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ハタチになるという特別な瞬間、ハタチという節目の前後で起こる青年たちの心の成長とゆらぎとを描いた物語。朝井さんらしく、ジブンって何だ、を深堀するヒントが得られる一冊。
あと、作中に度々登場するらもう20なんだから、という描写に出会う度に、こっちは26やぞ、という切なさが込み上げます。
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デビュー作の霧島、部活辞めるってよ、と比べると表現力や描写力がはるかに上手くなった印象を受けました。本人はもう社会人なのに、大学生の時に抱いていた感情やものの見方をすごく上手く表していて、あっとなるフレーズがいくつもあり、なんだか懐かしくなりました。是非20代の人には読んで欲しい一冊。
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ハタチ前後の、特別になれないことに向き合わないといけない年頃の若者たちの連作短編。
人物のつなぎ方が絶妙で、ある話では羨望の眼差しで見られていた人物が、別の話では違った評価をされていたりと、人の多面性がよく表れていました。
夢とか才能とか努力とか妬みとか、胸をぎゅうぎゅう締め付けられる場面の連続でした。
思い当たる節がありすぎて辛い…。
西加奈子さんの解説も素晴らしかったです。
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朝井リョウは大好きだけど、これは何だが好みじゃない気がしてずっと読んでませんでした。
でも読んでみて後回しにしてたことを後悔。相変わらずの表現力ですごく引き込まれました。
若者の心の中、会話の感じ、日常を書くのがほんとに上手い。
中でも表題作はすごく好きです。劣等感がとてもリアルに書かれています。
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「桐島、部活やめるってよ」大学版
「桐島…」ではスクールカーストとアイデンティティーがテーマになっていたが、本書ではカーストの存在しない大学生のアイデンティティーの発揮ときらめきがテーマになっている。
連作の短編は全体として明確なつながりを持たず、主人公を変えてそれぞれの視点で他の人物を評し葛藤する。
高校生とも社会人とも違う二十歳前後の独特な価値観と葛藤をフレッシュな感性で描いている。
こんな時期が私にもあったか?と昔を振り返る。
今の若い人にも葛藤して輝いてほしいと思う。
それにしても、大学生朝井リョウの観察力、文章力に改めて脱帽した(高校生朝井リョウも素晴らしかった)。
そして女子の描写の秀悦さに、きっと著者は少女漫画を愛読しているであろうことに確信を持った。
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挫折、劣等感、嫉妬…
今の自分が抱える負の感情全てを、この小説は表してくれていた。
しかし、この物語は分かりやすく問題を解決してくれたりはしない。
最後にかすかに残る、小さな光を私はこの現実の中で探し出すしかない。
今、この時、この作品に出会えてよかった。
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大学生とか20歳前後の若者たちの青春小説。
で、合ってるのだろうか。
若者たち、とか書いてしまったことに自分の年齢が
彼らよりかけ離れていることを感じる(笑)。
朝井さんの話は、なんていうかすごいよね。
何読んでも面白いし、あーわかるわかる!って
いつも思う。
今回も色々な人が出てきたけど、どの主人公にも共感できる。
翔多とハルが好きだなー。
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再読。
最初に読んだ時はどう思ったのかなぁ。
今読んでも、大学生の頃を思い出して苦しくなった。この小説みたく?ドラマチック?でもなんでもなかったけど、なんか生き急いでたし、なんが焦ってたし、常に無意識に人と比べてた。
そしてそして今読んでも苦しい…。
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ちょっとおっさんには若すぎたかも。
若さはそれだけで美しいものではあるが。
おっさん的にはもちょっとどろどろ感が欲しい所でした。
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朝井リョウの『もういちど生まれる』。『桐島』で見せた片鱗を十二分に昇華させた傑作。「ひーちゃんは線香花火」、そして表題作の「もういちど生まれる」における人物の描き方は同年代ながらその才能に怖さすらある。欠点はたしかにある。けれどもを補って余りある朝井リョウの目線を感じる。
その目線に対する評価は問わない。作者の顔に返り血が跳ねかかってくるような切実な題材に取り組む姿勢(宮部みゆき)に力強さを感じる。作者がやがて小説でしか描けぬテーマやステージを手にしたならば(浅田次郎)と期待したい気持ちは大いに頷ける。
最後の一章。
破りたかったもののすべてはつらいものがある。
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読んだことのない人の本を読もう月間その2.
『桐島、部活やめるってよ』すら読んだことない.完全にタイトル&装丁で選びました.自分より若い作家さんを読むのは初めて(多分).
20歳前後の若者が代わる代わる主人公をつとめる連作短編集.どれも少しずつ人間関係がリンクしている.
何かになれると信じてたけれど何者にもなれない現実にぶち当たった人たちの話、と読んだ後に思った.大学生とかその辺りって、自分が何にでもなれるような期待と、そうはならない現実を薄々感じ取りつつもそれでも何かにすがってしまうような時期なのかなというのが、自分もその年齢を通り過ぎてずいぶん経った今だから思う感想なんだけれど、その渦中にいる人間の戸惑いとか葛藤なんかの心の動きがリアルで、読んでて思い当たる節がある人はきっと大勢いると思う.これは世界の大多数を占めてる「持ってない」側の人間の話だ.
好きだった話は『僕は魔法が使えない』『もういちど生まれる』.話の終わりに光が射すような話が好きだった.最後を『破りたかったもののすべて』(名前違うかも)で締めたのはどうしてだろう、不思議な終わり方.もうちょっと考える.
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「大学って、そういうところだ。無責任を背負って、自由を装っている」
大学生ってこんなにも自由だったか。瑞々しい感性は、世界の輝きを見る目はいつの間に曇ってしまったか。
20代の若者をめぐる5編の短編集。
「桐島、部活やめるってよ」から変わらない、連作同士の関係はつながっているという作者の手法は、舞台が高校から大学になっても健在だ。
子どもと呼ぶには身体が大きすぎる。
大人と呼ぶには精神が幼すぎる。
大学生は大人になる一歩手前の最後の輝きだ。若いというだけでエネルギーに満ちている。
そんな学生生活が描写されている。
それを羨ましく思う。
こんな学生生活ではなかった、もっと楽しめば良かった。
卒業してから思い返すことばかりだ。
いつまでも学生気分でいてはいけないと言われるが、会社に入って4年経った今でも中身は学生のころから成長してはいない。
なんだかんだで会社に守られている無責任、不自由を装った自由。
そんな会社員ばかりだということを、社会は学生に隠している。
学生時代に戻りたいなんて情けない大人にはなるな、と言われても学生時代に戻りたいと常々思っている。
高校には戻れないが、大学には戻れないことはない。
実家のある高田馬場には学生が溢れている。夜まで騒いでいる無駄なエネルギーの中に、いつかまた入りこみたい。
夜に外から聞こえてくる喧騒が苦しい。
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大好きで何十回も読んでいる本です。文章がとても素敵で、じっくり味わいながら読んでいます。
大学生の今の時期にこの本に出会えてよかったと思います。
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チア男子と一転変わって退屈で不安で喪失感をともなった大学生たちのはなし。
チア男子が爽やかで高校生的だったから余計に大学生!という感じ
鬱々とした心情描写はさすがとしか言いようがない
登場人物たちが少しずつ関わりを持っていて違う視点から同じことをみれたりしておもしろい
比喩表現の斬新さが本当にすきすごい
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朝井リョウ作品に初挑戦。最初読み始めは軽い感じの話なのかなーと思ったら、最後まで読むと印象が変わったので驚きました。若者言葉を連発しているくせに、10年先に読んでも古びない印象を与えるような工夫がされています。うまいですなあ。