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卒業 みんなのレビュー

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みんなのレビュー250件

みんなの評価4.2

評価内訳

250 件中 1 件~ 15 件を表示

精神衛生上、重要なこと

2008/01/04 14:47

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ぶにゃ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 重松の本は人のいるところで読んではいけない。これは僕と娘の共通した約束事である。約束事というより、絶対守らなければならない鉄則である。
 初めて読んだ本は『ナイフ』だった。このときは我が家で一人きりだったので、誰にも泣いてる自分を見られることなくすんだ。しかし、その次がまずかった。『日曜日の夕刊』である。これを、通院先の病院の待合室で開いてしまった。しおりは真ん中よりあとの「すし、食いねェ」という題名のところに挟まっていた。なにげなく読み始め、そして読み進め、イカン、マズイと思った途端、涙と鼻水があふれ出して顔をぐしゃぐしゃにしてしまった。僕の両隣にも、前にも、後ろにも大勢の人がいた。その真ん中で、僕は作品から受けた感動に身もだえするのと同時に、恥ずかしさにも身もだえしていたのである。どうしてこの本を持って行ってしまったのか、今でもわからない。
 そういうわけで、重松だけは人前で読んではならないと、堅く心に決めたのである。娘は小学六年の時『ナイフ』に出会って以来僕の読んだ重松作品はすべて読み尽くしているが、僕と同様、人前では読まないことと決めている。似たような経験があったに違いない。
 さて、『卒業』である。この本は、僕より先に娘が読んだ。感想を聞くと、ウンウンとうなずくだけである。よっぽど感動したようだ。
 巻頭の「まゆみのマーチ」が良い。というより、身につまされる。たぶん、重松に感動するということは、すなわち身につまされるということなのだろうと思う。彼の平明な語り口は、決して平明ではない人間の心の底の底のさらにもうひとつの底をえぐって、読む人の前にさらけ出す。さらけ出された心の奥底は、誰もが持っているかなしさであり、つらさであり、みにくさであり、やさしさであるが故に、読む人は、作品の登場人物や背景の中に何ら変わりのない自分を発見して、身につまされるのではないだろうか。
 巻尾の「追伸」。家族のいる茶の間で読んでしまった。娘は、どうして?とけげんな表情。ヤバイよ、という暗黙のメッセージ。それを無視した僕が間違っていた。大丈夫だろうという楽観をもったのが間違いだった。残りの頁があとわずかというところでその間違いに気づいた。しかし、必死にこらえた。家族の中であっても恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。あふれ出ようとする涙や鼻水を満身の力を込めて押さえ封じ、そして、涙をひとすじふたすじ流すにとどめて、読み終えた。
 結果、欲求不満が残ってしまった。一人だったら、けっして嗚咽をこらえることはなかっただろう。作品の感動が、消化不良のようなストレスに取って代わってしまったのである。何ということであろうか。もったいない。やはり、泣きたいときには素直に泣くという行為が精神衛生上大変重要なのである。
 重松の本は、決して人のいるところで読んではいけない。

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魂がこもった名作です。

2010/08/19 20:19

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る

卒業 重松清 新潮文庫

 「卒業」とは、学校を卒業することではありません。この本で語られているのは、ふたつの卒業です。ひとつは、人生を卒業するということ、つまり亡くなることです。もうひとつは、憎しみとか不安とか迷いからの卒業です。舞台設定は、こどもの頃に親を亡くしたこどもの思春期です。親を亡くしただけではなく、継父とか継母を迎えたこどもたちの揺れ動く、震える心を扱ったものです。片親のこどもの気持ちは、片親のこどもになった経験がある人にしかわかりません。おそらくだれにとっても自分にとっての父親または母親はひとりです。気持ちはいちずに「ひとり」です。本は短編集となっています。
「まゆみのマーチ」主人公は亮介さん、亮介さんには妹まゆみさんがいます。ふたりの兄妹(きょうだい)のおかあさんが今、危篤です。小学校に入学した頃のまゆみさんは、学校に行けなくなります。そんな彼女のためにお母さんは、マーチをつくったのです。母親から娘に対する愛情は強い。人は、規則とか、法律で生きているのではなく、感情で生きていることがわかります。
「あおげば尊し(とうとし)」峰岸和治さんという元教師が亡くなりつつあります。厳しい先生でした。教え子はだれも見舞いにきてくれません。息子の光一さんも小学校の教師です。彼の教え子である小学校5年生の田上康弘くんは、峰岸和治さんが死体になる経過を見たいのです。プロの作家が書いた作品です。よくある人生の終わりです。是も否もなく、あるのは空虚です。
「卒業」14歳中学生野口亜弥さんの父親は、亜弥さんがお母さんのおなかの中にいるときにビルの7階から飛び降り自殺をして死にました。その後、おかあさんは再婚しています。亜矢さんは、中学校でいじめられています。読み続けました。継父の野口さんは偉い。「克服」という言葉が頭の中に浮かびあがりました。
「追伸」継母と息子の葛藤(かっとう)です。ふたりの間に介在するのは、実母が幼き息子あてに残した病死直前の「日記」です。日記は、鹿児島県知覧(ちらん)で読んだ、特攻隊隊員の遺書のようです。胸が苦しくなります。まず、人は、亡くなった人に支えられていることが確認できます。そして、こどもの気持ちを考えてくれるおとななんていない。おとなは勝手です。だけど、そう考えている少年も、やがてそんなおとなになるのです。力作です。

