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あたりまえのことをあたりまえにやることが大事。でもそれが難しい。
所詮、「競争ごっこ」。覚悟・決心は、生温い中からは生まれてこない。
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産業再生機構のCOOを勤めた筆者の経営者を語った本ですが、極めてストイックかつ、バランス感覚を持った意見に思いました。
経営は理詰めで合理的に進めなくてはいけないものだが、いかんせん人間は情に流されやすい存在なので、経営者たるものは合理と情理の両方を極めなくてはいけないとの意見は、経営現場で苦労された方だからこその意見に思いました。
この本に書かれてある事を踏まえますと、日本大企業にプロの経営者と言えるべきトップはほとんどいないように思います。他の本で筆者が現場の最前線にいる30代に経営者的視点を持つように提言していますが、経営者世代の方がしっかりとした経営者の観点を以てもらえれば、日本の閉塞した状況は打開できるように思いました。
30代でも組織のリーダーたらんと考えている方は読んでみれば参考になることは多いと思います。
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ゲマインシャフトとゲゼルシャフトの意味の違いを理解できればこの本の言いたいことの80%は理解したと言っていいのかな。
企業再生で大事なのは、各人がどのようなインセンティブで行動するのかを理解することが重要である、というのはとても共感できます。
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知識だけはなく現場の人間の起こす行動まで踏み込んで記載されている。
インセンティブと性格の奴隷や戦略は仮説でありPDCAの道具は机上ではなく現場でとても重要になる要素を実体験を元に書かれており単なる経営論で終わっていない。
人に焦点を当てた経営について書かれている。
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元・産業再生機構COOが「経営とは何か」を、経験と実績に基づいた力強い言葉で語る。
経営とは人であり、人の動きが全てである。
環境要因の変化に対応しながら、自己益、組織益、社会益を同期させることができれば、強力な集団となれる。
人は弱く、インセンティブと性格の奴隷でありという性弱説を受け入れ、各自のインセンティブが何かを洞察し、理解することから始まる。それを踏まえて泥臭いコミュニケーションを続けていかなければ人は変わらない。
窮地や修羅場を経験しなければ、経営の要諦は身につかない。
あえて不利な状況に身をおくことが、真のエリート、経営者を育てることになる。
所詮、大企業の修羅場など「ごっこ遊び」に過ぎない。多少の失敗で家族が路頭に迷うことはない。必然的に必死さのレベルが変わってくる。
自分はその経験をMBAに求めたが、現状、単なる知識の習得でとどまってしまっている。
リアルではないことは承知しているが、「お前ならどうするんだ」をもっと突き詰めなくては、学ぶ意味は無い。
誰に何をさせるかまで現実感をもって臨みたいと思う。
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経営において必要なのは、人間は完全に合理的に行動することが不可能な存在であることを認識し各人のインセンティブを理解すること。
組織の本質は人であり、経営とは人と向き合うこと。
産業再生機構での経験をもとに日本的経営の問題を気持ちよく斬っている。
組織が崩壊する過程が生々しい笑。
内向きなインセンティブの増大が組織の崩壊に繋がるというのは納得。
内部でのやりとりがあたかも本質の様に感じてしまう、そして手遅れになるまで気づかない。
結局は組織としての最終的な目的を見失わないことに尽きるのかなと思う。
ここ最近ではかなり勉強になった一冊。
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実践的な経営の役割についてまとめられています。
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個人も組織も「”インセンティブ”と”性格”の奴隷」であることを受け入れ、行動を取ること
「戦略を策定した後に、経営上本当にやるべきことは、戦略を、PDCAをまわす道具として、冷静かつ合理的に利用すること」
「企業の強さを分けるのは、PDCAの回転力の差」
「初期的な戦略施策のよしあしよりなどよりも、この違いの法が、はるかに大きい。」
「挑戦すれば報われるインセンティブが、日本の企業社会にはなかったということなのである。」
「マネジメントは、自分の意思と言葉を持っていなければならない。自分の頭で考えて、自分の意思で勝ち抜こうという人間でなければ、本当に厳しい状況で正しい解を創出できないし、おそらくは厳しい施策となるとその解を断行しようとしても、現場はついてこない。」
