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チベットの奥地ツアンポー川峡谷には、21世紀になっても未踏査だった、最も険しい5マイルの区間があった。
ツアンポー峡谷の調査を巡る歴史的背景をオーバーラップさせながら、命の危険を顧みずに空白の5マイルを目指す著者の姿が強く胸に迫る。
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男の本能。それに素直に従う。同年代としてすごく理解できました。読んだあとに悔しいって思わなかったら、男じやないし、終ってる。震災以降、ほっこりした話ばかりがもてはやされてて、そんなんじゃ日本ほんとに滅びるよ。
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チベット高原からベンガル湾に流れるヤルツァンポ河が、ヒマラヤ山脈内で形成する大峡谷で、100年以上も前から探検隊の進入を拒む空白の5マイル。早大探検部に所属していた著者が、単独でこ空白の5マイルに挑んだドキュメンタリー。過去の探検隊の軌跡と、著者が湿気、やぶ、ダニ、食糧不足、凍傷と闘いながら踏破していく様が淡々と描かれています。文句なく面白いです。★★★★★
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ヤルツアンポー大屈曲部の探検記。探検記と一言ですますより、現代を如何に生きるかで苦闘した記録、として読んだ。知っている、登場人物、場所が登場し(ツアンポー渓谷には行ったことありませんが)、同世代の著者ということで個人的に感じただけかも知れませんが。
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角幡青年がツアンポー峡谷にのめり込むきっかけの一つになった、キングドン・ウォードの「ツアンポー峡谷の謎」を二日前に読了して続けて読んだ。もっとも先に「空白の5マイル」を読み始め、これは先にウォードを読んどくべきと思いしばらく置いといたものである。
そもそも題名が良い。この本を買った時点では、ツアンポー?だったが少し読み始めたら俄然引き込まれた。
20世紀後半生まれの著者は遅れてきた冒険家で、本人も言っているように重箱の隅を突くようなことしか、世界初とか新発見みたいな事はないかもしれない。
作者は2回(偵察を含めると3回)チベットに入っているようだが、最後のチベット行きが作品に深みを与えている。個人の熱量がすごい人なのだが、生死を分ける状況下心の中の葛藤動きが読者をも熱くささる。
読んだのが文庫だったので、写真等が残念である。
また、贔屓にしたい作者が増えた。
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男気溢れる現代の冒険記。
文章もうまい、ページをめくらせる仕掛けもうまい。
この人はいずれ植村直己さんのように死ぬんじゃないかと思わせる迫力がある。
巻末8ページにもわたる参考資料の数々も圧倒される。
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人類未踏の地を制覇した......という著者の達成感は感じられるが
いかんせん場所が地味なので「あっそうすか。頑張ったんですね」
という感想しか浮かばなかった。
読んでいて退屈はしないけど、全体的に盛り上がりに欠ける。
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冒険野郎とはこういう人たちのことなのか。私のように安全・安定が好きな人間にはわからない何かがあった。
著者は新聞記者だったということもあり、ツアンポー峡谷探検の歴史はとても見事に書かれていたが、自分のことを書くのは苦手なように感じた。とても素晴らしい探検だっただけに、そこが残念。
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2014.9.28 〜 10.1読了
これぞ秘境と思われるツァンポー峡谷、しかしなぜ21世紀まで人跡未踏部分が残っていたか疑問だったが中国共産党政府が入域を制限していた、ということで納得。踏破ルポの部分は非常なる難行であったことがよくわかる。著者に強靭な体力と人並以上の登山技術、そして進化した装備が無ければ生還はできなかっただろう。それゆえ何の装備も無い19世紀に初めて奥地に近づいたキントゥプは驚異的だし神秘的、チベットに生きる民だから為し得たのだろうか。
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[人跡未踏、その先へ]「冒険」、「探検」といった言葉が古めかしく聞こえてしまう21世紀において、未だ人類の進入を許さなかったチベットの秘境・ツアンポー峡谷。未踏地として残されたわずか五マイルに触発された著者は、無謀とも言える決死行に挑むのであるが......。桁外れの冒険をやってのけた男の自己表現録です。著者は、若い頃からヤブをナタで切り拓くような探検に憧れていたという角幡唯介。
