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時代背景の政治、社会、文化等と合わせた内容で歌の数々が紹介され、万葉びととの対話に読者を導いています
2019/09/25 17:51
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投稿者:多摩のおじさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
平成に続く元号が「令和」となり、その出典となる万葉集に関する書籍が今も店頭を飾っていますが、元々古代史に興味があった私にとり、著者の
「万葉集から古代を読みとく」に続いて、万葉集に関して2冊目となる本書も「はじめに」にある「『万葉集』の入門書といえば、有名歌人の歌を年代
順に解説して、・・・俯瞰するものが多かったが・・・現代人には現代人の『万葉集』の読み方があってもよいのではと・・・13の問題を設定し、万葉歌
を読むことを「万葉びととの対話」と位置付け」との記述に惹かれ早速手にとってみました。
本書は、現在と都市~都市と神々~神々と女性~女性と労働~労働と家族~家族と愛情~愛情と怨恨~怨恨と揶揄~揶揄と笑い~笑い
と宴席~宴席と庭園~庭園と愉楽~愉楽と現在の2つのテーマを挙げ、後のテーマが次章の頭のテーマに繋がる13の章から構成され、各章の
冒頭には、前章の簡単な概要と本章での展開を道案内する丁寧な形式で進められ、またテーマに沿った万葉歌の書き下し文とテーマを意識した
著者の訳文内容で、より万葉びととの対話を促しています。
古代史に興味のある私にとって、カムナビ(神奈備)、出雲国造神賀詞、多治比真人広成の遣唐使の紹介、また第3章からは大伴家持と妻・坂上
大嬢とその母・坂上郎女を中心に、各テーマ毎に時代背景の政治、社会、文化等と合わせた内容で歌の数々が紹介され、万葉びととの対話に
読者を導いています。
特に、第9章の「揶揄と笑い」での大伴家持と交友のあった市原王の母・紀女郎との丁丁発止の歌のやり取り、第10章の「笑い宴席」での無礼講
であった宴席で使われたと思われる「三盃一去」(酒三杯を一気に飲む)や「自唱自飲」(歌を歌いながら飲む)等の無理難題が書かれた万葉版・
大様ゲームの14面体のサイコロ「酒令具」の紹介と宴席の歌の数々、さらに第11章の「宴席と庭園」での天平勝宝3(751)年10月の大伴家持と
親交のあった中臣清麻呂邸での宴席の歌のやり取りには、タイムスリップし、その場に居るかのような臨場感溢れるものです。
また、第12章の「庭園と愉楽」での越中に単身赴任して3年目の天平感宝元(749)年の大伴家持の庭に植えて咲いている「なでしこ」と「ゆり」を
通して妻・坂上大嬢を思う歌は1300年近い現代にも響く名歌が紹介されています。
巻末には592年の推古天皇の豊浦宮遷都~829年の飛鳥の神奈備の飛鳥社の鳥形山への遷宮までの年表に本書の該当する章が記載され、
その時代背景を探ることが出来るのも助かります。
ただ、大伴家持が「万葉集」全体の1割を超える長歌・短歌などを収め、その編纂に関わったことや、妻の坂上大嬢の母・坂上郎女が異母兄の
大伴宿奈麻呂の妻で、坂上大嬢を設けた記載が何故か無かったのが、残念でした・・・
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