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新しい進化の考え方でもあるエピジェネティクスについて、実例を挙げながら解説した入門書。
研究者らしい淡々とした、文章に好感が持てる。
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エピジェネティクスというのは、ジェネティクスつまり遺伝子が
決まった後に、どう発生が決定されていくかというメカニズムを
解明することである。
遺伝子(ゲノム)はあらゆる細胞で全ての部分が読めるわけじゃなくて細胞の種類によってon,offが決まる。
むしろ、on,offによって細胞の種類が決まるといってもいいんだけど。
本を読んでみておもったのは「エピジェネティクス」と呼ばれるものでも,分子生物学の視点からみると,僕が勝手に思っていた「生後獲得的」のイメージとは随分ちがうな,ということだ.
生命のプロセスをゲノム、つまり分子ベースで見つめている。
そのon,offをつかさどる部分をやはり、分子レベルでみようとしている。そういう狭い領域のダイナミクスで捉えようとしている.
つまりスタンス的にはゲノムをど真ん中にすえる、分子生物学のスタンス。
分子生物学の視点から,もう少し,後天的なプロセスを捉えようとしている,,そんなかんじだった.
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前々から気になっていたエピジェネティクス。遺伝子では無いが、とても重要な役割を担っているのだと耳にした時から気になっていた。DNAが設計図ならばエピジェネティクスは何とかかんとか。兎に角、もう少し実態を知りたいと思って買った本。その分量、僅か100頁足らず、もちろん「入門」のタイトルに惹かれて手が伸びたのだが、実態は別次元の入口だった。平易な言葉でスタートするのだが、句読点を境に突如として頭の中に何も浮かばない言葉が並んでくるのである。なんとか最後までたどり着いたけれど、当初の目的であるエピジェネティクスは●●●などと受け売り出来るほど知識は入ってこなかった。カラダのどの細胞からも同じDNAが採取出来るという、とても当たり前の話なのに全くイメージが出来なかった事が多少分かるようになった点が、唯一の収穫? また日を改めてエピジェネには挑戦したいなぁ〜
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◆同じ両親なのに、三毛猫の縞模様や金魚の模様に違いが生じるのは何故か?。そう、生物個体間の情報の継受はDNAだけが担うわけではない。これに関わる「エピジェネティクス」という生態機構を一気呵成に解説◆
2005年刊行。
著者は国立遺伝学研究所教授。
ラマルクが提唱した「獲得形質の遺伝」という概念が否定されて久しい。
しかしながら、植物における品種改良は獲得形質が遺伝されたものなのではないか?。あるいは、例えば、遺伝的に同様である兄弟姉妹で、ある者は母親似、ある者は父親似という差が生じるのは何故か?。
交配されたDNAの世代間継受では説明の付かないこれらの現象を説明する概念として生まれ、今まさにその機構・メカニズムが研究されつつあるのがエピジェネティクスと呼ばれるものであり、本書はその概略を90頁余りという短さで解説する。
DNAという明快な継受機構を持ちながら、それ故に生まれるもやもやとは、同種ながら各々の個体にある個性の異同であり、就中、兄弟姉妹間の個性の差だ。
その差が生じる要因として、ある細胞における、とある遺伝子が転写可能か不可能かを決定する仕組みは、ある種ランダムに発生し、例えば三毛猫や金魚の模様等に結実する。本書はそのシステムの一端を垣間見せながら、人間を含む生物の個性の不可思議さを感得できる。
それゆえ、簡明さとも相俟って一読の価値は高そうだ。
また、例えばチンパンジーとヒトとの分子レベルの差は1~2%であるとは、割に著名であろう。
これは、とある類似の鳥間の分子レベルでの差よりも往々にして小さい。それゆえに、チンパンジーとヒトとの近縁性を強調することにも利用され、また遺伝子が発現形態に及ぼす影響の小ささを強調する上でも用いられるところである。
なるほどこれは、本来のエピジェネティクスとは異質である。しかし、形態に影響を及ぼす生物学的要素を考える上でも、このエピジェネティクスのメカニズムが参考になる可能性も存在していよう。進化を考えるためにも、また細胞の進化=その異常形態である癌とそれへの対抗策を考えるためにも、本書の知見は意味あるものと考えられそうだ。
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個性はどこできまるか?
