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投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
湯川という姓は、最近では東野圭吾の小説(ガリレオシリーズ)でちょっと変人の天才物理学者の名前として使われていますね。
原子核の研究をして、原子力の生みの親のような湯川博士ですが、核兵器は人類と共存できないとして、原水爆禁止運動に力を入れました。
広島の平和公園に、平和の像「若葉」・湯川秀樹歌碑があり、
まがつびよ ふたたびここに くるなかれ
平和をいのる 人のみぞここは
という歌がきざまれています。
“まがつび”とは“禍つ火”と書き、災いの火の意味ですから、原爆のことを指しているのです。
湯川博士はかつて、核エネルギーの平和利用を否定するものではないと断った上で、こんなことを言っています。
「来たるべき世界においては、核エネルギーが牙を抜かれて人類の福祉に全面的に奉仕するようになることを期待しているのである。」
いまの社会は、牙を抜いたつもりだったのに、実はその牙は抜けていなかったのだという事実に直面しています。原発で燃えている原子の火は、ほんとうに“禍つ火” ではないのか、 わたしたちはよく見ていかないといけませんね。
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文学賞を受賞した方だっけ?って思うぐらい、作家顔負けの教養溢れるとても美しい文章でした。そのまま文学の道に進んだとしても成功したんでしょうね。人柄が文章に出ているのか読んでてとても静かな空間にいるような不思議な感覚に包まれる。現時点で物静かなのか謙虚なのかわからないが、また日を置いて再読し直して理解を深めたい
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初めは、文学の道に進もうとしていたと知って驚きでした。静かに淡々と語っている尚且つ、文章が綺麗だと思った。
小学校に上がる前に漢文を読まされるような家。昔の小学校は4年で英語があったなど、現在の教育との差もわかる。
そして、湯川博士の周囲に如何に有名な方(物理、科学、医学などの博士級の方々、文学での有名な作家)が多いのか良くわかった.
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著者前半生の自伝。
漢籍の素養が人一倍であったことは聞いていたが、その文才に瞠目。恐らくは、文科系の道を歩まれてたとしても、世界をリードする研究、プロそのものの文芸の成果を残しておられただろうと、すんなり理解できる。
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著者の若い頃を追憶して書き留めたものです。
少なからず世に名前が流布している方が
どんな人生を歩んできたのか
興味が尽きませんね。
自らの時代と重ね合わせてしまったりします。
読みながら
あの頃の自分や家族、友人たちのことを
思い出したり、
懐かしんだりしてしまいますね。
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湯川秀樹が、若かりしころの自分とその周辺について記述したエッセイ。
読んでみると、彼はやはりすごい、という気持ちと、彼にもいろいろ悩みや欠点はあったのだ、とほっとする気持ちの両方が生まれた。
彼は自分の向き・不向きや性格をよく把握しており、将来の進路に悩む自分にとってはうらやましい限りである。見習わなくては。
読み物としてもおもしろく、また研究に向かう姿勢も学ぶことができる。
大学生、大学院生におすすめ。
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祖父はちょんまげに袴で毎日登城していた紀州藩士、とか普通に書いててびっくりした。
そんなに昔の人だったのか!
