この2人の視点で読み直すのもよい。
判事と執事の立場での読み直しはうまくできなかった。
ヘンリーとオリバーの立場での読み直しもあまりうまくはできなかった。
ピパの立場での読み直しは簡単に済んでしまったが、
もう一ひねり違った読み方ができるかもしれないと感じた。
3つの読み方をしてみると、どう演じればよいかが想像できてきた。
なんとか、全員の立場での読み直しはしたので、どこかで舞台に上げたいと思う。
あるいは、舞台をしなくても、読み合わせだけでもよいかもしれない。
それぞれの配役の感想を聞いてみるのもよいかもしれない。
ps.
フレンチウィンドウという表記は、翻訳によってはフランス窓と訳しているものもある。シリーズで、訳語の統一はしていないのだろうか。
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ねずみとりより面白い
展開はいきなりすぎるけれど、
エルジンは結局なんだったのだろうか…
絡みが余りなかったなぁー
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外務省の役人ヘンリー・ヘイシャム・ブラウンの娘ビバを引き取りに来た前妻の夫オリバーの死。殺人が起きたことを隠そうとするヘンリーの妻クラリサと友人たち。しかし何者かが警察に通報。やってきたロード警部。警部の尋問に対し当初は殺人事件の存在を否定するが・・・。
2011年10月13日読了
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明るい死体コメディ。
戯曲のいいところは早く読めるところ。
だけど、かなり想像力がないと、うまく鑑賞しきれない。
クラリサが明るいので、いろんなものがボヤけているけど、笑っていいのかよくわからないストーリー。
怪しいやつがやはり怪しかった。
舞台で見てみたら印象が変わるだろうな。
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再婚した夫と引っ越してきたばかりのクラリサ。ある夜夫は急遽仕事で外出、執事達は週一度の外出日、招いていた客3人はすぐそばのクラブハウスに食事に、家には継子のピパと庭師。居間に入ったクラリサは男が死んでいるのを発見する。そこにピパが隠れ部屋から現れ「そんなつもりは無かった」。ピパをかばい遺体をかくすべくクラリサは客3人を呼び戻す。そこへ「殺人の電話があったので」と警部がやってくる。誰も電話してないのに??
殺人を隠すためにやった行動が、次々にほころびを現す。舞台となる居間で入れ替わり立ち代わり、かみ合わない会話が行われる。本の裏の紹介「クライム・コメディ」とあるように、犯人はみつかるがどこか喜劇だ。
舞台の見取り図をみながら俳優たちが右往左往する姿を頭に描きながら読む。これぞ演劇、という会話と動きの指示が書かれている。空港に夫が出かけ、そしてかえって来るまでの2時間くらいの出来事。ロングランになったというがうなずける。
1956発表
2004.6.15発行 図書館
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殺人事件は、基本的にコメディ。
クラリサは、死体を見つけた。どうやら夫の前妻の子が手を下した可能性がある。もう少しで夫が外交上の要人を連れてくる。隠すしかない! 叔父や友人に協力を頼んで死体を隠したものの、謎の人物の通報により警察がやってくる。死体を隠した扉を開けられてもう終わりかと思ったら、そこに死体がなかった。さあ、クラリサはうまく警察をごまかせるのか?
人が1人死んでいるドタバタ劇。出てくるキャラクターのクセが強いのはクリスティーのお約束。手がかりはちゃんとセリフやト書きの中にあり、犯人がわかってから読み返すとなるほどと思う。どこかで上演してくれないかな。
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戯曲なので頭の中で
舞台を想像しながら読むのも楽しい。
誰々が上手から登場、とかね。
外交関係の仕事をしている夫の
前妻が結婚した男が書斎で死んでいた。
彼はその直前、前妻の実娘を連れ戻すと
おどしをかけに来ていたのだ。
犯人はその娘に違いないと思ったクラリサは
なんとか隠蔽しようとするのだが。
と、倒叙モノっぽく始まって
死体を隠したところで
誰かの通報で警察がやってきて
あっさり発見されちゃう。
ところが事情聴取をしている間に
その死体がまた消えてしまうのだ!
セットは客間と死体を隠す奥の書斎だけなのに
こんなスラップスティックな話ができるんだ。
もちろん見えていないところでも
事件は進んでいるので
それを会話で上手に騙してくる。
また日本版が上演されたら見てみたいです。
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アガサ・クリスティーが書いた戯曲。ト書きにも伏線が張られているという後書きで緻密な構成に気付かされた。やっぱりこの人はすごい。クリスティー文庫を制覇したい。
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殺人事件なのに重たい雰囲気はあまりなく、喜劇っぽい感じ。
自宅の居間で死体を見つけたクラリサ。
通報しようとしたけど、夫が大切なお客様と家で会談するので通報できなく、またある事情により隠蔽を図る。
呼んでいない警察の到着、見つかってしまった死体、そして消えた死体。
テンポよく色んなことが起きて、あっという間に読み終えてしまいました。
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【戯曲】
クリスティーの戯曲。
戯曲は短いので時間がない時にもサクッと楽しめて良い。短いのに二転三転して面白い。
この作品は倒叙のような感じもあり、コメディータッチなので明るくて、三谷幸喜さんぽい。
今まで読んできた作品とは違うクリスティーの新たな一面だった。
登場人物みんな明るいキャラクターなのが楽しい。勝手に三谷さん作品で毎回出てくる役者さん達を想像しながら読んだ。
攻略本にも書いてある通り、舞台ならではの「志村、後ろ〜!」的な面白さが味わえる作品だった。これは舞台で観てみたらもっと面白いだろうな。
最後もコメディー舞台らしい感じで、読後感も楽しかった。
◆あらすじ
外交官の夫からおしのびで賓客が屋敷を訪れると聞かされた妻のクラリサ。急いで準備するクラリサは部屋で死体を見つけてしまい…。
※この作品も裏カバーのあらすじに全部書きすぎなので要注意です。
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2004年発行、早川書房のクリスティー文庫。戯曲。解説のいうとおり、おそらく細かいト書きが伏線になっているのだろう。上演されることが前提の戯曲は上演をみないと良さは分からないのかもしれない。それにしても主人公の天衣無縫ぶりは台本形式のこの中でも面白みがあって可笑しかった。
解説:「読者よ、蜘蛛の巣に捕われるなかれ」(ミステリ研究家)小山正、
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凄かった…。
蜘蛛の巣のように事実がこんがらがって解かれてあった瞬間のそうだったのか!と膝を打った。