ガバナンスの真の使命:
・経営者、経営陣をして企業価値を長期的、持続的に高めるように努力させること
・その過程で生じるさまざまなステークホルダー間の利害対立を、企業価値の本質的な向上という共通のゴールに向けて調和合一する後ろ盾となること
・これらの役割について一義的に責任を負っている経営者、経営陣に、的確性がないと判断したら果敢にその任を解き、適任者を選任すること
「自分が得られる全ての情報を把握し、自分が考えられるすべての状況判断の中で、ベストだという判断を自分がしたとしても、勝負というものは時の運である。経営は結果責任である。うまくいかなかったら責任を取らなければならない。その覚悟を最低限、持てるかどうかが問われる。」
「とにかく賛成する人間が多いことをやる。反対する人間が明確にいる状況では、間違えれば責任を追及されるからである。」
「どれだけ一人ひとりの姿勢にいきる人々の切ない動機付けや、喜怒哀楽というものが理解できるか」
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日本経済や経営戦略、筆者の事業再生の現場体験など話題は多岐に渡り、かつ濃密。筆者の熱い気持ちが伝わってくる良書。
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著者の作品は「結果を出すリーダーはみな非情である」(2012年の作品)を先に読んでいました。本作品はこれより5年前のものとなりますが、基本的な著者の考え方やスタンスが、この間に変わっていないことがわかります。
東大法学部卒、司法試験合格、MBAホルダーと、超エリートの著者ですが、基本的に勉強ができるだけの人間に対しては厳しいスタンスをとっており、もっと泥臭い現場力や人間力が必要であると訴えています。超エリートの著者だからこそ、説得力があり心に響きました。
本作品は経営者目線で書かれてありますが、サラリーマンである私にとってもその考え方は十分参考になりました。しかし、前述の「結果を・・・」の方が経営者色が薄いため、サラリーマンの方で著者のリーダー論に興味がある方は、「結果を・・・」の方がより実践的かもしれません。
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筆者は、ボストンコンサルティングや産業再生機構で豊富な実務経験をお持ちの冨山和彦氏。著者自身、本書の中で「経営と事業のリアルな本質を語れるものは企業価値や資本政策を語るべからず」と述べられており、実際の現場経験をベースに書き綴っている内容にとても説得力を感じます。
組織を動かしていく上で、筆者が重視する視点の一つとして、「人間の弱さ」が挙げられている。人間は物事を認識する際、「見たい現実を見る」生き物とのこと。「性弱説」に立って人間を理解すれば、社会、組織の多くの現象が理解可能になる。そして、そのような現実にこそ、経営や組織がとんでもない過ちや腐敗を起こす根源があると述べています。
「現場にいる人たちのパワー」の重要性にも触れています。「経営とはとにかく人である」と言い切っておられます。細々した職務規定や指示命令なしに、自発的に働く現場人材の存在が求められる。そのため、小賢しい組織論やスキル論なんかよりも、人間集団に対する動機づけが必要とのこと。この部分が、リーダーシップの一つのポイントなのでしょう。筆者も、産業再生機構のご自身の経験を引用し、「合理」だけでなく、「情理」も踏まえたマネジメントの重要性を指摘しています。
官僚機構の問題点を指摘した部分では、「相互安全保障」を目的とした会議や根回しの業務量は人と人との組み合わせの数に応じて増えていくこと、スタッフ部門が超多忙な状況では、管理職や中高年オジサンの頭数は思い切って減らした方が業務遂行能力も意思決定のスピードと的確性も向上するなどと書かれています。思い切った意見ですが、現在社会のパラドックスの一面かもしれません。
私が個人的に注目した部分に、チームのメンバーの役割に関する記述がありました。筆者は産業再生機構で行っていた「再生の仕事」は「戦時」であると述べています。そして、極度の緊張感がある環境下で、他の職員に業務にも理解を求め、自分の専門外とする態度を認めないようにしたといいます。なぜそのように決めたかというと、仕事が佳境に入るほど専門家はプロであろうとし、チーム内に衝突を生むためだそうです。ただ、それぞれの専門家は壁を破るべく、猛烈な勉強をする必要があります。
私たちは組織の中で働きながら、社会を考えています。筆者は、自己益(=一人ひとりの動機づけ)、組織益(=企業組織として動機づけられている方向性)、社会益(=社会全体の有する動機づけ)がシンクロすることが重要であると述べています。「経営者は飲み屋での話題が昔の自慢話になったら引き際かもしれない。ゴールのない経営に自慢や答えがあるはずがないのだから」と書かれています。経営は本質的に絶え間ない努力が不可欠であり、そのためのリーダーシップが求められているのではないかと考えらさせられます。
本書の後半はリーダー論ですが、とても興味深く有意義な学びの時間を得ることができました。また、いつか、自分の立場が変わってから読み直してみたいと思う一冊です。
