百人一首にワクワクする本
2012/01/24 18:37
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:胡柚子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校のとき覚えたはずの百人一首。今となってはほとんど思い出せないことがショックで、購入しました。ビギナーズ・クラシックスのシリーズなので、とにかくわかりやすく、読みやすい。ただ丸暗記するより、この本を読んで、歌について歌人について、いろいろ知ることからはじめようと考えてます。本書を読み終えたら、同じ角川文庫ソフィアで島津 忠夫訳注『百人一首』が出ているので、そちらを読む予定。
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
百人一首の解説書はたくさんありますが、角川ソフィア文庫の「ビギナーズクラシックス」シリーズでいくつかの古典作品を買ってあったので、そのよしみで、この本を買いました。基本的に1首につき見開き2ページで解説されています。まず定番の現代語訳、それから作者について、歌の詠まれた背景についてや関連する歌などが紹介されています。必要に応じて語釈や文法的説明もあります。
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入院中に、大学のゼミの先生が「お見舞いに」と下さった本。文庫本なので、バスや電車などの移動中などに少しずつ読んでいたら、読み終えるのに半年以上かかってしまった。
百人一首のそれぞれの和歌について、初心者にもわかりやすく解説してあり、ときに著者の専門的な解釈が加わる。「古典は好きだけれども、和歌は苦手・・・」という人もいると思うが(まさに私w)、そういう人にもわかりやすい。また、解説の中や合間のコラムの中で、和歌を楽しむための技法や約束事などについても触れており、大変親切である。初心者には初心者なりの、中級者?には中級者なりのおもしろさがある。
読み終えて感じたのは、「百人一首には百人百様のドラマがある」ということ。ドラマによっては創作もあるが、そこに描かれる世界観は雄大であったり、繊細であったり、たった三十一文字で映画が作れそうなくらいである。
そして、もうひとつ新しく知りえたのは、「百人一首は選者である定家が数多くの人物の作品を集めて作りあげた、更なる壮大なドラマである」ということ。その配列、人物の背景を踏まえた上での和歌の選び方、構成…等と細かく見ていくと、定家にとって百人一首はただの”作品集”ではなく、自分自身の作りあげた”作品”であることがわかる。
そういった、百人一首の奥深さを本書は教えてくれた。現代に生きる我々も、古代に生きた古き人びとも、同じ人間である。多少の価値観の違いはあるものの、生活の中で同じように喜び、悲しみ、恨み、愛した…
古典の苦手な人にもぜひ読んでほしい。
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無性に百人一首に触れたくなって購入。
基本的に一首、2ページで、現代語訳+解説で進んでいく。
ところどころ和歌に関するコラムが挟まれていく。
解説の際に、関連する和歌(本歌取りや同様の構成の和歌、詠み手の別の和歌など)についても触れられているため、百人一首の歌以外についても深まる。
ビギナーズ・クラシックスだけあって、分かりやすい解説と構成のため肩肘張らずに読める。
百人一首に関する入門として読むにはよい。
反面、細かい解説などが欲しい人には物足りないかも
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「ちはやふる」を読んでいて、百人一首の歌の意味を知りたくなったので手に取りました。
しっかりと歌の意味を理解するには、当時の文化や風俗、言葉使いに加えて、作者が誰で、いつ、どんなときに、誰に向けて詠んだ歌なのか、歌が作られた背景も知っていなければなりません。
その部分を平易に解説してくれているので、とても分かり易かった。
しかし、五七五七七という三十一文字に、こんなにもたくさんの思いや情景を込められるなんて、和歌って凄い。
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20年ぶりくらいに百人一首の歌の意味を勉強。暗記と並行してやったので、相乗効果で吸収が速い。承久の乱って何だっけ、ってくらいに歴史忘れてるのでそこらへんの復習も必要。百人一首って、1,2番と99,100番がどっちも天皇親子だったんだな
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図書館から借りました
原文。
訳。
技巧等の説明。
その詠んだ人がどんな人なのか、歌われた背景なども紹介されている。
読みやすい。
百人一首が欲しくなった(笑)
でも、遊ぶ相手はいないから買わないが。
選者「定家(ていけ)」の気持ちや、その短歌に対する評価も書かれている。
ゆったりとした美しい統治を表す天皇の短歌で始まる(というか、一首目は清貧なやつで、二首目がそうだが)が、終わり二つは、天皇統治の終焉。幕府により流刑にされた二人の天皇の激しい、もしくは今を惜しむ歌で終わる。
おおむね、授業でやっているので知っているのだが、こうして背景を説明されて、詠んだ場を説明されると、わかりやすい。
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初心者向けに百人一首を一首ずつ説明した本。
