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三章からなる。
一章、目が覚めると隣に寝ていた妻が殺されていた。この町では連続主婦殺人事件が起こっている。しかし関連づけて報道されていない。警察も動かない。 調べて行くと、連続主婦殺人ではなく、連続妊婦殺人であることがわかる。引き込まれる展開で面白い。
が、二章以降話が大きくなりすぎること、殺人の動機はわかるが、方法に説得力がなく、一気に現実味が無くなり残念。
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「人間がどれだけ忘れやすい生き物なのか」
未曾有の『大災厄』さえ、いつかはわすれられ、原子力がふたたび使用される。
人類が人類である以上、そうなるのが自然だった。
この一節がこの小説の出発点。
読み終わるとわかる「ワスレルナ」という言葉の意味。
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小さな町で進行する連続主婦首切り殺人事件。犯人を追う夫たちの前に地球規模の恐怖が立ちはだかる。ジェノサイド/文明更新とは何か、そして「ほんとう」の真犯人は…。
近未来ジュンブンガク?震災後文学?なんと言っていいかわからない不思議な作品。もともと佐藤友哉の作風は掴みどころがないけれど、本作もまさにそんな感じ。震災後の世相に対する風刺が効いていて退屈ではなかったが。
(C)
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ある朝目覚めたら、妻が隣で殺されていた。
巻き込まれ系のサスペンスか、それとも猟奇
ホラー系かと思いきや、かなり肩すかしの
SF的小説。ミステリーではありません。
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物凄く、突き放すなぁという読後感。
上の世代から残された遺物を、政府のせい上の世代のせいと言ってガス抜きして終わらせるな、生きることを忘れるなと言われたようだった。残された遺物は放射能という形で表現しているが、自分には国の借金や不安な将来っていう風に受け止めた。
175〜176ページあたりがこの小説の核心だと思う。変えられるわけない、という自分の信じたい認識のままいる自由はある。生活レベルを変える努力をしないなら、そこで満足して死ねと。
震災後のーというわかりやすいタグ付けより、若者の抱えてる閉塞感への説教かなと
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一気に読めた。展開も予想外で、時々視点が変わるのが新鮮だった。他人事ではない世界の話。今の現代社会にむけた教訓のような内容でもあった。最後はもう少し話に続きがあればいいのに。その分、それぞれの登場人物のその後に、想像力が掻き立てられる。
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佐藤友哉作品初読み。
現代物かと思いきや未来物、原子力の影響のはずが実は食品添加物の影響とか。。。
そういったことよりも、洗脳やフィクションかもしれない事柄をマスコミや政府が発表したことによく考えずに踊らされることの怖さを書きたかったのかなといった印象でした。
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『僕の枕は涙でぬれている。』
『妻の枕は血でぬれている。』
『死のうと思った。
理由はなかった。
死にたいという気持ちが、生きたいという気持ちに買っただけのことだ。』
『人を愛しながら、同時にその人の死をねがうのは、ややこしい感情ではないはずだ。一度でも真剣に人を愛した経験があれば、すんなり理解できるていどの普遍的な感情だろう。』
『そのうちにやがて殺意そこ殺意に快楽的な心地が宿り抵抗でき殺意なくなってきた。この殺意まま殺意殺意ではあと数分で殺意殺意殺意いや数秒でおれは殺意のかたまり殺意殺意殺意殺意になって殺意します。一個の殺意殺意殺意殺意殺意となってしま殺意う。そ殺意の前に。』
『おれたちはみんな、理由の奴隷。
「なぜ」「どうして」「なんのために」と聞きまくり、知りたがる。』
「みなさんには、あれやこれやを添加物や放射能のせいにして、なにもかもを国のせいにして、自分たちの生活レベルを変えない自由があります。不安なら金をかせげばいいのに、地位を向上させればいいのに、安心できる生活を獲得すればいいのにそれもせず、ただ世界を呪うだけの自由があります」
『上と見なしたものに怒り、下と見なしたものを嗤うことで、わずかばかりの安心を買い、満足できない不安な日々を、ぼんやりとやりすごす。』
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SFサスペンスみたいな感じ。
帯に「ミステリー長編」とあって期待したが、中盤以降はどんどんミステリーから離れていって、正直期待ハズレ。
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けっこう突飛なSFものでした。
途中までかなりわくわくしながらめくったけど、真相がけっこう説明不足というかなんというか。もっと内面の描写とかいろんな重みとかほしかったなぁ。
電卓さんには一体何があってあんな見違えちゃったんだろう。
ジェノサイド、結局何がどうなってるか全然わかんなかった。最後のバックコードやら脳波やらもさっぱり。ふーむ。
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罪悪感のない世界。
事前に評価をチェックしていたので、するりと読めた。
途中からSFというか、SFミステリ?
というのを踏まえた上で読み、そこまでのSFでもないのかなという印象。
終盤の怒涛の展開にワクワクした。
佐藤友哉さんが好きで、まだ読んでいなかったものの中で、短くさらっと読めそうだなと思い、選んだ。
200ページ弱で、さらっと読める。
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は〜〜感想書きたくないよ〜〜と思いながらアプリゲーをしていたが忘れるのはもっと嫌なので書きます。いやあ…佐藤友哉…好きだなあ……悔しいことに……
「そうだねえ、それは許せないことだねえ!世界の敵とはここにいたんだね。君はそれに気がついたんだ!だからどうする?この敵と戦う?そうなんだ。素敵なことだね!なあヒーロー。君の後ろにいる、その敵のことは許したのに?」
みたいな…前の敵に構えていたら横からぶん殴られるみたいな…読んでる間胃がムカムカしてました。居酒屋で土手煮を食べてたからかも。
「反省をくり返す人間たちが、罪を愛で許す人間たちが、今までなにをしてきたか。罪をわすれてきただけだ。」(P.195)
罪悪感がない人間が導く未来というのはどんなものなんだろう?それは責任を取らない人たちで動く世界なんじゃないだろうか。感想を考えていたらなんかめちゃめちゃ空虚な気持ちになってきたので星一つ下げた。
反省をしているのに、罪悪感を感じているのに、生きるためにそれをしないといけないから、忘れながら生きている。その矛盾を孕んだ生き方を、社会を、歪で、気持ち悪くて、間違ったものだとしたいのかな。でも、罪悪感をなくした生き方こそが、犯した過ちから目をそらす歪んだ生き方なんじゃないかなと思う。
六条さんも、綾ちゃんも、抱えきれない悲しみから目をそらすために、心の罪悪感を感じる部分を殺してしまったように見えた。なににも関心が無いとして生きれば、何にも傷つけられないで済むから。感情のコップを最初から壊してしまって、溢れさせないようにしている。地面にできた水たまりを眺めて、ああ自分は受け止められない人間なんだなと思い込もうとしてる。でもそういうところって人間誰しも本当はあるよね。
罪悪感のない人間が作る社会はどんなものなんだろう。それがずっとわからない。分からないまま、空虚を孕んだ女の子が、子守唄を口ずさみながら街を歩く姿を想像している。彼女の後ろで、なんとなく罪に気づきながら、忘れたふりをして生きていた人たちが、同じような人たちを殺したくて殺して欲しくて、殺し合っている。女の子も、殺し合ってる人たちも、誰一人正しい人はいない。こういう罰なのかもしれないな、人類自体への。
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ただ罪悪感の物語なのだと思います
思い詰める人の、頭の中のぐちゃぐちゃが本の形をとったようでした
この本の中に思い詰める人、または罪悪感の説明が書かれているというよりも、この物語自体が説明になっていると感じました