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現場で闘ってきた人の重みがある。内容をしっかりと腹に落とし込めることができれば…と思うが、まさにインセンティブのしがらみが頭をよぎる。
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産業再生機構でCOOを務めた冨山和彦氏が日本企業の競争力低下の原因となる構造的問題を語っている。書中何度も引用される、ゲマインシャフト=共同対社会、ゲゼルシャフト=利益追求社会というくくりは正直わかりにくい。当然、前者が日本、後者が欧米ということであるが、ドイツ語で聞き慣れない概念なので、簡単なことがむしろわかりにくくなっている嫌いがある。説明がわかりやすいだけに勿体ない。
本書では、日本のこれまでの競争力の厳選は、経営トップやそれを構成する一部の高学歴エリートではなく、現場の人たちの底力にあるとしている。カネボウやダイエーなどの再生の実例を通じて、日本の不振企業の問題の本質をえぐり出しているのは面白い。冨山氏が就任した時点での年齢は44際だったという。そして、カネボウで社長として抜擢した当時課長クラスの知識賢司氏は41歳であった。冨山氏は、もし将来リーダーを目指すのであればその準備をしておくべきだと述べている。人事は、関係者に対する経営戦略の最大のメッセージであるというが、当時のカネボウの関係者たちは驚いただろう。しかし、冨山氏は知識氏にはすでにその重責を担うだけの準備ができていたのがすぐに分かったという。
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著者は、産業再生機構の元COO。この組織の運営を引き受け、倒産した起業の経営及び再生に従事してきた。この経験からの提言だけに非常に迫力があり、最近メディアで人気になっている経済アナリストや、経済学者、元大臣だった作家などとは、まったく重みが違う。 特に、「ゲマインシャフト(地縁や血縁で深く結びついた伝統的社会形態。日本的)」と「ゲゼルシャフト(利害関係に基づいて人為的に作られた社会。アメリカに代表される。)」との対比からの日本の進むべき方向や優位性に対する言及は、マネージメントの端くれである自分にとっても非常に重要な示唆であった。この話から思い出すのは、「民族は、それを偉大にした特性により滅びる」との塩野七生の言葉である。確かに今の日本企業、特に大企業は、「和(悪く言えば、シガラミ)」によってがんじがらめ。残念ながら、我が社もその例に漏れず、日々社内調整に莫大な時間が浪費される。このような悩みをお持ちのビジネスマン諸氏よ、この本を読み、あなたの組織を変えよう。
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2018年(平成30年)11月、カルロス・ゴーン逮捕により、永らく読みかけのまま本棚に積んであった本書の存在を思い返し、最初から読み直した。
企業再生を生業とした著者の実体験を元に、経営を行う人々の劣化について警鐘を鳴らした書である。
読み進める中、著者は現在のゴーンの姿を想像していたのだろうか、何を感じ、未来に向けて更にどんな警鐘を鳴らす必要があるのだろうか、あるいは現在の社会を俯瞰して、本書から何を削り、何を書き加える必要があるのだろうか、ふと疑問に感じた。
警鐘を鳴らしていたのに、カルロス・ゴーンは、結局、瀕死の企業をV字回復させた経営者であるのと同時に、インセンティブの奴隷でもあった。
残念なことに、製造業の製品品質に関わる社会的な問題が顕在化している。
しかし、品質は、製品を評価するモノサシのみにあらず、経営を評価するツールとしても利用されなければならない。
「経営品質」という言葉があったな…
と、「品質月間」である11月に、読了し感じた事である。
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・性悪説でも性善説でもなく性弱説で見ると見えてくる
・相互安全保障を目的とした会議や根回しの業務量は人と人の組み合わせの数に応じて増えていく
・組織のハコをいじっても、成果主義を導入しても、それらが現実に仕事をする人間の根源的な動機付けに響き、シンクロしていないならば絶対に機能しない。
・戦略が仮説にすぎないことを本質的に理解し、やってみて、検証することに精力を注いでいる会社こそ、経営戦略が実践されていると言える。
・79 四つたして4で割る
・管理職の地位で付加価値を生むには相当の能力が必要
・ストレス社会というが硫黄島決戦に投入された兵隊たちを超えるストレスが現代に存在するだろうか。
・クビになることを厭わないような人間を育てる。周りに上司が誰もおらず、自分が決めなければいけない状況に追い込む。
・人間のインセンティブの中には非経済的なものがたくさんある。過去からの思いやメンツ、自分の得意なことをしたい、新しいことはやりたくない、といった気持ちが次々に折り重なって人は仕事に向かう
・観の目つよく、見の目よわく 宮本武蔵