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≪目次≫
はじめに
第1章 足利義満「日本国王」の権力
第2章 足利尊氏「京都」に挑む
第3章 北条時頼 万民統治への目覚め
第4章 源頼朝「東国」が生んだ新時代
≪内容≫
さかのぼり日本史シリーズの第8巻。中世史で旬な本郷和人なので安心して読める。
テーマは、野蛮な武士が天皇や貴族を乗り越えて、一人前の政治家になっていく過程が、足利義満、足利尊氏、北条時頼、源頼朝の順で描かれています(さかのぼりだから、新しい順に)。
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歴史を遡って見るというコンセプトの利点が一番感じられた巻でした。
武士の世が完成された江戸末期から、力にモノを言わせる気風が残っていた江戸初期、さらに戦国時代と遡って見てきたので、いわゆる「サムライ」的な存在はまだこの頃には出来ていないのだと最初からわかった上で読むことになって、「武士」をその時代の階級の一部として素直に見ることが出来た。
これが順に時代を降る方式だと、どうしても「武士=武士道」といった先入観が抜けずに見てしまうものです。
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(2014.04.21読了)(2014.04.18借入)
副題「“武士の世”の幕開け」
武士による統治がどのようにして可能になったのかを考察した本です。
ゴールを1392年の南北朝の合一においています。人物は足利義満です。
平清盛は、天皇家の縁戚として権力をふるおうとしましたが、公家は清盛の思うようには動いてくれませんでした。
清盛の後に権力を握った源頼朝は、京都から距離をおいて鎌倉に幕府を開きました。
その上で、天皇からの官職は鎌倉の許可を得たうえで、貰うように改めました。頼朝は自分のもらった官職は、最終的には返上したということなので、信長と同様、自分が最高権力者であることを示そうとしたのかもしれません。
足利尊氏は、幕府を京都に移しました。鎌倉と京都と離れていることの利点もあるのでしょうが、欠点もあるので天皇と同じ京都にいることの利点の方をとったということでしょう。江戸時代になって、また、幕府と天皇家が離れてしまうのですが。
頼朝にしても尊氏にしても、どうして天皇家を排除してしまわなかったのかという疑問が残ります。幕府が最高の権限を握ったら、統治するにあたって、天皇家は不要に思われるのですが。どうなのでしょう。
各章の扉ページにポイントが書いてありますので、拝借しておきましょう。
第1章、ターニングポイント1392年、南北朝の合一
将軍義満は公家をしたがえ南北朝に終止符を打つと、国内の政治権力を掌握し外には「国王」として臨んだ。
第2章、ターニングポイント1336年、室町幕府の成立
「一つの王権」をめざして京都に幕府が開かれたが、天皇家は二つに分かれ日本国中は四分五裂する。
第3章、ターニングポイント1253年、撫民政策の開始
殺生と合戦に生き収奪にあけくれた戦士らも、「道理」「撫民」を旨とする新しい統治者に脱皮した。
第4章、ターニングポイント1180年、武家政権の誕生
武士の、武士による、武士のための政権が誕生して、東西二つの王権が競い合う新たな時代が始まった。
【目次】
はじめに
第1章 足利義満「日本国王」の権力―1392年
第2章 足利尊氏「京都」に挑む―1336年
第3章 北条時頼 万民統治への目覚め―1253年
第4章 源頼朝「東国」が生んだ新時代―1180年
参考文献
年表
●室町幕府第三代将軍・足利義満(7頁)
義満こそ、天皇という存在を初めて乗り越えることに成功した武士でした。日本の実際の政治権力は、この義満の時代から明治維新にいたるまでの約五百年間、武士が握ることになります。
●御成敗式目(66頁)
「御成敗式目」は、貞永元年(1232年)に、ときの執権北条泰時を中心に定められた初めての武家法でした。幕府が取り決めた法令は、それまでにも単発では出されていましたが、この式目は全部で五十一カ条からなるまとまったもので、しかも広く御家人全体に知らせようという特別な意味を持った法令でした。
●撫民令(72頁)
建長五年(1253年)、時頼は「御成敗式目」の追加法として、いわゆる「撫民令」を発します。
●藤原定家(81頁)
定家は、ちょうど源平の合戦が繰り広げられ���いるころ、日記「明月記」のなかで「紅旗征戎わがことに非ず」という有名なせりふを語っています。つまり、いま世間で繰り広げられている戦争は、自分の文化活動には何の影響も与えない。私は関係ない。わたしは歌を詠むだけだ―と言っているのです。
●武士の主従関係(108頁)
私たちがイメージする武士の主従関係―部下はただ一人の主人に命がけで仕えるという関係は、江戸時代以降の話で、平安後期~鎌倉前期は、貴族も武士も主従関係はもっとゆるやかで、複数の主人をもつ「兼参」と呼ばれるケースが一般的でした。
☆関連図書(既読)
「NHKさかのぼり日本史①戦後」五百旗頭真著、NHK出版、2011.07.25
「NHKさかのぼり日本史②昭和」加藤陽子著、NHK出版、2011.07.25
「NHKさかのぼり日本史③昭和~明治」御厨貴著、NHK出版、2011.09.30
「NHKさかのぼり日本史④明治」佐々木克著、NHK出版、2011.10.30
「NHKさかのぼり日本史⑤幕末」三谷博著、NHK出版、2011.12.30
「NHKさかのぼり日本史⑥江戸」磯田道史著、NHK出版、2012.01.30
「NHKさかのぼり日本史⑦戦国」小和田哲男著、NHK出版、2012.02.25
「吾妻鏡」上・中・下、竹宮惠子著、中央公論社、1994.12.20-1996.02.25
「「蒙古襲来絵詞」を読む」大倉隆二著、海鳥社、2007.01.15
「太平記の謎」邦光史郎著、光文社、1990.12.20
「図説 太平記の時代」佐藤和彦著、河出書房新社、1990.12.25
(2014年4月22日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
歴史には時代の流れを決定づけたターニングポイントがあり、それが起こった原因を探っていくことで「日本が来た道」が見えてくる。朝廷と決別をはかった武門の覇者―彼らはいかにして「真の統治者」となりえたか。1392年→1336年→1253年→1180年と“学び”によって成長した武士の姿を見る。
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南北朝分裂が我が国特有の天皇を中心とした権威に
大いなる揺らぎをもたらした
天皇の権威の失墜は、そのもとにある公家も権威がなくなり、その庇護にあった武士も頼る者がなくなり、税金の徴収システムが綻び始めて、困窮の時代が来ます
29.4.30再読
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武士がどのようにして権力を得ていったかをターニングポイントを中心に鎌倉幕府、室町幕府について解説。公家・天皇から武士の時代へ。
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足利義満「日本国王」の権力・1392年:公家→武士の成熟 公家を凌駕する存在 祭祀権・課税権を奪う 象徴天皇制 足利尊氏京都に挑む・1336年:得宗専制と幕府の揺らぎ 御家人の不満 時代錯誤の新政と武士の不満 足利尊氏の光と影 北条時頼ー万民統治への目覚め・1253年:武士≒収奪者 御成敗式目 時頼の撫民政策 撫民という思想 源頼朝ー東国が生んだ新時代・1180年:暴力装置としての武士 清盛が先鞭をつけた武家政権 頼朝の挙兵と武家政権誕生 源平合戦 武士の都・鎌倉 主従関係の整理と朝廷との決別 武士の学び