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前作『卯之吉子守唄』に引き続き、裏で糸引くのは天満屋の元締。江戸の三座の役者のように美しいと巷で噂されている八巻卯之吉のようにほっそりとした美形で凄腕の人斬り大好きな万里五郎助が巻羽織姿で武士を斬り殺す。八巻の仕業にするためである。
なぜ、わざわざ南町奉行所同心八巻卯之吉の偽物を仕立てて、連続武士殺しを企んだのか。天満屋の元締めの企みを卯之吉と荒海三右衛門がどうやって見破っていくのか。初期の作品にみられた荒唐無稽さで話が進んでいくのではなく、登場人物の豊かな個性が生み出す面白おかしさが話の展開の味付けになっている。
久しぶりに三国屋徳右衛門が登場する。孫の卯之吉のためなら千両箱を幾つ積んでもな場面が徳右衛門らしい。五千両をさらっと要求するさるお方とのやりとりも好きなシーンである。いつもは粗忽で的外れなことをしでかす銀八が今回はなかなかの読みをして効果覿面な提案をし、それがうまくいってしまう。銀八の良さが描かれているのもいい。
人を斬り殺すことが大好きな万里五郎助の「わがまま坊ちゃん」的なキャラが、万里という名字から受ける印象と五郎助という名前から連想される人物像と重なって不思議な味わいになっている。裏で糸を引いていた天満屋の元締めともう一人のワルが次作の主たる役回りになることを暗示しているので、次が楽しみである。
この作品では、さもありなんと思う美鈴の剣の弱点が出てしまったが、美鈴が大兵肥満で小熊を連想させる無骨な男に岡惚れされてしまうなど、美鈴の登場場面が多いのがいい。相変わらず最後まで卯之吉は美鈴の思いに無頓着なのが許せないのだが、この二人の関係がどうなっていくのかも次作以降、気になる。
10作目となり、レギュラー陣の人間味がますます味わい深くなり、話の流れも小気味よく進んで一気に読んでしまい、★5つとした。
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第十弾
本当に調子よく事件が解決していく。
本人の意思とかかわりなく、廻りの人によって進む
かえって心地よいか
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6月27日~29日
南町奉行所同心八巻卯之吉の名を騙り、武芸達者な侍を斬り殺す事件が頻発。奉行所内で嫌疑をかけられた卯之吉は、閉門蟄居を言い渡され、吉原での大尽遊びもできず困惑する。下手人の狙いは何か?裏で操る者がいるのか?敵の正体を暴くべく荒海三右衛門一家が奔走する。大好評シリーズ第十弾。
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卯之吉を陥れるために偽者が侍を斬り殺す事件が発生し、疑いをかけられた卯之吉は蟄居を命じられる。本人は相変わらず何もわかっていないが、荒海一家は偽者を暴こうと奔走。一方殺された侍の弟は仇はどうやら卯之吉らしいと知り…
今回は卯之吉を仇と狙う田舎侍がメインで、卯之吉はいつも以上に何もせず影が薄い感じ。ストーリーもわりと淡白で、人斬り大好きな万里さんなど面白いキャラを出しているのにちょっと残念。
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大富豪同心シリーズ、10作目。
今回は、卯之吉を騙る偽同心が現れ、武家人殺しの嫌疑が卯之吉に掛けられることになる。
嫌疑を掛けられはするものの、肝心の奉行所の人間が誰一人、信じていないところが可笑しい。兄の仇討ちに江戸入りした田舎侍の弟をウザキャラとして描かれており、それが見事にウザかった(苦笑)。今回は卯之吉本人よりも、その弟や、偽同心に扮する万里五郎助のキャラが個性的で目立ってたかな。今作一回限りの登場ではちょっと勿体ない気も。
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大富豪同心シリーズ10作目です。
今回は偽物同心が現れて、卯之吉に辻斬りの嫌疑がかかります。
あと、暑苦しい田舎侍も登場します。
まあ上役は卯之吉の正体を知っているので、
人斬りができるとは思ってないですが、
嫌疑がかかって蟄居となり切腹の危機だというのに、
卯之吉の極楽とんぼっ振りにはヤキモキしました。
そこいくと三国屋徳右衛門は、やらかしてくれます。
可愛い卯之吉の為、
お金の力で老中様の大名行列を差し止めて直談判。
楽しませてくれます。
毎回気になってるんですが、
確かシリーズ1作目で孫は沢山いる設定だった気がします。
卯之吉1人を溺愛しちゃって他のお孫様達はどうなってるんだろう・・・。
卯之吉の見目が良いからか、器用貧乏臭いところか。
はたまた無欲さが珍しいのか。
超度級のケチが1人だけに湯水のように大金使って、
親族一同怒りそうなものです。
暑苦しい田舎侍の方は、遠目で見る分には楽しいけど、
絶対お近づきになりたくないタイプでした。
人の言う事聞きゃしない。
一件落着してほっとしました。
卯之吉はいつにもまして働いてなかったです。
体はいつも動かしませんがちょっとは頭を使うのに、
今回は本当に人の働きに乗っかるだけでしたね。
ちょっと物足りなかったかな。
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相変わらず、人々が卯之吉の事を勘違いして、益々実情と乖離して評判になっていくのが面白い。
悪人が大物感あって、策を弄して卯之吉を追い詰めていくのが面白かった。
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久々におもしろかったなぁ。
新しい登場人物とその師匠の単細胞加減がよろしい。
良質の落語をきいているかのようで。
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とうとう10作目。今回も特に今までの敵とは直接的には関わらぬ一件。相変わらず何もしない卯之吉だが、ますます名声が高まっていく。そして、なんと美鈴に遂にいい人が?