角幡氏の記録とツアンポー峡谷そのものにまつわる歴史が交互に語られていくのですが、どちらもとにかくスケールがでかく、またどこかおとぎ話のようでぐいぐい引き込まれていきました。インドア気質の自分としては、本書を読んでも「行ってみたい......」という気持ちにはなれませんでしたが、冒険を疑似体験させてくれた、そして、冒険とは何かということを考えさせてくれたという意味で非常に勉強になった一冊でもありました。
どこを切り取っても魅力的な作品ではあるのですが、特に個人的に印象に残ったのは、2009年の渡航箇所。文字通り死と直面しながら一歩一歩生きることを目的として地面を踏みしめていく様子には、読書という体験をとおして深淵なものを見せてくれた気がします。それにしても、あまりに自分の日常と違いすぎて少しくらっときたのがこれまた印象的だったなぁ。
〜冒険は生きることの意味をささやきかける。だがささやくだけだ。〜
「空白の五マイル」という言葉が美しすぎる☆5つ
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探検の描写と同じくらいかそれ以上に、いかに滞在許可の取りにくい土地に潜入するかという話が多く語られています。
探検したりする話が好きな人にはたまらないんだろうなと思います。
自分もワクワクしながら読めました。
ただ、なんとなく読みづらさも感じました。
物語の時間軸が突然変わったりして、一瞬置いていかれそうな感じがしました
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熱弁をふるう、暑苦しい冒険ノンフィクションではないところが、私は好きでした。
事実をきちんと、誇大せずに述べているのに、先へ先へと読みたくなるおもしろさが素晴らしく、ツアンポーにもとても興味を持ちました。
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ずっと気になっていた角幡氏の本作、ようやく読むことができた。
「世界最大のツアンポー峡谷」といっても、本書で初めてその名を知った私。いったいどこにそんな峡谷があるというのだろうと思っていたが、ヒマラヤ山脈付近を大きく迂回しながら流れるツアンポー川流域のことらしい。チベット奥で、中国の未開放地区ということもあって、秘境に興味でもなければ知らなくても無理はないという地域のようだ。
探検・冒険の類の本を読むといつも思うのだが、一体全体、なんだってこの人たちは命を危険にさらしてまで、未開の地、秘境と呼ばれるところへわざわざ出向くのか。本作でも、著者は何度も何度も危険な目に遭い、いよいよ死を覚悟したという極限まで体験している。体力、気力も限界まで使い果たし、食料もわずか、装備もなくし、命からがら脱出した本作の冒険。結局は空白の五マイルを踏破することはできないのだが、著者はこの冒険を、人生で最も重みをもった経験で、同じような感動は二度とないかもしれないとさえ言っている。
常人にはなかなか理解しがたい彼ら冒険野郎。
エピローグに書かれた著者のいくつかの言葉が、私たちに彼らが冒険に取りつかれるそのヒントを教えてくれている。
「あらゆる人間にとっての最大の関心事は、自分は何のために生きているのか、いい人生とは何かという点に収斂される。(中略)死が人間にとって最大のリスクなのは、そうした人生のすべてを奪ってしまうからだ。その死のリスクを覚悟してわざわざ危険な行為をしている冒険者は、命がすり切れそうなその瞬間の中にこそ生きることの象徴的な意味があることを嗅ぎ取っている。」
「冒険は生きることの意味をささやきかける。だがささやくだけだ。答えまでは教えてくれない。」
だから、その答えが知りたくて、何度も何度も危険な場所へ、命を懸けて身を投じるのだろうか。
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ツアンポー峡谷というチベットにある人類未開の地に一人で挑んだ冒険家、角幡唯介さんの冒険記。
実際にツアンポーを探検するところは面白いけど、どちらかというとついていけない部分もあった。っていうのも、読んでいて想像できない。
文章を読んで想像できるのは、あくまでも自分も同じ体験をしているか、それともそれがどんなものかを知っているかに大きく依存するのだと実感。
何よりもこの本で1番面白かったのは、なぜツアンポーに行ったのかが明確に答えられないという事実。
結局、本当にやりたいことに理由なんていらないんだってことを強く実感。
あれこれ理由をつけることなんていらない。なぜ寝たいのか、なぜ食べたいのかという理由と同じ。そこに理由はない。
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いろんな意味でスリル満点。たんに秘境を冒険するだけではない。岩から滑り落ちそうになる。無許可旅行で警察につかまる。先人の探検家の足跡をたどり、未踏箇所をなくしたり、彼らの誤認を正したり。そういう意味で。