渾身のルポルタージュ
2008/10/28 19:57
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あまこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
労働の現場を丹念に取材した記者ならではのルポルタージュだ。
取り扱われているのは、派遣労働者、日雇労働者、アルバイトなどの非正規雇用者が中心だ。
1日18時間労働を、1ヶ月間休みなく強制される実態や、16歳のフリーターの少女が一生懸命に誠実に生きている現実、路上生活者からの生活保護申請を門前払いしようとする区職員の現状などが伝えられている。
新聞やテレビなどで報道される以上の現実があることがよく伝わってくる。
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格差社会と言われ、ワーキンプアなど苦しい生活をしている人が増えている現状をまとめた本。日雇いや派遣労働者・名ばかり店長・不当解雇・過労・生活保護申請の締め出し・外国人労働者など様々な視点で、苦しい生活をしている方々の現状をまとめています。(2008.11.6)
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前から読みたいと思っていたけど、辛い内容だった。仕事をして、それなりにいいお給料をもらっていることを本当に感謝する。ちょっと前に書かれた本だけど、非正規雇用の不安定さ、名ばかり管理職の長時間雇用、管理職じゃなくても長時間働かされること、ホームレス、生活保護の水際作戦。これを人ごとじゃなく感じられるか。仮にも福祉の仕事をしていながら、あまり貧困問題に興味を持ってなかったというか。目を背けていたというか。貧困は障害者問題の中でも重要なタームだと思うのに。もっと勉強しなきゃ。
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紹介スタッフ:とし
「生きさせろ」
「貧困の現場」
○今の日本の現状
【働きたいのに働けない】
○原因
決め付け
自分も行動してみよう
○メッセージ
「自分の興味のある分野を探求・行動してみる」
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一時的な感情ではなく、一貫した問題意識でずっと貧困と向き合ってきた著者ならではの冷静で正確な著述が印象的である。世間的に見れば高収入の勝ち組に属するマスコミにこういう活動をしている人がいることに驚きを感じる。
でも新聞記者ほど影響力のある人が活動しても世の中をつゆほども変えるまでに至らないというのも厳しすぎる現実だ。
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日本では貧困は自己責任論と一緒に語られて来た。しかし、少なくとも本書で事例としてあげられる中学生や高校生に「自己責任」はない。
社会から排除された状態として貧困があり、貧困は社会が強制するものだという「社会的排除」という認識がなかったし、今もない。いつでも貧困が個人の問題として語られてしまう。
しかし本書を読むと、現在貧困の状態にないとしたら、それは幸運の賜物で、いつでも誰でもがたちまち貧困に陥ってしまう、まるで綱渡りをしているかのような状況にあることがわかるだろう。そして、一度貧困の状態になってしまったらそこから脱出するすべは少なく、むしろ再生産されていってしまう。
同じ地域に、国に、貧困の状態にある人がいる。まず、そうじゃない状態にする、どうしてそれだけのことが僕らはできないんだろう。何故なんだろう・・・・・。いま僕は、ものすごく居心地が悪い。
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現代日本の貧困を労働問題から探った一冊。筆者の正義感が文章から溢れ、なかなか重い内容。しかしはたして、分け与えるパイはいずこに‥とは感じてしまう。
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毎日会社に行き、少なくとも食うには事欠かない生活をしていると、貧困というのはテレビの向こうにある世界のような気がしてくる。しかし本当は、ほんのちょっとした違い、タイミングや運に過ぎないのかもしれない。人よりちょっと遅かったり、要領が悪かったり。どういう家庭に生まれたか、どういうタイミングで社会に出たか。ぼくやあなたがそのまんま、ちょっと違う星の下に生まれたら経験しなければならなかったかもしれない世界。そんな世界で自己責任がどうたら言われたら、ぼくやあなただって世界を恨むだろう。
この本はプロのジャーナリストが世界に必要な理由の一つ。
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今までの非正規雇用に対する見方を180度変えてくれる本でした。
労働は人の幸せや生きる権利を奪う場所ではないはずなのに、それを強いられている人がなんて多いこと。人が人にする態度か?と思う描写もたくさんあった。貧困は貧困を呼ぶのか?傍目には豊かな国はちっとも豊かじゃなかった。世の中のうまい口車に騙されてはいけません。
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フォトリ68。
自己責任という言葉の一人歩き、本当に悲しい。日本人ボランティアが海外で拘束された時、この言葉を使った首相は、かつてハイジャック事件で「人命は地球より重い」と言った首相のお子さんだった。時代、社会の変化でひとくくりにして良いものやら。
この先何十年か、マイノリティとなる日本の若い人が幸せになってくれると嬉しい。
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格差社会が叫ばれる中で、この本はいつわが身に降りかかってもおかしくないと思いました。筆者さんが貧困社会への怒りを持ってこの本を書いていることが伝わってきます。その分ひとりよがりに聞こえなくもない部分もありますが、ここに書かれている事例は一つの真実なのだと思います。
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派遣労働・生活保護の現場で、貧困が生産・再生産されている姿を映し出した良著。
うちの会社も「来月から熟練派遣工がクリーニング期間に入りますので生産性落ちます」なんていう会話がスラスラ流れる怖ろしい会社なのですが、こっちはこっちとして国内工場子会社を集約してその過程で(子会社の)正社員も半分切ってという事態がその前にあるわけなので、じゃぁそこで何か解があるのかというと売上/利益を伸ばすしかないわけだったりします。
個人的には10年前のプチバブルのときにメイテックが儲かっていたり非正社員の方が収入がよかった時代を知っている訳なので、同世代の非正規にはあまり同情心はなかったりはするのですが、いまの若年層の実情にはいたく憤りを覚えます。
しっかり調べた訳ではないので私論といっても感想レベルですが
・生活保護の医療費は自己負担(1割)にすべき
・水際はやめて、支給レベルを下げる(医療費廃止等)
・子育て/教育支援はしっかりやり貧困の再生産を防止する
あたりが落とし所というか妥当なとこじゃないかなと。
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貧困や非正規雇用を追う毎日新聞の記者によるドキュメント。役所における生活保護の水際作戦、ホームレスの実態、労働争議の話など、内容はきついけど、決して読みにくくはない。主権が国民にないという点で、TPPや秘密保護法案と発想は同じなんだよね。