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それでも生きていかなくてはならない

2007/08/29 22:15

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ポカ - この投稿者のレビュー一覧を見る

最愛の人を失っても、
残されたものは生きなければならない。

新しい時間を
新しい人との関係を
死んだ人たちには訪れなかった新たな時間を
生きていかなければならない。

家族の死を卒業するというのは、
死んでいった人たちを忘れることではない。
消化する、という感じに近い。

日々の生活では、だんだんにその寂しさや辛さを忘れていくだろう。

忘れるというのともちょっと違うのだけれども
意識せずに暮らしていけるようになる、といった感じか。

ただ、そこに来るまでには時間がかかる。
それぞれの事情があり、思いがあり、
その卒業の時期は、人それぞれの長さがある。
短いから良いわけでも
長いから良いというわけでもない。
その時間は、人と比較すべきものではないからだ。

自分に近い人の死を自分の中で消化すること
悲しみを乗り越えること

それが、まさしく卒業である。

卒業というのは、寂しいものではあるけれど、
終わりではない。
新たな出発である。

人を亡くすということは、
自分が生まれ変わるほどに
自分の内面が変化するときなのかもしれないと思う。
ただ、それは、辛いことである
しかし、そこから目をそらさずに向き合うことが
新たなスタートへの道なのだと思う。

この本の中の4つのお話は
それぞれの卒業が描かれている。

悲しみは、静かに溶けていく。
消えてしまうのではない。
体の中に染み入って、自分の一部になるのだ。

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だれの人生にも必ず来るもっとも重要な卒業式の話

2020/06/17 22:12

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る

この本でいう「卒業」は、親の死をさす。物語は、4つの短編からなっていて、すべて、親の死を乗り越える話だ。
親孝行をしていない後悔とともに、父は亡くなり母親も逝こうとしている話。父親の生き方を理解できずにいた息子が、死にゆく父から最後に学んだこと。母を亡くしたことからずーっと卒業できなかった息子の話。いきなり、父の死という課題を突きつけられた女子高校生の話。
平凡に生きた平凡な親たちの、でも逝き際に気がついてみれば、子にとっては非凡な親の凄さみたいなものが各々の短い物語にあふれていた。

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一番好きな作品

2015/10/29 20:56

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る

重松清先生の作品のなかで一番好きな作品です。
わたしがとくにすきなのは最後の追伸です。
血のつながらない母親と息子の関係に何回も泣きました。

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親と子と、命の重さ。

2007/01/17 13:01

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る

親が子を殺し、子が親を殺し。そんなニュースには何だろう、DNAを掻き毟られるような嫌悪感を覚える。命の尊厳。それを教えあうのが、親であり子であろうに。こんな時代を憂えてであろうか、心の揺らぎを書かせたら、当代一の作者が編んだ、珠玉の4編。
「まゆみのマーチ。」
母親が死ぬ。妹にはいつも甘かった、母が死ぬ。歌が好きで好きで、授業中にまで歌い出してしまう妹だった。授業の妨げになると虐げられ、登校拒否になってしまう。それでも妹をしからず甘えさせた母。「僕」は、それが全く理解出来なかったのだけれど。その妹が言う「自分は世界一幸せな子供だった」の意味、とは。
「仰げば尊し」
謹厳実直を絵に描いたような教師だった父。その父がガンに侵され、人生の終焉を迎えている。しかしあまりに厳しかった父に、お見舞いに来てくれる者は誰一人いない。その父親が、最後の瞬間にとった行動とは。そして見送られる瞬間に、意外な事が起こる。
「卒業」
ある日突然、本当の父親は自分が赤ん坊の頃に自殺してしまった、と聞かされた中学2年の亜弥。学校ではいじめに合い、自らの命も絶ってしまおうかと思い悩む毎日。父親の親友だった、という男を尋ねて父親の姿を求めるが・・・。色々な思いが揺れて触れ合って辿り着いた、それぞれの卒業。
「追伸」
愛してくれた母親。そして愛する事が出来ない継母。若くして癌で急逝した母親は、小さな息子にたくさんの愛情の言葉を綴った、闘病日記を残した。だが、後添いでやって来た継母と父は、その日記を取り上げてしまう。そんな継母を「母ちゃん」とは呼べない少年。そして少年は、一度も継母を「母ちゃん」とは呼べずに大人になってしまう。だが、ずっと会っていなかった継母に会って知る、その深い想い。母親とは。血の繋がりとは。まさに珠玉と言っていい一編。涙が止まらなかった。
私的に重松作品の最高傑作は「流星ワゴン」だと思っていたが、
「追伸」は短編でありながら、「流星ワゴン」以上に深く僕の胸に突き刺さった。時代が求めた物語、と言って過言では無いと思う。本来あるべき、親子、師弟の姿を思い出させてくれる。誰にも読んでもらいたい、胸熱くなる一冊。

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2006/12/07 22:45

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2006/12/12 12:45

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2006/12/22 18:48

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2007/02/10 23:09

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2006/12/25 01:24

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2007/01/09 23:52

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2007/02/01 16:40

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2007/01/07 01:14

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