歌の内容だけでなく、作者と作者の関係や、他に読んだ歌、似たテーマの歌なども紹介されててわかりやすい。
もっと欲を言えば、歌合の時の歌には、対戦した歌も載せて欲しい。
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ちはやふるの影響もあり読み始めたが、人生や恋心を歌った和歌たちに心を揺さぶられた。
特に、多くの歌にどことなく寂しさや哀しさがあり、惹きつけられた。
2016.5.28
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たくさんの恋の歌。でも、その恋愛観も、現在とはかなり異なっています。
普通に会うことはほぼなく、歌を通じて親交を深め、逢った時には関係を持つ。
今の私には想像もできない世界。
でも、これもあの時代の一般的なことだったかというとそうでも無い気がします。
私は歴史に詳しい訳ではありませんが、百人一首に登場するような人たちは、みんな貴族か、その出身の人たち。
一般庶民ではない。
あの時代も、彼らの恋愛観はやはり特別なものであったのかもしれません。
お互い身内のような立場だからこそ通じる言葉、共通認識の中で、言葉を洗練し、短い文章の中に様々な情景を埋め込んで行った。
そうやってできたのが和歌であり、その中でも特に洗練されたものが、百人一首なのかもしれませんね。
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百人一首の入門書。読み物としても面白い。少々見解の違う解釈もあるがそれも古典の古典たるゆえんである。和歌をめぐる様々な知識もコラムとして載せられている。中高生は必読。大人も読みやすい。
電子書籍版(Kobo)では多少レイアウトが崩れるところがある。
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万葉集、古今和歌集、新古今和歌集と、順に楽しんできたので、とても親しい気持ちで読みすすめられました。
和歌というものがいかに決められた枠組みの中で詠われたものか、ということが大変よくわかります。感情を素直に言葉にするのだけではなくて、高度にルールが規定されたものでした。
百人一首は、膨大な和歌の中から、わずか100首を選りすぐった珠玉のベスト盤です。決められた数の音で、「縁語」「掛詞」「本意」「歌枕」「本歌取り」などの技巧をたくみに活用した名作集です。
こんな芸術性の高い歌を、即興バトルで披露し合ったというのですから、鎌倉以前の人たちの知識量と創造性には脱帽です。
この本は、現代語訳と解説に加え、和歌の世界をより深く理解するためのコラムなども織り交ぜながら、現代の私たちが共感できるように軽妙な語り口で、100首すべてを紹介してくれています。どういう境遇の人がどんな場面で詠んだものなのか、ということがわかると、歌に込められた思いがより深く味わえます。
高校古文ような眠くなりそうな授業ではありません。気軽な気持ちで、私たちの財産であるクラシック文学に触れることができます。
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紫式部「めぐり逢ひて~」について、高校で習ったころにはピンとこなかった歌も、社会人になり環境が変わると少しわかるようになった気がする。
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このシリーズはほんとうにすばらしい。簡潔にして要を得ているってのはこういうものだ。筒井康隆の「裏小倉」まで紹介されているのは驚いた。
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学生の頃に暗記した百人一首。
今も多少興味はありつつも、その背景や込められた意味をほとんど知らないなと思い、手に取りました。
・田子の浦にうち出でてみれば白妙の
富士の高嶺に雪は降りつつ
富士山に雪が積もっている歌…と、漠然としたイメージだったのが、「開放感とともに、青い空と青い海にはさまれた富士山頂の真っ白な風景が、見事なコントラストで、ぐっと迫ってくる。」と読み、この短さでこんなにはっきりイメージできるのか、と驚きと発見でした。
写真を撮ることも、それを映像で共有することもできない時代(絵はあったけど)、目を閉じて歌からその情景を楽しんだ多くの人がいたんだろうと、感慨深い気持ちになりました。
・奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の
声聞く時ぞ秋は悲しき
秋になると、どことなくもの悲しい、人肌恋しい、と思う哀愁は、当時の日本人も感じていたんだと、遠い昔が急に身近に思えました。
そして「悲しい、侘しいという感覚は、決して悪いことではなく、むしろそう感じていたいという願望の対象でもあった。」という一文に、私もこの感覚だ!と妙に納得。
秋が来たらこの歌を思い出しそう。
・君がため春の野に出でて若菜摘む
わが衣手に雪は降りつつ
1つ目の天智天皇とこの歌、"露に濡れつつ"なのか"雪は降りつつ"なのか、いつも曖昧でした。
でも「(若菜の)緑と(雪の)白の鮮やかな対象」と情景が目に浮かび、こうして色をイメージしていたらちゃんと覚えられたな~。
どの歌からも、当時の日本がいかに美しかったか(特に秋)、風光明媚な土地に囲まれていたかと想像し、現代にはない風景が羨ましくなりました。