1.遺伝子 ゲノムの多型
2.環境
3.エピジェネティクス:DNAの配列には変化を起こさないで、遺伝子の機能を調整する仕組み≒遺伝子の働きを抑える仕組み
個体の生涯という一世代限りの時間・空間における遺伝現象
アサガオのふいりや、三毛猫の毛並
女性のX染色体の片側の不活性
肝臓の細胞はずっと肝臓の細胞右細胞分裂を経ても安定に伝達される
遺伝
転写、翻訳
転写:遺伝子からメッセンジャーRNAを合成する反応 遺伝子が発現するかどうかを決める
遺伝子の周辺には組織特異的な転写因子、発生段階的な転写因子、環境の変化に対応するための転写因子などを結合する配列が散在している。
細胞の種類を特徴づける遺伝子群のオン・オフをきめるのがこれらの転写遺伝子群
ヒトゲノム 30億の文字が書かれた文章。
それらを効率よく整理するには、使用頻度によって、書類に色別のインデックスをつける。そして、内容、テーマ別に書類をしまう。
書類は
使用中(転写中)
時々使う(転写可能)
使わない(転写抑制)
に分類される。
このような収納と仕分けを行うのがエピゲンティクス
代表的なのは
・DNAのメチル化
・ヒストンの修飾
ヒストンは8量体にDNAが糸のように巻きついている(クロマチン)。
そのクロマチン癌転写可能、転写抑制はヒストンタンパク質の化学的修飾による。
それはヒストンのアセチル化酵素、脱アセチル化酵素により調整されている。
細胞の内在性の時計にしたがって、DNAのメチル化状態と分化能を変えることができる。言い換えると、神経幹細胞は予め細胞系譜の決定について、エピジェネティクスなプログラムを用意している。
DNAの塩基配列には変化を与えないで、化学就職という形で遺伝子に印をつけ、それをDNA複製と細胞分裂を経て次の細胞に伝えていく。
<哺乳類の単為発生>
哺乳類では難しいが、ネズミで成功「かぐや」と名付けられる
哺乳類の場合、精子、卵子が作られる過程で、それぞれのゲノムに雄型、雌型の徴付けが行われる。これはゲノム刷り込みと呼ばれている。(略)受精後の発生途中の細胞の中でもオス由来化、雌由来化を酷使、その記憶に従って働くか休むかを決める。
単為発生では、オス由来の遺伝子がないので、死んでしまう。
女性の卵巣で卵子が自然に単為発生を始める→奇形腫
精子由来のゲノムだけしか持たない受精卵が発生を始める(雄核発生)→胞状奇胎
哺乳類はなぜ、単為発生を妨げる刷り込みを発達させたのでしょうか。
理由は不明だが、単為はっせが可能な生物はすべて卵生であることから、刷り込みは胎盤の発生か、胎盤を通した母体からの栄養供給と関係しているのではないか、との説がある。
<遺伝的に同一なのに特徴に違いがみられる>
一卵性双生児のちがい
環境もだが、エピジェネティ��スも可能性が高い
遺伝的に同一なのに特徴に違いがみられるのは、クローンも同様
三毛猫のクローンができたが、ドナーとは異なる毛色だった。
しかも、核移植のクローン生物の誕生率は5%以下。大部分のクローン胚で、エピジェネティクスのリプログラミングがうまくいかないせい、との説がある。発生直後に死亡するものも多く、それらで異常なDNAのメチル化が見つかることを報告している。
<ES細胞>
ES細胞も人工的な操作のあいだにエピジェネティクスな異常が起きていないか、目的とした細胞に分化しているかをモニターするのに、DNAメチル化をはじめとするエピジェネティクスな操作が必要になる可能性がある。
<獲得形質>
ルイセンコ 小麦の研究をもとに、獲得形質は遺伝的に固定できると唱える
植物では正しい。
獲得形質はエピゲネティクスが担う。
動物では難しいがまったくない訳ではない。それも食事の影響も受けつつ、エピゲネティクスが担う。
エピジェネティクスは膨大な情報を使いこなすための、巧みな情報整理技術
制限酵素が細菌自身のDNAを切断すると困るので、自己配列には目印をつけて切断を防ぐようになった。この目印がDNAメチル化。つまり、外敵撃破と自己防御の仕組みがセットになっている。これが哺乳類まで受け継がれている。
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「エピジェネティクス」とは知らない言葉でしたが、これは「エピ」+「ジェネティクス」に分解でき、「エピ」は「後」、「ジェネティクス」は「遺伝学」と言うことだそうです。説明聞いても「?」という感じですね。
生物の形態は遺伝子(DNA)で決まります。それは間違いありませんが、しかし、DNA だけですべて決まるものでもないのです。確かに一卵性双生児であってもそれぞれちょっとずつ違いますよね。DNA をどう使うのか、または、使わないのか、など、DNA 以外で決まる領域もたくさんあるのです。なるほど、、、
サブタイトルに「三毛猫の模様はどう決まるのか」とありますが、これもエピジェネティクスによって決まるとのこと。これは発生初期にランダムに決まり、それがそのまま維持される、と。なるほど。
後半はちょっと専門的になって付いていくのがしんどい感じがしましたが、でもなかなか面白かったです。
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遺伝子情報自体は変化しないにも関わらず、遺伝子の発現の仕方が変化することをエピジェネティクスという。
本書は、このエピジェネティクスについて初学者用に解説しています。
【こんな人におすすめ】
エピジェネティクスの入門書が読みたい人