奥泉光の作品だから要注意
2019/08/17 22:47
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校時代に同級生だった天才ピアニスト永嶺修人との思い出を語っていく静かな作品として読み進めていた、ところがである。というか、芥川賞受賞作の「石の来歴」でレイテ島で戦友から「石には宇宙が刻印されている」と聞かされてから石に魅せられた男を主人公として静かな立ち上がりからとんでもない方向に話がいってしまった作者のことだから、こういう結末になることは読者としては予想しなくてはいけなかったかもしれない。それにしても「演奏なんかしなくたって音楽はもうすでにある。演奏はむしろ音楽を破壊し、台無しにする」というのはすごい科白だ。いつか機会があれば使ってみたいがそういう局面はこの先私には訪れることはないだろうが。
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2012/10/16 Amazonより届く。
2019/8/30〜9/1
シューマンを題材に、奥泉さんらしい幻想的なミステリ。最後のヒネリのヒネリまでは想像できなかったなあ。
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シューマンをほとんど知らないためか、解説多彩な文章は興味が寧ろあったが、なんせ一文が長いし読みにくい小説だった。ミステリー的ではあるが若干違和感があるし、不思議な感覚。ただ、疲労が激しい。解説まで理解しにくい点が多く、ついていけず・・・。まだまだ修行不足か?
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面白くなかった。最初から、一つの学校に、そんな生徒いないだろうと、思ってたら、案の定のトリックやった。
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半年くらい前に単行本が出たとき、
何だかすごい面白そう!と
根拠のない期待をして文庫になるのを待ちました。
が、
シューマンと彼の曲のしつこすぎる解説が延々と続き、
中盤からは文字を目で追うだけ…。
最後まで読んだ自分、お疲れ。
肝心のラストも、後書きを読んで
あ〜そういう感じにしたかったのね〜となりますが、
閉まりはするもののカチッといわないなぁこの蓋!
って感じでなんとも…。
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最後の終わり方はなかなかおもしろいと思いましたが、導入の部分でなかなか入っていけない感じがしました。
天才ピアニストが2重人格で、本人はそのことに気づかず、ずっと友人として記述していて話は終わるけど、そのあとのおまけのように妹の手紙によってその真実が明かされるというのは、そういうことだったのか!!とびっくりさせられました。
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後半の展開にやられました。最後にもっとやられました。
ただ、音楽論めいた文章が多いので、クラシック音楽の知識がない方は読み進めるのがツラいかと…
個人的にはシューマンの音楽はこれまであまり聴いたことがなかったので、これを機に聴いてみようと思えるようになりました。
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おもしろかったのはおもしろかったんだけど、なんかしっくりこなかった。
結末(事実?)を知った今、状況を踏まえてまた読んでみようと思った。
それにしても、ピアノの描写?はそんなになくてもいい気がするなあ。
クラシックに興味なかったり、楽譜が読めないひとには前半ツライかも。
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わたしは音楽に疎くて、シューマンの作品について細かーいことを書かれても曲が頭に浮かぶわけでもなく、正直、まーったくちんぷんかんぷんだったのだけど、それでも、あまり嫌ではなくて、奥泉さん特有の、詩的で幻想的ですごく豊かなの言葉を追っていくだけでなかなか楽しい、という感じだった。文体が好きなのかも。
主人公が子どものころからピアノをはじめて先生について音大受験の勉強して、っていうクラッシック界の話も興味深かった(もっと知りたかった)し。
音楽に対する、神々しいような、「敬虔」というような、少しでも音楽というものに近づきたいという祈るような気持ちを主人公が抱くところになんだかすごく感動した。こういうのいいなあと、うらやましいような。
