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今、昔、おとぎ話として章ごとに時間軸がずれるけれど最後に集約されて謎がとけた。ファンタジーだけどミステリ要素もある。
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いつもの、連作方式かと思いきや、まあ、そうなんですけども、ちょっと仕掛けがしてあります。
そして、相変わらず、その二人の馴れ初めくわしく!みたいな焦らし放置も多い。余韻というものなんで、仕方ないですが。
最初の気味の悪さとか、えぐさとか好きかな。
最初に出てきた可愛い子がこーなっちゃうのかよ!みたいなところも大河ロマン。
昔のよきジュブナイルな感じがします。
けれど、性的なことは生々しいので、中学生以上推奨。
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ファンタジーとしても面白かったけれど、ミステリとしても素晴らしい。4つの国の物語をたどり、関連した部分を頭のなかで繋ぎ構成してゆく作業が本当にたのしかった。
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著者の森谷明子さんは、三十年以上も昔、高校のクラスメイトだった人。そんな贔屓目抜きで、これは面白い本でした。
文庫本の帯に「一分の隙もない緻密さ、目をみはるスケール感、胸打つ人間ドラマ」という安っぽい褒め言葉が並んでいたので、本屋で手にとった時、あまり期待できないのでは?という疑いを持ったのだけど…。ごめんなさい、全く正しい宣伝文句でした。いかにもそのとおり、納得です。
物語は、ロシア民話のバーバ・ヤガーの話、すなわち日本でいう「三枚のお札」の話をモチーフにしています。実は、私も子供の頃、寝る前によく母に三枚のお札の話をしてもらいました。母がしてくれた寝物語の中で一番印象に残っているのがこの話です。不思議にこの話以外はほとんど記憶に残っていません。何か怖いものに追いかけられながら坂道を下り降りる、という状況は、子どもの本能的な恐怖といったものに関係する何かがあるのかもしれません。まぁ、もしかしたら母のレパートリーがこれひとつだったから、なのかもしれませんが。
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ロシア民話(日本で言う「三枚のお札」)を元にした本書。物語そのものにどっぷりと漬かれる本だった。
イヒカ少年の話かと思ったら、囲炉裏の前で旅人に聞かせる昔話で。昔話かと思ったら、話の登場人物が実際に出てきて。後代になると昔話がおとぎ話になり、現実の話は昔話になる。物語の入れ子構造というか、読みながらそれぞれの話を繋ぎあわせ、人物の関係性を頭の中で再構成するのが非常に楽しかった。
物語に翻弄されつつも、5話目で全てが収束し種明かしもある。ミステリーとしても大変満足(こう書くと上から目線で恐縮ですが(^-^;))。
また、最後の解説も良い。読んでなるほど、と。著者の森谷明子さんの他の作品も是非読みたいと思います。
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面白くなくはない。ないのだけれども、面白いかといわれるとなんとも言えない。すべての物語を読むと全貌がわかる、という構成になっているが、本当に全貌がわかるかというと、何だか少し不完全燃焼な部分も。
カタカナ名前が覚えにくすぎて何度も誰だかわからなくなってしまった。そういう仕掛けではあるので、仕方がないが。
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2019の元日、朝だったので元旦ですが、読み終えました。この時に読み終えたのが、なかなか良いタイミングであったと思います。
多様な分野で、多様な書き方ができる作者だなあと実感しました。構成やらストーリーやら、人物造形やら、なかなか凝っていて緻密です。うまくかみ合って引き込むストーリー展開です。
ただ、人物名がなかなか頭に入らず、それが、この凝った構成と関わって、必要以上に混乱する読み心地となってしまいました。
大河ファンタジーで、架空の時と所なので、名前はカタカナでなければならないのだろうなあ。でも、それがゆえにとても疲れた。
終わりに近くなって、ほっとする感じで、ストーリーも落ち着き、ここまでちょっと体力が必要かな。
物語の収束のさせ方がとても巧みです。
元旦にふさわしい読み終わり、そして、登場人物の一人一人の思惑もまた、楽しい。
やはり巧みな作者です。
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少年イヒカは禁じられた深山へと入り、霧に迷ったところを深山に住む女に助けられる。
その女によって閉じ込められている少年のおかげで、女の元を逃れたイヒカは少年を助けることを約束する。
しかし、その「約束」によって、二人は数奇な運命に呑みこまれてゆく…。
五篇の連作短編集。
第一話は少年イヒカの話、第二話は深山に逃げ込んだフツとイオエの話、第三話はイヒカと同じ村に住むオシヲの少年時代の話…という風に、章ごとに時系列も主人公もバラバラです。
そのため、どのお話も「深山」と呼ばれる架空の山が舞台のお話となっているのですが、最後の短編までお話の着地点が全く見えず、読むのに時間がかかりました。
お話が進むにつれ登場人物の人間関係や経緯が何となく理解できるようになり、物語のピースを埋めていきながら読み進んでくわけですが、最後までよくわからない部分もあり、構成が凝りすぎのような気がしました。
ある章では真実として語られていく物語も次の章では昔話や伝承として語られ、真実がぼんやりとした輪郭に変化していくので読み手の頭は混乱してしまいます。
読後に「結局、何が言いたかったんだろう?」と思わせるほどの不可思議なストーリーでしたが、多分、著者は、伝承の成り立ちと伝播についてミステリ仕立てにして描きたかったのかなーと思いました。
昔話の裏に隠された真実や、その昔話が広まる経緯が語られ、いかに昔話というものが作為的・政治的にゆがめられ、また新たな物語となって広められていくのか・・・昔話の成り立ちというものに瞠目させられました。