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厳しい環境の中での人々の素朴でひたむきな生き方に胸を打たれる。感動でした。
2016/12/07 00:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
厳しい環境の中での人々の素朴でひたむきな生き方に胸を打たれる。感動でした。
十勝岳の泥流被害に関する小説ということで、史実に基づいた小説も書けるのかという興味もあった。更に今年は、綾子の作家デビュー50周年記念(朝日新聞大阪本社創刊85年・東京本社75周年記念懸賞小説に入選(1963)した小説「氷点」の朝日新聞朝刊連載開始が1964年12月9日であった)と、2014年10月30日に「三浦綾子記念文学館」館長でもあった夫・三浦光世(90歳)が逝去したことを受けて急遽読み始めた。
小説の時期は1919年頃から1926年までの約9年間であるが、1919年は第一次世界大戦(1914~1918)の特需景気に沸いていた時期とはいえ、後進国であった日本は欧米諸国に追いつくため無理な富国強兵主義を推し進めていた時期である。当時国民の圧倒的多数を占める農民は最も底辺で様々な収奪に耐えなければならず、まだまだ開拓期にあった北海道においては厳しい生活環境にあったことが作品の中から強く浮かび上がって来る。だからこそ尚更、そうした厳しい環境の中での人々の素朴でひたむきな生き方に胸を打たれる。
舞台は上富良野町・日進地区となっているが、今の地形図や資料<注1>などによると“日進”は“日新”のようである。<注1>『1926 十勝岳噴火報告書』(2007(平成19)年三月) 中央防災会議 災害教訓の継承に関する専門調査会(インターネットで閲覧可能)
十勝岳泥流災害(1926(大15)年5月24日)が主役かと思ったら、意外や意外、上富良野町・日新地区における開拓農民の素朴でひたむきな生き方とそれが一瞬にして失われていった様が描かれており、主役はあくまでも開拓農民の生き様であった。とは言え、終盤(P-450)で描かれる泥流の様は100ページにも満たない短いものであるのに、その惨状を的確に記述しておりその有様が目に浮かぶようである。その記述の的確さは、文章を読むだけで泥流の速度が時速約60kmであったことが判るのである。祖父母が入植してから30年間の努力が一瞬にして無に帰したところで本作は終わってしまう。ある意味で「泥流」が主役となる復興の有様は『続・泥流地帯』で描かれるようである。よって、速やかに「続 泥流地帯」を購入して読み始めたのであった。
話が重大な転機をや事件に差し掛かると、突然時間を飛ばして肩すかしを食わせたうえで再度時間を遡って続けるというのがこの作家・三浦綾子の好みらしい。
1977(昭和52)年の作品。もっと自らも関わった軍国主義教育に対する批判的思想が反映されているかと思ったが、その辺は意外と控え目でした。レジスタンス文学ではないし、戦後でもありそれ程厳しい軍国主義批判も必要ないか。(綾子の思想基盤;1939年、旭川市立高等女学校卒業。その後歌志内町・旭川市で7年間小学校教員を勤めたが、終戦によりそれまでの国家のあり方や、自らも関わった軍国主義教育に疑問を抱き、1946年に退職。)
絶対に感動します!
2002/03/07 07:23
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投稿者:さなえ - この投稿者のレビュー一覧を見る
大正時代の北海道・上富良野が舞台です。
父は山の事故で亡くなり、母は悪質な金融業経営者・深城からの執拗な求婚に耐えかねて髪結いの修行のために札幌へいってしまったが、拓一、耕作兄弟は、姉の富、妹の良子、祖父母とともに、貧しさに耐えながら明るく誠実に生きていた。そこへ、十勝岳の大噴火が起こり、泥流が容赦なく襲いかかる…。
クリスチャンである著者は、ところどころにキリスト教の思想を織り交ぜながら、懸命に生きる彼らの姿を通して、人生の試練の意味を問いかけています。絶対感動します!★10個くらいに相当します!
