面白いけど肉付けしすぎ
2002/03/05 02:33
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投稿者:奥原 朝之 - この投稿者のレビュー一覧を見る
船戸与一の南米三部作の第一作目。船戸与一が好きな方にはお勧めできるが、万人受けではないような気がする。
船戸与一の初期の作品には主要人物の背景または行動原理が最後の十数ページで明かされるというのが多い。本書もそうである。そういう書き方に異を唱えるつもりはないが、私は『砂のクロニクル』や『蝦夷地別件』から船戸与一に入っていったので、多少そこに違和感を感じる。
話の展開は確かに面白い。そこは著者の筆力だろうが、主要人物の背景の書き方にもまだ他の展開の仕方があったのではないかと思う。そこが万人受けしないだろうと思った理由である。
おそらくブラジルでの社会背景を盛り込みたいという著者の思いがそうさせたのだろうが、本書では余分に感じた。
南米の日本人策士の目論見はいかに
2001/03/23 13:01
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投稿者:がんりょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
船戸与一といえば,きな臭い外国での怪しげな日本人の物語.本作も期待を裏切らない.
南米のとある町,2つのファミリが常に小競り合いを続けている.語り手の日本人はそんな町で両家の緩衝地帯となっている酒場のマスタ.このマスタも怪しいが,主人公の「山猫」は日本人の癖に裏の世界で名が通っているという男.この男が町にやってきたことで,町がとんでもないことに…。
策士「山猫」が町を混乱させていく過程が面白く,ぐんぐん読み進められる.最終的に誰が笑うのか,結末はここではかけないが,ちょっと物足りなかったかな.
「正史」から抹殺された「叛史」を描く傑作!
2002/03/20 00:26
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投稿者:杉江松恋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ブラジル東北部のエクルウは、アンドラーデ家とビーステルフェルト家によって封建的に統治される町だ。その町に現れた“山猫”こと弓削一徳。熱帯の暑さにも関わらず、黒のタキシードを一分の隙もなく着こなす謎の男だ。町に流れる不協和音を高め、血の雨を降らせんとする山猫の狙いは何か? そして、その正体は? ある事件をきっかけに、町は崩壊への途を辿り始める。
「正史」から抹殺された「叛史」を描くというテーマは、「山猫の夏」に始まる南米3部作によって明確になった。また、本書はダシール・ハメット「赤い収穫」(ハヤカワ文庫)の物語構造を借景として用いる小説でもある。ハメットは小説から感傷の入りこむ余地を一切排除したが、それは船戸が小説世界を構築するときに目指したことでもあった。彼のハメットへの傾倒は、「闇の中から来た女」(集英社)を自身で翻訳したことからもうかがい知れる。
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1982年ブラジルの片田舎を舞台に通称山猫といわれている、弓削一徳とともに、ロミオとジュリエットのような、反目する2家の恋人同士を救うため敵と戦う日本人男性の話。
ブラジルの歴史を研究し、しっかりした裏付けがあり、ほとんどドキュメンタリーのように感じられる壮大な物語で読み応えがあり、引き込まれました。
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俺の船戸遍歴スタート地点。
「辞書並みに分厚い」と揶揄されるページ数は読者からすれば大歓迎。
何回も読み返した。
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日本随一の冒険小説家、船戸与一の名を知らしめた代表作の一つ。初期の作品の中ではベストであろう。
彼の作品の中には敵に魅力のあるキャラが数多く出てくること。一方、主人公はぱっとしないことが多いのだが、この作品の主人公、山猫の存在感は圧倒的。
強くクールな男が知りたきゃこの本を紐解け!
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辺境冒険エンターテイメント。
ブラジルの照りつける乾いた太陽の下、百年の抗争を続けてきた町は「山猫」の出現をきっかけに不気味にうねり始める…
読んでて夢中になるあまり、電車を降り過ごしました。
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ブラジル東北部の町エクルウは、アンドラーデ家とビーステルフェルト家に支配されている。両家はことごとに対立反目し、殺し合いが絶えない。そんな怨念の町に「山猫」こと弓削一徳がふらりと現れた。山猫の動く所、たちまち血しぶきがあがる。謎の山猫の恐るべき正体はいつ明かされる。南米三部作第一弾。
「男なら読め!」私はこの本で船戸氏のファンになりました。
クライマックスにある山猫の宿敵との追跡劇には手に汗を握りました。女性向けではない小説だと思います・・・
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正直、女として読むのが辛い場面もあった。
最後も救いはない。
それでこそ『生』かなと。
山猫の生き様に惚れました。
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【ネタばれあり】
いや~おもしろかったですね。船戸与一初読でしたが、先入観としては重たい話を書く人かなと勝手に思ってたのですが、なんのなんの、リズミカルな冒険小説であり、主人公「オレ」の成長記でありと、700ページの分量をサラっと読ませてくれて、とても楽しませてもらいました。
特に良かったのが、ダーティヒーロー?である山猫の存在。「オレ」が山猫に惹かれ、成長していく様がとても爽快であり、みずみずしさを与えてくれました。
残念ながら、無敵のヒーロー山猫が死んでしまうところはびっくりしましたが、あれは、彼の育ての親である駒場忠介がそうであったように、良い死に場所、相手を得たからだと思いました。
読書中に船戸作品を10作品ほど入手しました。
これから、船戸ワールドに浸りたいと思います。
船戸与一:初読
読書期間:2009.3.11~.3.31
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船戸与一にしては読みやすいエンタメよりの一冊。ロミオとジュリエットみたいなさ。舞台はブラジルで、お酒が美味しそうで、やたら強い日系人が登場して、たくさん人が死ぬ。そんな大好きな冒険小説。
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ブラジルを舞台にした活劇小説
先住民が白人に裏切られ惨殺された地エクルウ…
現在のその街では、二つの豪族が対立し殺し合いを続けていた。
街の住民もほとんどがどちらかの陣営に組していて、双方の私兵が小競り合いを続ける中、
ある日、突然、両家の娘と息子が手を取り合って駆け落ちした。
片方の親から娘の捜索を依頼されたのは山猫(オセロット)とよばれる日本人だった…
と、ロミオ&ジュリエットと用心棒を会わせたような展開です。
おもろいっす。
ブラジルにくわしくなるっす。
ピンガ飲みたくなるっす。
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南米ブラジルの呪われた町エクルウに現れた「山猫」と名乗る男と、エクルウの酒場で働く日本人「おれ」の真夏の冒険を描いた傑作です。
山猫がとにかく渋くてかっこいいです。
舟戸作品の主人公の中でもピカイチではないでしょうか。
物語自体は正直特筆すべき点はありませんが、ハードボイルド小説にある渋い主人公にわくわくする、あの感覚を味わうにはとても良い作品だと思います。
お勧め。
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はじめて船戸与一作品を読んだ。
山猫がしぶくて格好良かったし、ブラジルの田舎町の
雰囲気もとても良かった。
でもちょっと長いというか、いまいちどこがクライマックスなんだろうかって
言うのがよくわからず、それは最後の闘いのところなんだろうけど。
この山猫の続編も読みたいと思ったが、それは残念。
それから、映画化希望。山猫は三船敏郎で。
今なら、う~ん、やっぱ映画化いらんわ。
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暴力がまかり通る状況の世界で、
活躍、暗躍する「日本人」
2・26事件にかかわった、父親。
ブラジルへの移民;そして日系人のトラブル。
インディオの抗争ー独立
ブラジル型、「ロミオ」と「ジュリエット」
ロミオは、危機になれば、簡単にジュリエットを裏切る。