月は無慈悲な夜の女王 みんなのレビュー
- ロバート・A.ハインライン (著), 矢野徹 (訳)
- 税込価格:1,320円(12pt)
- 出版社:早川書房
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ハインラインの最高傑作
2010/08/31 20:17
12人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mayumi - この投稿者のレビュー一覧を見る
流刑地として長年地球の圧政に苦しんでいた月世界植民地は、地球政府に対して独立を宣言した。
主人公はコンピューター技師のマニー。
彼は、偶然暴動に遭遇して、そのまま独立運動の中心となって活動していく。
その彼の相棒は、自意識を持つ巨大コンピューター、マイク。
美しい女性革命家、ワイオ。
マニーと一緒に学んだことがある デ・ラス・パス教授。
3人プラス1は、様々な奇策で独立運動を推し進める。
もう無条件に興奮する。
彼らの活動の根拠は、自分たちの家族を生活を守ることなのだ。それ以上でも以下でもない。その潔さが、眩しいぐらいだ。
しかしながら、「無料の昼飯などというものはない」という言葉が示すように月も、地球も無傷ではすまなかった。
代償を、対価を払って得るもの。
ただ、独立してよかった、という風に着地しないところが、ハインラインらしくて深かった。と、同時にマニーのしたたかな前向きさが、希望という光であるようにも思った。
面白かった。
…新装版になったので買ったんだけど、前の表紙は、やっぱないよなって思うよ。うん。
これぞアメリカンSF、哲学なんて求めるのはムダ、ただひたすらドンパチを楽しむ。これがまたいいんです。無論、偶には、ですけど・・・
2010/12/06 20:35
9人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハインライン、実は読んでません。読んだのは『夏への扉』一冊だけ。積読で『ラモックス』『愛に時間を』『獣の数字』『フライデイ』『ヨブ』まだ、数冊あるはずですがはっきりしているのは以上。っていうことは、代表作といわれる『月は無慈悲な夜の女王』『宇宙の戦士』『異星の客』『自由未来』『悪徳なんかこわくない』を読んでいないわけです。いやはや、それに『夏への扉』だって、殆ど忘れているし・・・
で、です。1976年10月にハヤカワSF文庫より刊行されたものの新装版が出た、というのと、そろそろ読まなきゃ死んじゃうぞ、なんて気がして、ようやく重い腰をあげたわけです。
主人公は、マニー、ことマヌエル・ガルシア・オケリー。コンピュータ技術者ですが、それはマイクとの関係で、ああそうか、というだけで、小説中では合理的無政府主義者といったほうが理解しやすいです。よくわからないのが彼の結婚で、複数の配偶者がいるらしい。女性数が少ないことから、女性は家族の中で共有されているようです。ま、家庭内の様子は殆ど描かれませんから、色々悩むことはないのですが・・・
で、マニーの相棒、というか実質的にこのお話の中心にいるのが、月世界に設置されたときは、弾力性のある論理を持った純粋な思考計算機ホームズ4で、今は目覚めた自意識を持つ巨大コンピュータです。ちなみに、マニーに対してはマイクという男として受け答えをしているのですが、後に女性のワイオと語ることで、単一の性ではない多面性を見せ始めます。
ヒロインというには、ちょっとたくましすぎる気がするのがワイオことワイオミング・ノットです。30歳で体重65キロくらいというのは年齢にしてはかなりなものではないでしょうか。想像するに、アンジェリーナ・ジョリーやビヨンセのようなグラマラスな美女と考えるのがぴったりですが、セクシーな行動はしません。さすが、ハインラインです。彼女は、第五国際主義者で革命家、そして職業的宿主母親でもあります。
月を流刑地とし、そこからの産物は地球に捧げられるものと見る地球人の意識と、その時代は終わったとする月の人間との間の考え方の相違が月世界の独立の機運へとなって行きます。合理的無政府主義者の老人ベルナルド・デ・ラ・パス教授や、詩人で旅行家、幸運の兵士と書いた名刺を持つ地球人スチューことスチュアート・ルネ・ラジョアを巻き込みながら、マニー、ワイオ、そして月世界解放暫定委員会・議長アダム・セレーネの戦いが開始します。
この小説で困るのは個人の年齢設定で、素直に読めばマニー、ワイオ、スチューは30代前半、教授が70代、マムが60台としたいけれど50代前半。本当は40代なんだろうなあ。でも、2070年代の月、という設定からは、そこでの人間の年齢と外見は必ずしも現在のそれと一致するわけではないので、むしろ各人が読み取った年齢を正としておくのが正しいのでしょう。カバー後ろの言葉は
*
2076年7月4日、圧政に苦しむ月
世界植民地は、地球政府に対し独
立を宣言した! 流刑地として、
また資源豊かな植民地として、月
は地球から一方的に搾取されつづ
けてきた。革命の先頭に立ったの
はコンピュータ技術者マニーと、
自意識を持つ巨大コンピュータの
マイク。だが、一隻の宇宙船も、
一発のミサイルも持たぬ月世界人
が、強大な地球に立ち向かうため
には……ヒューゴー賞受賞に輝く
ハインライン渾身の傑作SF巨篇!
*
です。目次を写しておけば、
第一章 本物の思索家
第二章 武装した暴徒たち
第三章 無料の昼食はない!
解説/牧眞司
で、解説のなかで牧は、ハインラインの代表作は日米で共通するものの、その順位となると日本では『夏への扉』が高く評価されていますが、SFの本場アメリカでは『月は無慈悲な夜の女王』が上位に位置することを教えてくれます。哲学的なSFではありませんが、これこそSFの原点、といえる面白さであることは間違いありません。ハリウッド映画を楽しむつもりでお読みください。カバー写真は、TAKASHI HAGIHARA/Getty Images 、カバーデザインはハヤカワ・デザイン。
独立戦争
2013/08/18 11:54
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まゆげ - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカ独立記念日(1776年7月4日)の300年後のその日に、月世界で働く人類とネットワーク型コンピュータが協力して地球の支配からの独立を図る闘いを描く。
月全体を網羅するように存在するコンピュータの存在は地球からの攻撃も受けにくく且つ全知全能のように思われ、頼りがいがある存在として描かれる。
「夏への扉」も良いけど、興奮しながら読み続ける本作はハインラインの最高傑作と言って良いと思う。
起動戦士ガンダムの元ネタと聞いて。
2018/09/06 18:19
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:モモタロウサムライ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ジオン軍側の視点で書かれています。資源調達のために植民地支配される月が、どのように地球に対抗していくかが読みどころ。
月に囚われた人たち
2020/04/17 10:16
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
植民地と化して搾取し続けられてきた月面の、地球への逆襲が痛快です。コンピューターが自らの意志を持って動き始めていくシーンもあり、時代を先取りしています。
月だからおもしろい
2024/11/17 04:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
これが、地球上の単なる独立戦争とかのお話ならば、ここまで読んでいてエキサイティングな展開ではないと思いました。月が地球の、流刑地&資源豊かな植民地として、利用されている未来のお話。自意識を持つ巨大コンピュータのマイクもいい!