『泥流地帯』は前編で、後編である『続・泥流地帯』へと話が続きますが、この前編では大噴火の前までが描かれています。
拓一、耕作兄弟の周りでは、本当に色々な出来事が起こります。これが、どれもこれもハラハラです。頭のいい耕作は、周りからの勧めで中学を受験し、市街の子を抜いてトップで合格しますが、入学式前日に偶然に、結婚適齢期の姉が婚約者に対して「耕作が卒業するまでは、家計を助ける必要があるから結婚できない。」と話しているのを聞き、中学進学を断念します。しかし、ようやく結婚できた姉も、婚家では姑からつらく当たられてしまいます。また、耕作の同級生の福子は、ひそかに拓一が思いを寄せている子なのですが、酒飲みの父の借金の肩代わりに深城の経営する料亭の芸者として売られてしまいます。他にも色々、「ええ〜っ!」という事が起こるんです…。
また、ところどころにいい言葉もちりばめられています。遅刻の罰に居残り掃除をさせられた耕作の友人・権太は、手伝ってくれた耕作から、机拭きはやらなくても分からないだろうから省略しようと提案され、「わかってもわからなくても、することだけはしようよ。」と答えます。また、結核にかかった母のことを悪く言う叔父に対して、祖父が「人間は、金がかかるから価値がないとか、金を稼ぐから価値があるとか、言えるものじゃない。金は、人間の偉さを測る尺度じゃないぞ。情のあるなしで見分けろ。」と諭します。
とにかく、読んでみてください!
今の生活の在り方を考えさせられる
2020/06/06 17:08
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投稿者:うっでー - この投稿者のレビュー一覧を見る
あまり本書のあらすじを知らずに読み始めてしまいましたが、タイトルにある泥流地帯を生む十勝岳の噴火にはクライマックスまで触れられず、主人公を含む北海道の原野の開拓民の暮らしが丁寧に描写されています。100年も至らない昔はこんな生活を暮らしている人もいたのかと思うと、現在の豊かな暮らしが夢のようでもあり、これまでの多くの人々の苦労の積み重ねの上に現在があることを改めて重く思えます。一方で、そうしたささやかな暮らしも自然災害で一瞬にして破壊されてしまう、その時にとりうる行動は如何なことがあり得るのかと、近年、自然災害も多く改めて考えさせられます。前半の丁寧な生活の描写が、後半の災害にあった人々の悲しさを引き立てます。非常に感動しました。
運命
2002/07/26 07:46
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投稿者:どんちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
よく人は運がいいとか悪いとか言う。確かに世の中の幸運を独り占めしてるような
人もいるし、反対にどうしてと思うほど悲惨な人もいる。
たいていの人間は世の中で生きていてそうそう楽しいことが次から次へと起こる
わけでもないし、経済的に人様より裕福というわけでもないのでどうせ...とか
自分はつてないと思い込んだりする。
しかしここの家の人たちはそういうことはない。度重なる不幸にもめげないし、
世の中をうらんだりもしてない。
馬鹿らしいとは思ってないのである。
生きる価値があると思っているのだ。
現代の日本にこれほど真摯に生きてる人がどれほどいるだろうか?
自然の恐ろしさを知る
2021/10/11 10:21
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投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
十勝岳が噴火した。その噴火は近くの硫黄採掘工場を巻き込み、山から硫黄を含んだ土石流とともに山の木々も近隣の村に襲い掛かった。その土石流は人々から多くの命や家・財産を奪い、生活の糧である土地までも荒らしつくした。生き残った拓一と耕作の兄弟は今後のことを考え始める。そして兄拓一が選んだ道は・・・。
感動作ですね。氷点シリーズ、銃口も良かったが、それ以上です。三浦綾子氏の作品をこれからもっと読んでみたいと思います。
誠実に生きる
2023/06/12 11:37
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投稿者:rainie - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間の力ではどうにもできない困難に遭った時、その理不尽さにやりきれない思いをすることが誰しもあると思う。損得の判断ではなく、自分の正しいと信じた心の声に従い、全てをそのままに受け止めてひたむきに前進していく。その導きが宗教観であれ、無宗教的な理性的な倫理観であれ、すばらしい生き方だと思う。
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