またその元紀州藩士の息子(養子)の湯川秀樹の父もすごい。
秀樹4~5歳の頃、「秀樹にもそろそろお願いします」と、頼んで四書五経の講義を始める。講師は祖父(元紀州藩士)。
今から見れば何もかも桁外れの上流階級。ほんまにエピソードがガチ士族。貴族社会だ…
日本にもこんな時代があったのかー
でも読みどころはそれよりも、理論物理学者・湯川秀樹のセンチメンタルな筆致。
思い出のどこを進んでも、足首のあたりまでひたひたと寂しさが来ている感じ。
見渡す限り遠浅の湖みたいな感じ。出口がないからきっと性分。
ぼんぼんで、天才で、繊細微妙な人が書いたもので、非常に興味深いです。
私をほうっておいてほしい、ってこんなさらりと書ける人って、やっぱり選ばれし人やなぁと思う。
自分が選ばれた人間であることを奢っても誇ってもいないし、疑いも遜りもしないし、屈託がない。
自分が一生立たない境地なので面白い。
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湯川秀樹博士の自伝です。
中間子論の発見の物語を期待して読むと肩透かしを食らいます。最後の10ページくらいにならないと出てこない。
どちらかというと教科書に出てくる偉人が、幼少期からノーベル賞級の発見に至るまで、どんな人生を送っていたのか、どんな性格で、どんな人との関わりがあって、時代の空気はどんなものだったのか、その薫りを楽しむ本です。
「学問を尊重する気持が国民の間にあるのなら、学者はなるべく研究室に置いて、ことさら繁雑な世界に引き出さないようにしてほしいと思う」という、現在と同じような感覚を持っていたのだと思う。
”「ずいぶんまわり道をしたものだ」というのは、目的地を見つけた後の話である。後になって、真っすぐな道を見つけることはそんなに困難ではない。まわり道をしながら、そしてまた道を切り開きながら、とにかく目的地までたどり着くことが困難なのである。 ”
もうちょっと頑張ろう!と思えました。
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この本の著者は、皆さんもよく知っているであろう、湯川秀樹氏です。この本には、彼が自分の進むべき道を探して迷い続けた日々が克明に記されています。程度は違えど、僕も、そして皆さんも湯川氏と同じ「旅人」なのだな、と思い、氏に少し親近感を抱きました。
【九州大学】ペンネーム:工学部の文人
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日本人で初めてノーベル賞を受賞された湯川秀樹氏の青年期までの自伝。
学生時代の話が中心となっており、著者がどんなことを考え、どんなことをしていたかについて、家族や恩師、友人の話も交えながら述べられています。
高校の頃に読みたかったなぁと思いつつ、大学生の今読んでもとても刺激になりました。
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徴兵官は書類に目を通すとすぐに、
「丙種合格」
と言った。それからいくらか、表情をやわらげて、
「君たちは若い大学生だ。兵隊としては役に立たんが、学問の道にはげんで、その方面で、日本の存在を世界に知らせるようにしてほしい」
と言う。
未知の世界を探求する人々は、地図を持たない旅行者である。地図は探求の結果として、できるのである。目的地がどこにあるか、まだわからない。もちろん、目的地に到達できるのか、あるいは途中で、別方向へ枝道をつけねばならないのか。
自分が高校から現在にかけて興味を持って読んでいるような小説や哲学書、歴史、等を小学校から読み始めておられた。やはりレベルが違う。
それとは逆に外との接触を拒む性格があり、それを本人は悪い事だと言いながらも、やはり求めてしまっているようであった。
とはいうものの、ところどころに彼に影響を与えている他人はいて、その人達なしには成果はあげることができなかっただろう。それがたとえ海の向こうの、あるいは違う時代に生きる、本や論文、教科書であるとしても、それを読む事は立派な他者との対話であろう。
最近自分は思うが、勉強を行うのは一人で内に入り込んだ方がより浸かれるのだが、そうして得たものを他人と話すことで一人では得られない勉強ができるのだと思う。
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日本人初のノーベル賞を取った湯川秀樹博士の随筆集。
名作の誉れの高い作品で、私は40年ほど前に中学生の頃学校で紹介されて知ってはいたものの、読む機会はありませんでした。
昨年、角川ソフィア文庫から改訂版が発行され書店に平積みになっているのを偶然見つけて買って読んで見ました。
とても読みやすく親しみやすい文章の中に、美しく整った格調の高さを感じる表現があります。
また古き良き日本の時代の様子が、湯川博士の生活や日々の思いや、また博士に関わりのあった家族、友人、恩師との思い出を通して、たいへんよく伝わってきます。
読み進めながら、自分自身の幼少の頃や少年時代の思い出がどんどん引き出されてきます。
若いころに読んでもきっと味わえなかったこの作品の良さを、今しみじみと味わっています。
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湯川秀樹博士の20代後半までの回顧録。前半はいかにも少年らしい生活が感じられる。後半はシュレーディンガーやボーアや相対性理論といった話が出てきて、場の話等が分からないと難しいかもしれない。
「遠回りしたものだというのはゴールにたどり着いてからわかる。道なき道を進むには遠回りかどうかも分からない」
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表紙のイラストの階段が、横から見ると数字になっているのが面白くて買ってみました。
湯川博士の回想録で、難しいかなと思いつつ読み始めましたが、意外とすんなり読めました☆
挫折しそうな気持ちが、もう少し粘ってみようという気持ちに変わりました。この道しかないという決心も大事ですね~☆
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若い頃に 一度 読んだのですが、改めて 読み返しました。
湯川秀樹の 自叙伝です。 関西人に 馴染みの 地名などが 記されているので 読み易いところが、いい感じです。
日本人初 ノーベル物理学賞受賞者を 少し 身近に感じる 一冊です。