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押し付けて上書きする理想
2015/09/18 11:23
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
何者かが生み出したゲーム「Over Image」では、【イマジネーター】と呼ばれる能力者たちが自身の願いを賭けて《反転世界》で闘争を繰り広げられる。【退場】すれば、その人の大切なものを《色彩世界》と呼ばれる現実で失うというペナルティが課せられる。
かつて、真白彩は魅影ミ黒を助けたことで【退場】し、幼馴染と妹に不幸が訪れる結果となってしまった。しかし再びゲームに復帰した真白は、ミラピリカ・スタッカートや紀無玉求も仲間とし、【無理想像】という、全体で九名しかいない特殊な能力を取り戻しながら、ゲームの【調整者】として君臨することを拒んだため、逆に【調整者】から狙われることと成ってしまった。
そうして送り込まれたのは《人間失核》夢壊遊廻、前回、真白を【退場】させた【調整者】だった。
願いを叶えることよりも【イマジネーター】を殺すことに喜びを見出している夢壊遊廻は、すぐには真白彩を狙わず、最も効果的に彼を殺そうと策を巡らして来る。それに付き合って消耗するのも嫌だとばかりに、玉求は、ピリカや魅影と共に、真白彩との三連続デートを提案するのだった。
七割くらいはラブコメに傾いているファンタジーで、なかなかファンタジーとしての物語は進んでいかないのが残念なところ。今回も「俺は理想を貫くためには犠牲を厭わない(キリッ)」という感じに主人公が言っているだけで終わっている気がする。
いやもちろん、色々と悩んだりするふりはするんだけれど、結局は圧倒的強者の余裕にしか見えないというか…そんな甘さが感じられる。かつて受けた痛みは身内とはいえ他人のものだから、自身の痛みとして受け止め、考えることも出来なかったのかな?それは結構、罪深い気もするので、夢壊遊廻が真白彩に投げかけた言葉の数々は、結構、正鵠を射ている気がするのだ。
やっぱり、辛い過去もしっかり描いた上での現在じゃないと、未来に進むために過去を切り捨てることになってしまうのではないだろうか。
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