それから、さほど才能がない主人公が、ごく普通の社会生活を営んでよき家庭人となることを肯定されるようなところにも心打たれた。(わたしはもともと、いわゆる無頼派が苦手というか、作家とか芸術家が作品をつくりつつ家庭をもって普通に生活しているときくとなんだかうれしくなる性分でー)。
しかし、そうやって楽しく読んでいたんだけれど、終盤でがっかりした。あの謎解きはなんだか全然すっきりしなかったし、後味も悪かった。まあミステリだからそういうものかもしれないけど、なんだか「だまされた」って気分で。楽しかったのにこういう結末?みたいな。(すみません、個人的に、ハッピーエンド好きなものでー)。
……「鳥類学者のファンタジア」のほうが、やっぱり幻想的だったりはしたけれどユーモアもあったし楽しかったし、よかったな。
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音楽と文学、そのどちらの神にも愛され、どちらの愛にも応えようとした作曲家は、まるで二つの神様から同時に両腕を引っ張られたみたいに分裂してしまい、悲劇的結末を迎えた。そうしたシューマンの姿が、作中のピアニストの姿に重なる。
純文学でありミステリーであると評されるこの小説が解き明かそうとしているのは、シューマンの音楽性だとか、事件の真相だとか、そういうことだけではないだろう。
主人公が語る音楽の不可逆性、不再現性みたいなことを「文学」に当てはめてみたときに、また違う読み方ができるんじゃないだろうか。
もしかしたら音楽と文学は、一つのものの別の人格、鏡像、分身、いわゆるドッペルゲンガーみたいなものなのかもしれない。
そういえば、「ドッペルゲンガー」という言葉も、もともとはドイツ語だ。
できれば月の出ている、何の音も聞こえない静かな夜に読んでほしい。
だって音楽はすでにここにあり、いまも聴こえているのだから。
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読み辛い感は否めないけど。
本の半分までコツコツ読めるのであれば、後半部分からは楽しめるのではないかしら?
シューマンを何曲か聴くまでには興味を持ちました。
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クラシック音楽が好きな人でないとシューマンの曲は?と聞かれてすぐには思いつかないだろうと思う。実はショパンと同じ年に生まれた、ピアノ曲を多く残している。
本書を手に取ったのは、そんなシューマンの事が少しは分かるかもしれないと思ったから。かといってシューマンの小説ではなく、現代日本におけるピアニスト(不遇の?)を題材にした小説だ。
シューマンは若い時代に指を痛め、ピアノを弾けない状況になりながら数々のピアノ曲を作曲しており、その中には難曲もある。
本書はそのシューマンに登場者を重ね合わせながらシューマンの音楽に傾倒していく姿を描いている。
結局のところ、小説の中では数々のピアノ曲の細かい解説(というより作者の描くイメージ)があり、シューマンを勉強するという目的は達せられる。
本書の中では(言葉は違うけど)音楽が楽譜になったとたんに演奏をする意味がない、と登場人物に言わせている。作曲家が楽譜にしたとたんにその作品は抽象化され、どんな名手が演奏をしても作曲家の意図を100%表現することは出来ない。
いずれにしても小説を楽しみながらシューマンの事を勉強出来た意味では良い小説だった。
そして最後の意外性も、ある意味想像はつきながらも心地よく裏切られた感がある。(終わり方は重たいけど)
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ミステリーと思って読むとあまり面白くない。だからといって音楽小説だと思っても、特に珍しいと言うことでもない。
話は一方的に進んでいくのだけれど、最後にようやく全体像がつかめる、予想もしなかった結末、と言うところはミステリーというよりサスペンスなのか。
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うーん。 曲の描写はとても良くて、聴いてみたいなぁと思わせられます。 しかし、仮にもミステリを謳うんであれば、あのオチは如何なものかと。。。 主要登場人物が語り手の想像の産物でしたって。。。 衝撃的ではありました(笑) シューマンに興味を持つのは間違いないです。
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ミステリーではない。
人が死に、犯人探しをするからミステリー、というわけではない。
純文学でもない。とんでもない。純文学の作家に失礼だ。
あえていえば、シューマンに異常に肩入れしたシューマン論。ただ、これが音楽専門家からどう評価されるのか判断するだけの知識は私にはない。
文庫本の帯に騙された。